じゅう。 漆黒姫の四天王?
陽葵が賭けゲームを辞退したと聞き、漆黒姫が遣いをよこした。
昨日かんなぎリンには説明して納得してもらったが、直接ワケを話しに来いとゆう。
彼女に仕える4人の執事、【漆黒姫の四天王】(誰かネーミングしてあげてクダサイ)のうちのひとり――と称した高校生風の女子が玄関でそう告げた。
「漆黒姫曰く、違約は即ゲームオーバーと見なされます。『ヤル気の無い話は最初からするな』と」
そんなコトゆわれてもね。
「キミ、漆黒姫の執事って? 女の子だよね? 高校の制服を着てるのはどーして? キミにお使いを頼んだのはどーして? 妙にオドオドしてるのはどーして?」
「わーん、ちょ、ちょっといっぺんに色々聞かないでクダサーイ! これでもわたしは筆頭執事なんですよーっ?」
「ごめん。だって女子高生を遣わせてきたからさ、漆黒姫のジョークやって思ってん。れっきとした女性執事やったんですね、失礼しました。……ところでえーと。何ゆいに来られたんでしたっけ?」
筆頭執事? を名乗る女の子はペコリと改めて頭を下げ、せっかくの高校制服変形型・燕尾服が汚れるのも構わずに片膝付きした。
「漆黒姫は疑念を抱いておいでです。黒姫さまがこの度の契約を反故にされ、金銭のみを得る卑怯な行ないをせぬものかと」
「そんなんしないよ。筆頭執事さんはどう思うん? あの黒姫が仕出かしそうって思うのん? そんな悪々しいコト」
「おっしゃりたい趣旨は伝わります。ゴメンナサイでございますが、これは漆黒姫さまのいつもの戯言、オフザケでございます。よーするにですね、ヒマつぶしの話し相手になって欲しいと、そのようにおっしゃってるワケです」
ナットクナットク。
「けどま随分有り体にゆうね? どーせキミの漆黒姫が今のこの遣り取りを見聞きしてるんでしょ? 後でお仕置きされちゃうよ?」
「それは大丈夫です。わたしは長年姫に仕えておりますので。そのあたりの対策はバッチリなのでございます」
彼女が目前にちらつかせたのはボールペン。
これ、ありとあらゆる魔法を制御する優れモノやそうで。
「漆黒姫さまが愛用される遠望鏡の類にも対応してまして。ただ見えなくするばかりでなく、こちらの都合の良いように見せるコトが可能なのでございます。とーっても便利なアイテムなのです」
どー見えてるのか質問すると、漆黒姫の威令にひれ伏し、大汗をかいて弁明しているわたしの図が届いているそうだ。
……それってなんかモヤるな。
あとさ、そんな便利アイテム、かんなぎリンにも教えてやってくれ。
「他の機能としては……」
「もーいーです。……ま、支度してすぐに参りますと伝えといてクダサイ」
「有難うございます、暗闇姫ハナヲ姫さま」
ヘンな呼び方すんなっ。
ナディーヌは前世での名前だって。
ハナヲと筆頭執事「デイスズアペン」




