さん。 食卓に味方なし?
絵も描けたし投稿します。
朝、さっそく陽葵に、昨夜の出来事をうったえた。
食卓についた彼女はしらっとカオを背け、口に放り込んだトーストの切れ端をモゴモゴさせた。
――暗闇姫陽葵嬢……は、今春まで小学生。
いまは1年留年したわたしと同学年。同じ学校の中学1年生。クラスメートにして我が妹。
さらに付け加えると、彼女は異世界アステリアで魔王魔女だった前世を有する。
魔物らの先導者であり庇護者。
魔女中の魔女さんなのだった。
けれどもいっつもツンケンしてるのは、前世の影響でなく、単に愛情の裏返しと勝手に解釈してる。わたしなりに。
「ちょ……。ちゃんと話聞いてや! わたしミズーリのジイチャンに襲われてんで?! 危うく命と貞操盗られかけてんで?!」
ミズーリのじいちゃんは元々彼女の家来すじ。
監督義務が無いともゆえない彼女に文句垂れるのは、道理ってもんでしょう?
「はい、理解した。わたしからもガツンと言うとく。――で、その肝心のミズーリさんは今は? 和室におるの?」
「帰っちゃったよ。ゆうだけゆって、自分ちに。……って、それだけ? もちっとその……さ、いつものように『うわっ、何たるコトやッ』ってみたいに、キレてくれへんの? わたしのために」
「……ハナヲ姉。いったいわたしをどんなキャラやと思ってんの?」
わたしらの悶着をよそに、大量のスクランブルエッグを皿に載せて、シータンが席についた。色白ビューティ。いつもわたしに毒舌をくれる彼女は、常時ドテラ着の魔女っ子。
……で、あのさ。いったい何個タマゴ使ったん? 人んちの食材を勝手に?
「夜勤上がりの惟人クンがまだ帰宅しないので、陽葵はあなたよりも、そちらの方を心配してるんですよ」
「あ、そか。そーいや惟人、貫徹やった。そろそろ家に戻らんと間に合わんのにね?」
陽葵、「ワッ」とシータンとわたしに食って掛かる。
あ、ちなみに惟人とゆーのは暗闇姫惟人クン。
わたしの弟で、元異世界勇者さま。
必然、魔王魔女陽葵の仇敵やったが、今は双子の兄妹といゆう設定を組まれてる。以上、説明。
「オマエら、アホかっ! なんでわたしがあんなヘボ勇者くずれを心配せなアカンねん!」
「陽葵。気にせんでも、わたしらの前でもうそんな見せかけのツンケンな演技は不要やで?」
さっきから相棒の幼猫、使い魔のマカロンとともにソファで寝転んでた金髪ツインテの魔女っ子、ルリさまが一緒のテーブルについた。
この子がわたしらの中ではいっちゃん魔女っ子っぽい容姿?
正名はココロクルリちゃん。
彼女、シータンからスクランブルエッグを挟み込んだ焼きたてトーストを受け取り、パクつく。なんたるゼータク三昧。
「……あんたら……言うとくが、わたしはツンケンを装ってんのんとちゃうで? それとも、いっぺん締めとかんんと分からんか?」
「陽葵! たしかに惟人も心配やと思う! でもわたしの心配もして欲しい! 同じ家族なんやから! ミズーリじーちゃんをしっかり叱っといてや!」
陽葵、眉をピクピクさせた。
……怒ってるっぽい。
ハナヲ「こわかった」
この後4話目も載せます。




