に。 Gから言いがかり?
「アンタ……確か、ミズーリさんっ?! バズスのひいじーちゃん!」
この人は異世界の住人。
ゴブリン種に属するお年寄り。
ゴブリン魔道士である、【魔人バズス】の曾祖父にあたる。
バズスの説明はまた今度。
「いよっ。ちょっと胸っこ触ろうとしただけだ。随分な歓迎しとるが」
「…………。ジーチャン。ちょこっとムネ触るのってさ……夜中に……いや、夜中でなくても人んちに勝手に侵入してムネ触るのって……それって相当凶悪な犯罪やと思いますよ? ずいぶんな歓迎するの、当たり前でしょう?」
これでもだいぶ怒りを抑えてるし。
これが見知らぬ人やったら今頃アンタ、冥王星まで吹っ飛ばされてたで?
そんくらいの怒レベルで接したのに、このジーチャンときたら。
「なんじゃ? 逆ギレかいーっ! こっちはわざわざボロ家を訪ねてやったのに、まるで人をヘンタイロリゲス変質者ヤローじゃと! こりゃ世も末じゃあ! ワシはここで腹をかっさばく。部屋に内臓まき散らす! お前さんは、ワシが噴いた血の海の中で、ゆーっくりと安眠しとったらええんじゃ!」
「な、なんやの、このジイチャン! ちょ、アタマおかしいよ?! 夜中に女子の部屋に侵入しといてさ? どっちが逆ギレなんっ!」
ガッ! と、しわくちゃの大きな手で口をふさがれた。
「……何を夜中に大騒ぎしとるんじゃい。ちっとは冷静にならんかい。これだから男を知らんションベンガキは……」
「んん?! んうんんんううむッ!」
――そして、わたしはやっちまった。
正当防衛とゆーやつを。
氷槍。
ガッチガチの冷凍庫化した和室。
ミズーリのジイチャンは、反省と詫びの弁を述べるいとまもなく、凍った身体で畳に転がっていた。
さーて。トドメを刺して寝るとするか。
「……ま、待てい。悪いのはオマエなんじゃぞ?」
「……はぁ。まだしゃべれるん? やから、なんでわたしのせいなん?」
「だから聞けい。あの洞窟アトラクションじゃ! ワシが長年かけてオープンしたあの、アステリア最大最恐のお化け屋敷、【異常なダンジョン】!」
あー。あのアトラクションね。ミズーリジイチャンの。
わたしと妹の暗闇姫陽葵のふたりで、ちょっぴりだけ暴れさせてもらったんやっけね?
「それがどーしたん?」
「アンタと、アンタの妹の黒姫がアトラクション施設を破壊したせいで、ずっと休業状態なんじゃよォォ!」
「…………ん?」
それ、わたしらのせいと?
そんなん知らんわいっ。
あのとき、アンタが要らんコトしたから、やむなく対応しただけやし。
ゆーなれば今夜と同じ。正当防衛。
「その後、借金だけが倍々ゲームで増え続け、経営は火の車。ワシはもう、ここで首をくくって死に果てるしか術がないってワケなんじゃ」
「えー。なんでここで? 頼むから果てんといて」
Gより厄介なモンが襲って来たぁ。
「そこでじゃ。名無しの権兵衛のオマエさんにひとつ、素晴らしい提案をお届けに参ったという次第なんじゃよ!」
「名無しの権兵衛ってもしかしてわたしのコト? このお話、もう【ろっき】なんやで? アンタ出演者やのに台本読んでへんの?」
「台本言うな。――とにかくじゃ。ワシの役目は主人公に物語のキッカケを与える事。……じゃなくって、ゴホン。……オマエさんと、黒姫にもあのときの責任の一端はあろう。なので早い話、ワシの提案に付き合えっちゅー話じゃ!」
提案……ねぇ。
んでここで「いいえ」を選択すると、この物語が「はいお終い」になるって道理なんや?
メンドーくさそうやし、それでもいいんやないかな? って思わんでも無いんやが。
「はいはい分かったよ。……で、提案の中身はなんなん?」
「うむ。博打じゃ! 博打に挑んで欲しいんじゃ」
「博打ぃ?!」
聞くんやなかった。
ハナヲ、不快な話




