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【完結御礼】黒姫ちゃん、もっかいゆって? ~ 異世界帰りの元リーマン魔女っ子なんやけど転生物のアニメっぽく人生再デビューしたいっ ~  作者: 香坂くら
ごきっ 魔女っ子だって女の子だもの、たとえ異世界の住人だろうとラブコメ展開しちゃうから応援してほしいっ

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じゅうごっ。 「古い日記を読む」


 心眼でその存在を確認しろ! などとゆー、まるで仙人の修行かよっ? ってゆいたくなるような苦行の末に見つけた巨塔を尻目に、結局通されたのは、ゼンゼン別の場所にある地下倉庫やった。


 しかもわたしらの相手をしてくれたのは三国一姫(みこちぎ)さんご本人や無く、国営図書館司書の肩書を持つ、年かさのおっちゃんやった。


 なんで姫さまが案内してくれないのか、とゆーと、その時間帯、三国一姫(みこちぎ)さん当人とスピア姫、それからもともと来賓登録されてた惟人と陽葵……これらのメンバーは晩さん会の方に出席してしまったから。その他例外はっても、(かんなぎ)リンも招待されてたそうやが断ったらしい。


「ハナヲセンパイと一緒に居る方が百倍幸せですから」


 そーゆわれりゃ嬉しいよ。なーんてゆえるほどわたし、器おっきくないし。ゴメンね!


「なんで、なんで、なんで! わたしは宴席に呼ばれへんのよーッ!」


 全力で文句たらたら、ホント矮小な性格なんよ。


「あんな堅苦しい席につきたいだなんて。ハナヲの思考回路はフクザツすぎですね」


「そやかてシータン。わたしは()()()にされたコト自体を悔しがってんです」


 ハーミーって方言なのって聞かんといて。

 ハーミーとはハミゴ、つまり除け者にされてるってイミ。昭和っぽい語句だしちゃった。


「ハミーって。なんだかオイシそーな響きだニャア」


 マカロンさん、あなたはハッピーライフを送りすぎです。

 繰り返しますがわたしは心が狭いんです。


 ぺちゃくちゃおしゃべりに夢中になってる水無月まなとルリさまは公式行事にはまったくキョーミなさげで、昼間した魚釣りの話題で熱くなっていた。要するには逃がした魚の大きさを自慢しあっていた。


「ハナヲよ。オメー、三国一姫(みこちぎ)さんと語らいたかったんだろ?」

「うッ。……ま、まぁね」


 南田センパイの鋭利なるツッコミ。

 そりゃま図星デス。……なんかさ、あの子に色々質問したかったんだよねぇ。

 シータンがゆう。


「でも止めといて正解ですよ。ああいう華やかな世界は何かと諸々グチョグチョありますから」

「何かと諸々グチョグチョって?」

「諸々グチョリ、です。陽葵と惟人が生贄になってくれたんですから感謝しなさいな」

「何なんよォ?」


 察しが悪いみたいなゆい方、気になるやん!


「こっちだよ。くそおせーな」

「く、クソおせえ?」


 声がかかった。先ほど述べた司書のおっちゃんだ。

 ビックリするくらい口の利き方がなってない。


 でも気遣いは相当で、暗そうなところに差し掛かると足元にランタンを当ててくれたり、曲がり角のたびに全員の点呼をしたり。


「なあ、おっさん。アンタら何で全員、海パンとか水着姿なんだ?」


 あ。そーだった。言葉遣いを知らないのは南田センパイも同じだった!


「くそウルセーよ。国の決まりだバカ。カモデナンディ公国の正装だ、カス!」

「へー。そーなんだ」

「そーだバカ」


 にこやかに笑ってるおっちゃん。表情とセリフが天地ほど合わん。

 そーか!


「このオッサン、日本語が不得意なんだよ。きっと。な? そーだろ?」

「黙れブス。悪いか」


 南田センパイ、おっちゃんの両肩をパンパン。いかにも愉快そう。

 おっちゃん、満面の笑みで大いにうなづいてるし。


 これって不得意って分類でくくってホントにいーのかな。

 カモデナンディ国。いちいち飽きさせない国やこと。

 ――ところでさ。地下に続くのは構わんがもうだいぶと潜ったよね?


「ドブスチビども。ここだ」


 口下手(……とゆーコトにしよう)の司書さんが開いたトビラの奥に、見上げるほどの大きさの書棚が数十列と並んでいた。中学校の体育館ほどの面積はありそう。さすが一国家が有するだけはある、圧巻の施設だ。


 巫リンがあっけな表情でゆう。近場の書棚に走り寄り、


「古今東西の書物がありそーですね。アステリア文字で書かれた物も相当数ありますよ?」

「メスブタども、汚ねえ手で勝手に触るな」


 そー口では責めながら、わたしらに「どーぞどーぞ」のお辞儀をする司書さん。


「こっちに日本語の本もあるでごさるよ?」

「……東海道中膝栗毛、曽根崎心中、南総里見八犬伝。……日本語ってもちょっと読めないね」


「淫売女、こっちだワレ」


 司書さんに呼ばれる。もう慣れたからツッコまないよ?


「日記? カモデナンディ語っぽいね」

「これは始祖ラマンダさまの書かれた日誌だ。無知め」

「へー」


 司書の説明やと100年以上前に書かれた物らしい。何故にわたしに読ませようとしてるのか聞いたけど「知るかブス」とだけ返された。


 リンに預ける。頼りはアンタだけや。どうかお願い。


「……えーと。……にしてもヒドく汚い字ですねぇ。『――今日、カワイコちゃんが担ぎ込まれたそうだ。全身傷だらけとの事で報告によるとクソ勇者にやられた様子。助かる見込みは半分らしい』」


 ……あぁ。いきなし重くない?

 てか、クソ勇者? 勇者って……。


「……続き読んでいーですか? 『フィルコレーヌ村絡みの案件だ。分かってた事とは言え面倒な話だ。久々にアイツと遣り取りせにゃならん』」


 ――シータンが、リンから本をひったくるようにぶつかってきた。

 思わずリンが尻もちをつく。


「つっ、痛った?! な、ナニすんですか正五位さまッ?!」


 リンの抗議をよそに、シータンのカオが引きつっていた。


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