さんっ。(こーへん) 「雑談のノリで提案するって、いーのかな」
「なっるほどニャア。留学先から帰って来たのはいーが、いまの学校での生活に不満を感じていると、そーゆーワケでござるか?」
「……不満って。別にそーゆーコトや無いとは思うけど」
「どこかの誰かと同じで成績さっぱりだったんじゃね?」
――駅前のミスド。
南田センパイと水無月まなの3人でドーナツ囲んで雑談。
バイトの時間まで時間つぶしに付き合ってもらってるとゆーワケ。
話題は惟人のコトが中心。
「期末は案外良かったよ? ……どこかの誰かってわたしのコトだよね?」
「じゃあ、どこに不満があるってんだ?」
「いやだから。不満ってより、やりがい? とか、生きがいなんかが見つかんないんだって」
私服の南田センパイは多分だが、ダレが見てもヤンキー。その彼女が声を荒げたものだから店内の人たちの注目を浴びまくる。
「ハナヲー。他の人の心配より自分の心配が必要でござらんかー?」
水無月まなの苦言。だがわたしは反論する。
「ちゃんとこの3日間補習受けて、追試だってクリアしたもん! ……宿題は未着手やけど……。てか、わたしのコトはいーの! いまは惟人のコトを相談してんの!」
「毎日一生懸命生きんのにやりがいとか不満とかグズい考えは贅沢なんだよ。とにかくやりたいコトを全力でやってりゃいーだけだろーが? 惟人クンにはそー言ってやれ」
「その【やりたいコト】が見つかんないんじゃないですか? 彼、真面目だから、その場の思い付きとか、とりあえず取り組んでみるとか、【お試し】が出来ないんでござるよ、きっと……彼は……」
マナ、アイスティのグラスを眺め、「ふ……」と大人びた微笑。
……その、遠くに行っちゃった目に問いかける。
「……マナ。まだ気になってんの? 惟人のコト」
「……そりゃ。けど彼、シスコンだからなぁ。……ま、それが萌えなポイントでもあるんでござるが」
――フクザツな乙女ゴコロだね。
「――あ。……彼さ、なかなかの目立ちたがり屋でござろう?」
「そ、そーかな?」
今日は特にござる語が頻出するねぇ。
もったいつけようってのか、ドーナツを一口かじり、アイスティーを口に含み。
「現生徒会長が突然の留学で居なくなったのは知ってるっけ?」
「……うーんと。終業式でゆってたね。……それが?」
あ、ござる語止めた?
「ウチの学校って、生徒会の幹部は生徒会長が任命する形で組織するからさ。今回、会長不在の生徒会は自然、総解散するわけでござる」
南田センパイが乗ってきた。
「へえ。よーするには副会長が代行引継ぎするんじゃなくて、新たに会長を選挙で決めて生徒会メンツを一新するってのか?」
センパイは変化や革命って文字が好きらしいぞ。
異様にイキイキしだしたよ。
「そうそう。そーでござる! 惟人クンにぜひ提案すべきだよ? 『生徒会長に立候補しない?』 って」
ちょうど良い【やりがい探し】になるんじゃない? とマナ。
妙案だとばかりに盛り上がるふたり。
「ち、ちょっと?!」
「そりゃいいぞ! 旧体制をぶっ壊せ!」
「でしょ、でしょ?」
ふたりの「カンパーイ」につられてドーナツを持ち上げるわたし。
生徒会長、ねぇ。ホント、思いつきやなぁ。
……ま、いちおー惟人にゆってみるか。




