にっ。(ぜんぺん) 「転生前よりアホ子になった?」
「すっごいムカつくの。ポーのヤツに『プール行こう』って誘われちゃって」
食卓で、バタートーストをハミハミしながらルリさまがゆう。
わたしと妹の陽葵、そして弟の惟人は、くまモンふりかけご飯に即席お味噌汁付き。
向かいの席に何故か居座っているもう一人の魔女っ子、シンクハーフ、愛称シータンは、昨夜の残りおかずのコロッケを独り占めし、それをトーストに挟み込んでご賞味中。
「? ルリさま、なんでムカつくのん?」
ポーにデートに誘ってもらって何故にムカつくのか、理解に苦しみます。
「だってさ……」
自らの胸元に目線を落とす、ルリさま。
……あ、そか。体型を気にして……?
思わず自分の……に手を当ててしまった。
「まったく寂しい限りですね」
「なッ?!」
ルリさまの頬が引きつる。恐らくわたしも同様。
「……コロッケしか無いんですか、オカズ?」
「……なんだそっちか。シンクハーフ、この家はビンボーなんだから諦めなよ。贅沢はダメだよ」
何だとコラっ、そこの魔女っ子ふたりッ!
人がせっかく親身に聞き入ってんのに、まったく不愉快千万な会話やねっ!
ウチはビンボーや無いの。チョー節約家なだけやしっ。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「……とゆーワケで、ルリさまがね。デートの誘いどうしようか悩んでるんだって?」
うーむと唸る水無月まな。元クラスメートにして、いまは一学年上の親友。
彼女が、「リア充死んで欲しいな」と毎度の前置きをしたのち、助言を発した。
「カンタンなコトでござるよ。胸なんてものは、好きな男子に揉んでもらったら、たちどころに巨乳に育つ……――ぐへっ?!」
まだ言い終わらないうちに後頭部を手加減無しで殴打される、マナ。
「テッメー、朝っぱらから何ハレンチ全開モードになってんだ?」
「いったーい。南田センパイ、いたいけな女の子になんてコトすんですかぁ?」
「ウッセ! ちっとはまわりの目を気にしやがれ。……ホント恥ずかしいヤツ」
「女子のムネは男子を楽しませるために存在する。――これは古からの習わしなんですよ? わたしはそのことをハナヲに説いてるんです。と言いますか、女子にはわたし、一切興味ありませんのでこれ以上の助言はアダルトオンリー有料サイトとさせて頂くでござる」
「この口、まだ言うか?!」
純情不良少女の南田センパイは、今日もエロ談義に赤面反応を示しキレている。
わたしは赤の他人を決め込んで空を眺め。
「……あ、しまった。教科書忘れた」
もう学校はすぐそこだ。
あ~あ、テスト前に眺めようと思ったのに。
眺めても結果は変わんない気もするが。




