私立フロンセンティア学園②
「お前らだけ仲良くしてずりーよ」
先ほど詰め寄って来ていた男子たちが、3人にぼやきを言う。
「あーはいはい」
それから、なぜか私に対しての質問大会が開催された。
「パパって有名な人なの?」
「有名だよ!魔術師の世界だと上階級だぜ!」
1人の男子が力むように熱く言う。
「そうなんだ・・・・有名なのは知ってたけど、そこまでなんだ」
「あんた、特待生で来たんだろ?そんな事も知らねえの?」
少しばかにされた言い方をされたけど、本当の事だからむかっとはならなかった。
でも、本当に私は両親のしている仕事あまり知らないのも事実。
「でもさ、カインさんって7年前に姿くらましたって噂出てるよな?それ以来行方不明だよな」
センリくんは不思議そうに何気なく言う。
「カインさん、今どこにいるの?」
もう1人の男子が疑問を持つことなく聞いてくる。
「えっ・・・・」
(どこって・・・・そんなの)
「もういない」と言いたいけど、おばあちゃんからは両親の事言ってはいけないと、年を押すように言われているから。
それに、両親からも「私達の事は誰にも話してはだめ」と言われていた。
だから・・・・・・・・。
「わ、分かんないかな。私、おばあちゃんに育てられてきたから。たまにしか会わないから」
「そうなんだ」
「う、うん・・・・」
「だから知らないのか、悪いな」
「ううん・・・・」
「・・・・ルノン?」
私の落ち込み気味の様子にセンリくんは気にするような表情を向けていた。
「でも、すげーよな、特待生って」
「えっ」
「しかも女子で魔術科だし」
「う、うん・・・・」
すごいと言われても、どう反応を返すべきなのか困って目が泳ぐ。
(魔術使えないんだけど・・・・)
「なあなあ、どんな力が得意?」
(へっ!?)
関心を持つように、1人の男子が私に言ってくる。
「えっえっと・・・・」
(どうしたらいいの!どう答えたらいいの!本当の事言うべきなの?)
困惑しながら助けを求めるかのように、センリくんの方を見やる。
「!」
私の訴えに気付き、センリくんは私に近付く。
「どうした?」
「あの・・・・私・・・」
「ん?」
みんなに言うのが気恥ずかしくて、センリくんに耳打ちする形で小声で話す。
「実は━━━」
「えっ・・・・ええ!?」
私の告白に思いかげず、大きな声を出して驚くセンリくん。
「どうしたの?」
声を出して驚いたセンリくんに、ネロくんは不思議そうな顔で尋ねる。
「あ、いや・・・・えっとまじで?」
「うん・・・・」
「えっと」
センリくんは少し困惑しながらも代わりに言ってくれる。
「そのーこの子、魔術使えないんだって。力はあるけど、今まで教えてもらった事がないから使えないらしい」
【はっ・・・・はい━━━!??】
おそらく彼らにとって最大級の驚きであろう。
それは、近くにいた人も聞こえていた人もそこにいた誰しもが驚愕していた。
「じゃあ、なんで特待生!?」
それ、私が聞きたい・・・・・・・・。
「変だね、なんか」
「招待したのは理事長だろ、何か言われたりした?」
センリくんは不思議そうに尋ねる。
「な、何も?」
おばあちゃんは何か知っていたみたいだけど、理事長さんもその事には特に話さなかった。
「わ、わかんない」
でも、本当にどうして私なんかが特待生として選ばれたんだろう。
理事長さんはいったいどういうつもりなんだろう。