導かれた学園②
「さてと、守衛さんが言うには、ここをずっと真直ぐ行けば学校が見えてくると言っていたけど・・・・ずっと木ばかりなんですけど、というか迷った・・・・・」
学校の敷地内に入り、校舎へと向うが、どんなに進んでも進んでも一向に校舎が見えてくる気配がない。
それ以前に、道が森みたいで少し恐恐しい雰囲気がある。
というよりか、既に迷っている。
真っ直ぐ歩けば着くはずだと、理事長さんも言っていたけど、どこが真っ直ぐなのかさえも分からなくなっている。
「どうしよう・・・・もうすぐ学校始まっちゃう」
理事長さんは迷うだろうと言って、案内係の人を寄こすと言っていたはずだったのに、結局居なかったし、一応、1時限目始まるまでに来てくれればいいと言ってくれていたけど。
このままだと、1時限目始まる前以前に、それさえも間に合わない。
(わああーどうしようっ)
そんな事を焦りながら歩き続けていると、木々が段々少なくなっていて、木がない場所にぽつんとベンチが置いてあるり、そこに人が寝ていた。
「人だ・・・・・」
(あの人に聞いてみようかな)
ようやく人に聞けると思い近付く━━━。
「っ!」
ベンチで寝ている人の顔を覗くと、あまりにも綺麗な顔立ちに驚いてしまう。
(すっすごい綺麗な人・・・・・お、男の人、だよね・・・・・)
「あ、あのーー」
とりあえず、道を聞きたいので声を掛けてみるが。
「・・・・・・・・」
起きてくれない。
今度はもう少し大きい声で呼んでみる。
「あのーーっあのーっ」
「・・・・・・・・んー」
(あ、起きて・・・・・・・)
「・・・・・・安眠妨害なんだけど」
苛立ちを見せながらムクリと起き上がる。
ぱちりとひらかれたエメラルドグリーンの瞳に、サラサラとした薄めのグレーの髪が、日陰だというのにとてもキラキラして女の人のように綺麗だった。
(瞳開けるとさらに綺麗・・・・・・)
「あのさ・・・・何?」
その男の人はイライラしたオーラを出して、私を睨み付けた。
「あ、いや、その・・・・」
「ていうか、あんた誰?不法侵入?」
「ちっ違います!今日からこの学園に編入してきたんです!」
「あー普通科か」
「えっ」
「それで、何か用?」
訝しそうにしながらも、どこか穏やかさが感じる。
「あ、えっと、道に迷ってしまって、真っ直ぐって言われたはずなんですが」
「あんたここ真っ直ぐと思ってる?」
「はい」
彼の言葉に何気なく頷く。
「途中で曲がり角なかった?」
「えっそういえば・・・・・何個か」
「曲がったでしょう、斜め左に」
「・・・・・・・・へ?」
「あんたはそこを曲がったから、いくら歩いても着かない訳だよ。よくあるんだよね、それで迷う人」
もしかしてひとつ目のあの曲がり角?
どっちも同じだと思っていたら、曲がり角にいたんだ。
だから、歩いても歩いても着かない訳だ。
「ど、どうしよう・・・・・。えっと、戻った方がいいのかな。ああ、でも、戻るとしたら時間が・・・・」
どうしたらいいのか分からずパニック状態に陥ってしまう。
どうしたらいいのか焦っていると、男の人は呆れた表情をしながらも私に言う。
「別にここからでも出れるけど」
「えっ」
「ここを真っ直ぐ行き曲がり角を右に曲がれば道筋になってるから、そこに道案内の看板が出てるからそれを見れば行ける」
大雑把というよりは、とても丁寧に道を教えてくれた。
「分かった?」
「はい、ありがとうございました!とても助かりました」
「別に、ああ本当に、安眠妨害」
うっとうしいそうに言うけど、本当はとても優しい方なのかもしれない。
私はもう一度お礼を言い、教えてくれた道を駆け足で向かったのだった。
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「着いた、ほとんどギリギリだけど」
教えてくれたあの男の人、多分ここの学園だと思うけど、名前だけでも聞いておけばよかった。
同じ学園だし、会えるだろう。