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キセキの魔法の蕾  作者: 月季
12/14

新しい生活③

「わあ、広い食堂だね」




「だろ」




夕食時、センリ君達が迎えに来て、寮の食堂へとやってきた。





「うん・・・・ここのご飯美味しい。今日はなんだろう」




ネロくんは嬉しそうにワクワクした表情をしている。




「お前は、ご飯時が一番元気だな」




レイアンくんはネロくんを茶化したように言うと、ネロくんは少し不満そうに否定する。




「そんな事ない」




(仲いいな、この2人)








「くんくん・・・・やっぱいい匂いする♪」




「ひゃ」




ふいに気づくといつの間にかにいたフウラくんが私に近づいて匂いを嗅いでいた。




「あー!可愛い声」




「フウラ!」




センリくんはズカズカとフウラくんに近付く。




「こいつに近付くなって言ったろ!」




「えーでも、いい匂いするんだもん。

別にいいじゃん嗅ぐぐらい」




「ダメだ」






「いい匂い?」




2人の会話に関心を持つようにネロくんも私に近付く。




「ネロくん」




ネロくんはフウラくんと同じように私を嗅ぐ。




「ふんふん」




「あ、ネロ!」




「? 女の子の匂いだね」




フウラくんと同じような反応ではなく、普通の反応だった。





「ネロ」



するとセンリくんはネロくんの襟元を掴み「あんまりそういう事するな」と注意されるが、ネロくんはキョトンと首を傾げる。




「なんで?」




「なんででも」




「?」



ネロくんは何がいけないのかよく分かっていない様子でいた。





「えっと、フウラくん」




「あ、名前知ってたの?」




「う、うん。センリくんが教えてくれて」




(あれ?敬語じゃない?)




先ほど会った時は確か私にも敬語で話していたけど、なぜか普通に話している感じになってる。



「そっかあ!よろしくね。

確かルノンちゃんだっけ?」




「うん。ルノン=ルイ・シアータです」




「えへへ、よろしくね」




「!?」




そして、急にフウラくんは手を両手でぎゅっと握られる。




「あーこらーフウラ!」




握られる行為にセンリくんはまたフウラくんに注意する。




「手を離せ」




「はーい」




フウラくんは意外にもあっさりと手を離してくれた。






「まあ、いいや。今回はこれでいいか」




「・・・・」




フウラくんは少し意味深な素振りを見せては耳元に顔を近づけ━━━。




「今度は舐めさせてね」




と、ささやき頬にチュっとキスして、私から離れていった。




「っ!?」






「フウラ!?」




フウラくんの言動にセンリくんは突っかかるように攻める立てる。




「今、何した?何した!?」




「やばいよこの子!」




「はあ?」




「超美味しい!」





(美味しいって何?)





フウラくんの私に対する言動がひとつひとつが驚きばかりだった。





「そろそろみんな集まって来た頃だし、紹介した方がいいんじゃないのかしら?」





「ロレッタさん!」





私達の間にロレッタさんが声を掛けてくる。





「だな」





ロレッタさんの背後には、背の高めのネイビーの髪にブラックの瞳のした男性が見え、私達の前に現れた。





「あ、寮長」




(寮長?この背の高い人が?)




「よう、あんたが転校生のルイ・シアータだな」




「あ、はい」




なんか怖そうな雰囲気で少し体が怖ばる。






「クーちゃん。ルノンちゃん、怖がってるわよ。もう少し柔らかくしなきゃ」




私が怖がってるのに気づいてくれたのか、ロレッタさんは寮長さんに注意する。





「クーちゃん言うな。

それにこの顔は生まれつきだ」




「クーちゃんはクーちゃんでしょ?」




「クーちゃん」



すると、ロレッタさんの茶目っ気のある寮長さんのあだ名みたいな呼び方をネロくんが真似をした。




「ネロも言うな」



寮長さんは真似をするな的な言い方でネロくんに注意したのだった。



(ネロくんまで)






でも、今の空気で少し彼に対しての怖がりがやわらくなったかもしれない。




ロレッタさんはもしかして、わざと・・・・。





ロレッタさんの方を見るとすごくいたずら化の顔をしていた。




多分、本心でやっていたのだろう。







「えっと、寮長さん?」




「ああ。クーエン・リトルガだ、よろしく」




「あ、ルノン=ルイ・シアータです。よろしくお願いします」




「ああ、礼儀正しい子だな」




クーエンさんは一瞬、ほほえみを向けてくれた。





「・・・・・・・・」




一見大きくて怖そうな感じはするけど、本当は優しい人なのかもしれない。




気が付くと食堂のいる人達の視線が私達に注がれていて、なんとなく気付いた寮長がセンリくんに忠告する。



「おい、センリ。注目しているから」




「ああ、そうですね。おいで、ルノン」




「・・・・!」




そう言って、センリくんは私の腕を掴み、食堂の中央へと行く。





そして━━━━━━。





食事の前にみんなに私の事を紹介し始めた。







「という訳だから、入浴の際は気をつけてくれ」




センリくんの注意事に全員がしっかりと頷く。





(意外と分かってくれているみたい)




もっと口論するかと思っていたけど、逆にすごく素直だ。





「もしかして、反発すると思ってた?」




「えっ」




すると、私の心を見透かすかのようにロレッタさんが小声で尋ねてくる。




「けっこうお利口さんなのよ、ああは言ってるけど」




夕方頃の言っていた事か。





「学校がしっかりしてるからね」




(そっか、そうだよね)







「それに、センリくんがそうさせてるのもあるのかもね」




「センリくんが?」




センリくんの名を出されて、センリくんの方を見やる。




「本当、センリくんってあなたはの世話係よね。ものすごく心配してて、まるでお兄ちゃんって感じ」




「・・・・・・・・」




確かに、センリくんってびっくりするくらいに優しく接してくれる。




男の子の兄妹は居たことはないから分かんないけど、まるでお兄ちゃんみたいだ。




本当に優しい人だ。




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