99 川場くんの初恋
はじめまして川場です
ちょっと前まで五月病で会社を休んでました
五月病になった原因はわかりません
でも治った理由はわかります
彼女です
会社を休んでいる間はずっと部屋に籠ってました
まったく何もする気がしませんでした
そのため一日中、ぼーっとしてました
朝起きて、ご飯をたべて、ぼーっとして、寝るの繰り返しです
ときどき師匠から電話がかかってきましたが、ほとんで聞いてませんでした
電話が切れたらスマホを机の上に置きます
ただそれだけです
まったく内容を覚えていませんでした
そんな時、スマホにメールが来るようになりました
「おはよう」と「ようやくお弁当です」と「仕事疲れました」です
彼女からでした
最初は同じ課の人からのメール、それだけでした
でも日に日に内容が増えて行きました
「カイワレ大根の観察日記」
「通勤電車を降りようとしたら目の前で扉が閉まった笑い話」
「会社を出たら絡まれたので逃げた怖い話」
「会社のロッカーにラクガキされた怒れる話」
毎日、メールが送られてくるののがたのしみになりました
でも返事は送りませんでした
最初に返事を送りそこなったため、なんか送れなくなったんです
後で後悔しました
なんで最初に返事をしなかったんだろう、と
そうしているうちになんだか部屋に籠っているのがばからしくなりました
それで部屋を出て母親に「明日から会社に行く」と伝えました
そした涙ぐんでました
おかあさん、今までごめんなさい
次の日の朝、着替えて1階に下りて行くと朝食とお弁当が用意されてました
両親は朝食を食べずに待っていてくれました
ちょっと恥ずかしかったです
会社に行ってすぐに課長に謝りにいきました
「きょうはメールや届いている書類の整理をして、明日から再開だな」
暖かく迎えてくれました
先輩はムスッとしてましたが「すみませんでした」と謝って頭を下げると
「夕方帰ってきたら引き継ぎだからな」
とそっぽを向きながら言ってくれました
もう弟子とは呼ばれないし、師匠とも言わないけど嬉しかったです
朝礼で課長に促されて皆にあやまりました
その後、新入社員歓迎会の話になったので彼女に話しかけてみようと思います
お弁当の話も、ワンダーな人達も、五月病も、新入社員歓迎会もすべてこの話のためでした
おかげでブクマが大幅減少です(涙)
まあ、私の実力不足が原因なので自業自得なのですけどね(シクシク)




