32 猫・ネコ・カーニバル(拾得編)
「・・・おはようございます、社長」
イケメンが取引会社の社長(美魔女)に挨拶をする
「はい、おはよう! あら、今日はおとなしいのね?(クスクス)」
笑いながら社長が言う
「・・・実は先輩に指導されまして・・・」
苦笑いしながらイケメンが答える
「あらあら、剛田さんね?」
「・・・やっぱり、わかりますか?」
「だってその『・・・(3秒沈黙)』って剛田さんが昔よくやっていたもの(クスクス)」
「・・・先輩がですか?」
「そうそう!男ばっかりの高校と大学ですごしたんですって
それで、うちの会社のように女ばっかりだと緊張してドモッてしまって仕事にならなかったのよ?
だから意識を少し逸らして話ができるようにって考え出したそうよ?」
「・・・俺の場合、言う前に一度頭の中で考えてから話せ!です」
「あらあらごめんない、その『・・・』はうち(の会社では)やらなくてよくってよ?」
「あざっす!(ニコニコ)」
「やっぱりそっちの方がいいわね」
<ゴリラめ!いらんことして!盛り上げ要員(場を盛り上げる要員)なのに!>
美魔女がそんなことを考えてるとも知らずにニコ顔のイケメン
知らないってとこは幸せだ(笑)
昔、女ばかりの会社でギスギスしていたところに空気を読めないイケメンがきた
なぜだか会社の中の雰囲気が良くなった
どこと取引してもよかったので、会社が潤滑になるおまけがついてくるイケメンにしよう
それ以来、イケメンが営業に来るようになった ←いまココ
「そうっすかー? あざっす! お礼に肩もみましょうかー(笑)」
イケメン、調子にのるのる!
「あらそう?じゃあお願いね?」
本当に肩をもむイケメン
セクハラとかまったく考えないところがある意味すごい
「あー気持ちいいわー、そこ!そこ!そこをもう少しお願いね」
「ラジャッ!いつもより多く揉んでまーすっ(笑)」
「いつもより多く揉まれてまーす(笑)」
「ああ、軽くなったわ、ありがと」
「オレ、結構うまいんすよ、肩もむの!」
そりゃ空気読まずに誰かれかまわずもんでればうまくもなりますって
「それじゃ、注文の方お願いね?田中に言ってあるから下で注文書貰っていってちょうだい」
「あざっす!」
「田中さーん、ちーっす!」
おちゃらけた挨拶をするイケメン
「ちーっす!」
それを普通に返す田中総務課長|(42歳)
おい、そんなことでいいのか?
いいんです
課長以下、すべての課員が集まって、休憩がてらイケメンで遊ぶ!遊ぶ!
たとえるなら、高校球児とそれを愛でるおばちゃんって関係?
イジって遊ぶ!ですね
それでストレスが減る、雰囲気が良くなる、仕事がはかどる、なので社長公認です
すんげー会社(笑)
最上階の社長室から下のフロアに移動して、注文書を貰った後
ついでに女子社員と雑談した上にコーヒーと茶菓子を食いまくって帰るイケメン
それでいいのか?
イジられて場を盛り上げるのも営業なのでいいのか?な?
これで今月のノルマが少し減ったーと上機嫌で歩くイケメン
少し離れた駐車場に向かうその足取りも軽い!
途中で、ぼろ布が入ったダンボールが路肩においてあるのを見かける
きったねーなーと思っているとぼろ布が少し動いた
なんだ?と思ってみるとネコだった
「なんだ捨て猫かよ?」
その一言で切り捨てて歩きだすイケメン
外道である
まあいまどきの若者ならこんなもん?
ペットはゲームやYVの中だけ?
と、思ったら立ち止まてダンボールを持ち上げて、美魔女の会社に逆戻り!
ネコ拾ったって言えば好感度あがるんじゃね?
そうすれば3課の彼女も見直す?
ネコをダシにして付き合うようになる?
開発に行けるかも?
ひょっとしたらゴールイン?
いんじゃね?
だったら、ちょっと汚れてるから戻って洗わせて貰おう!
綺麗な方が好感度あがるしな
以上、イケメンの下心でした
砂糖20個いれたくらい甘い考えですね
それで行動するのがイケメンクオリティ!
美魔女の会社に戻ると
「出ていけー!」
と皆に追い返された!
なぜ?!
「社長!アレがネコもって帰ってきましたよ!」
田中が内線で連絡してくる
「はーっ」
ため息を出す社長
「とりあえずネコが関係している間は出入り禁止よ!」
「かしこまりました」
<ガチャン(受話器を置く音)>
まさか、私がネコアレルギーって知っていて持ってくるとは・・・
少しの毛でも呼吸が出来なくなって死にそうになったって何回も言ったのに全く覚えてないわね・・・
うちの会社を潰すつもりかしら?
このモヤモヤはゴリラ=イケメンを指導する先輩に責任をとってもらいましょうかね・・・
イケメンが真面目に仕事していると思った方は残念でした!
たまたま運が良くって、そう見えただけです
すぐにメッキが剥がれます!
なお、話中のような会社や社員は実際にはいませんから!
笑える作り話の中だけですよ?
こんなんだったら確実に潰れてます