10 イケメン撃退
ああっ、あいつまたちょっかいを出している
自分の机で発注伝票を入力していたらイケメンが目に入った
いやがっているのになぜ気がつかない?
<カタカタカタ>
急いで入力する
「課長、チェックをお願いします!」
<助けてやってくれ、頼む>
<了解>
課長と目で会話してから救出に向かう
「ちょっといい加減にしなさいよ!仕事中でしょ!」
むりやり押して部屋からだす
「・・・ありがと、助かった」
やつれた顔をしている
おのれイケメン、私の嫁に何をするんだ
まったくもう
一枝との出会いは会社に入ってから
最初はたまたま一緒の部署になっただけだった
でもある夏の日、私の家族が夏バテと夏風邪でバタバタ倒れた
その看病と家事で私も倒れそうだった時に
「後は私がやりますから帰ったらどうですか?」
と声をかけてきたのが付き合いの始まり
声を掛けた理由は『あんなに顔色が悪い人初めて見たので心配になった』からだそうだ
看病は大変だったけど定時に帰った分、楽になった
でもその代わり一枝が終電直前まで残業をしていたっていうのはかなり後になってから課長から聞いた
また、早く帰った翌日、取引先からの貰いもののイチゴ大福を
『お腹がすいてないのでどうぞ』
とお茶といっしょに貰った
甘いものが身体にしみた
その分ちょっと元気になった
おかげで看病を乗り切ることができた
でもイチゴ大福は一枝の大好物だって聞いたのもだいぶ後になってから知った
大変な時に助けてくれた
でもその分自分が苦労したのをおくびにも出さない
その苦労を知った時涙がでた
思わず抱きしめたら脇腹を叩かれた
なんで?って聞いたら
「おっぱいで(窒息)死ぬところだった」
と言われた
ごめん!
「一枝ちゃんは私の嫁!」
というと
「ひとみちゃんは一之瀬さん(私の彼氏)の嫁でしょ?」
と笑って言う
お気に入りって意味で結構本気なんだけどな
困っているなら今度は私が助ける!
とりあえず人事の一之瀬さん(恋人)を使って情報収集をしてみよう




