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第7話 魔法使いへの道

 



 誰しもが幼い頃に一度は憧れる魔の法則すなわち魔法。


 俺は今その神秘の一端に手を伸ばしていた。





『エレインのゴブリンでもわかる魔法講座〜〜♪』


「(パチパチパチパチパチ)」


 今日も今日とて修行のため、いつもの空き地に向かったはずがなぜかその場所には椅子と黒板が用意されており気がついたらこんなおかしな状態が展開されていた。


 状況に付いて行けていけてない?


 安心しろ俺もだ。



「師匠!これは一体なんですか?」


『よく聞いてくれましたレイヴィン!この講座はレイヴィンに素手での戦闘技能にどんなのを教えようかと考えた時に魔法使えれば完璧ですねと思ったことから始まった魔法授業なのです』


「なるほど、つまり思いつきなんですね」


 人生二つ合わせて苦節28年、遂に俺も本物の魔法少年になれるのか。


 ……この歳で魔法少年かよ




 急遽始まった魔法の授業、しかし俺には不満は無かった、俺自身この世界に来て文字を覚えてから直ぐに独学で魔法の勉強をしたくらい魔法に興味を持っていた、ただその時は途中で魔法が使えないことを知って諦めてしまったが今でもできる事なら魔法を使ってみたいと思っているからだ。


 決して今日の修行が中止になった事を喜んでいる訳ではない事をここに記しておく。


 ただ一つ不安なのが、今までの修行の展開を考えると魔法よりも物理に寄って、『マジ狩る・フィジカル』な『魔法(物理)少年』になりそうな可能性が垣間見えることだ。



『ではまず魔法についてをどれだけ知ってるのかについてを、さらっとでいいので言ってみてください』


 授業開始直後に指名を受けたが問題ない、俺の今まで貯めに貯めた魔法知識を披露してやるぜ。


 記憶の中にある、本の中から魔法について書かれている部分を思い出しながら発言する。


「魔法は魔力を対価に発動させる一種の奇跡であり、魔法の種類はその奇跡の効果によって系統分けされています。


 魔法によって、様々な自然現象を引き起こす、【属性魔法】


 空想を現実に、現実を虚構に変える、【幻惑魔法】


 万物を解析し、物質を掌握する、【変性魔法】


 邪悪を払い、人々に癒しを与える、【回復魔法】


 対象と制約を作り、契約を交わす、【召喚魔法】


 これらの全部で5系統の魔法があり、魔法を使える者達は魔術師と呼ばれています』


 完璧だ。


 俺はエレインに完璧な解説を披露した、伊達に魔法について勉強していた訳ではない。


 そんな俺の知識の披露に対してのエレインのリアクションは散々だ。


『うわーー、なんでそんな詳しいんですか?あれですか魔法オタクってやつですかね?しかも典型的な教科書学習、友達に頭固いとか言われません?』


「う、煩いよ、ついこの間まではやる事がなくて、本当になくて暇な時間は本を読むくらいしかなくて……」


 精神に大ダメージを受けた


 後、友達の事については触れ無いでください泣きたくなるから。



 エレインとこんなふざけた会話ができるようになった事を喜べばいいのか迂闊な行動を後悔すればいいのか、ただ今まであった過程を振り返ると俺のトラウマが蘇るので過去には触れず未来だけを明るく見ていく事にした。


 具体的な俺のトラウマは、お酒、うさぎ、修行……うっ、頭が。




『基礎知識はちゃんとあるようなので安心しました。まあ魔法なんて基礎知識知らなくてもルールさえ合っていれば発動しちゃうものなんですけどね、という事で私が魔法について説明しまーす♪』


 エレインのこれで君も立派な魔法使い!


 〜〜嘘っ、ゴブリンでも賢者に!〜〜


 はっじ、まっるっよぉ〜〜


 エレインの児童向けの声色で魔法講座の開始が宣言された。





 〜〜魔法講座〜〜




 1時間後、



 そこには目のハイライトを失った俗に言うレイプ目のショタっ子と見た目中学生位の表情の薄い少女がいた。


 客観的に見ると事案である。



「かゆ……うま」


『あちゃー、ちょっとやり過ぎましたかね』



 あは、あはあはあは、あは、魔法なんて簡単さ世界に存在する精霊に魔力で変換した結果起こる事象が魔法なんだろ。それでいいじゃないか!難しい専門用語使わずにもっとわかりやすく簡潔に説明してくれよ。魔法なんてファンタジーな分野が理系脳な化学全盛の時代に生きていた俺の様な人間に理解できる訳ないだろ!難しい部分不思議(ファンタジー)で解説さ、全部精霊のせいでいいのさ。




『しっかりしなさい、エイッ!』


「ulファンタジーnje魔rj?m、痛っ!」


 頭にチョップを受けて少年は正気を取り戻した。


「俺は一体何を……」


『ちょっと一気に説明しすぎたみたいですね、ちゃんと理解できました?』


「不思議な事は全部精霊のせい」


『あっ、これダメなやつですわー』


 いいんだよ、もうこう細部はフワッとさせておけば全部ファンタジーで片付くんだよ。

 魔法なんて理不尽(ファンタジー)な法則をそもそも言葉で説明しようとするのが間違いなんだよ。


『まあ一通りの知識は途中で面倒臭くなったので妖精たちに伝わる秘術で物理的に脳みそにねじ込んだので大丈夫でしょう』


 うん、あのキスから始まる脳みその蹂躙ね。


 あの講座、15分ほど経った頃、何を思ったのかエレインが急に俺の方に来て俺の唇にキスをしてきた。


 俺はその驚愕の行動に驚く間も無く突然の頭痛に思考が断絶された。


 頭痛の原因は脳内に流れ込んでくる知識の洪水、俺の知らない知るはずのない流れ込む魔法の知識ははただひたすらに俺の脳内を犯していった。


 その結果俺の精神が若干崩壊した、いまは正気を取り戻す事ができたけど、ただ今でもちょっと乗り物酔いのような気持ち悪さは残っている。


「いや、どう考えてもあの魔法は無い」


『まあ現在では妖精族たちも禁術にしている魔法ですからね』


 そんなものを弟子に使うなと言いたい。


『でもそのおかげで魔法の仕組みは理解できましたよね』


「ああ、理解しなくていいって事が十分理解できたよ」


 例えばで言うと、テレビの仕組みや作り方なんて一欠片も知らなくても使い方さえ知ってればテレビは観れるんだぜ。


 結果的に俺は色々なものを犠牲にしてそんなどうでもいいものを手に入れることになったのかよ。


 ……俺のファーストキスが(前世も含めて)




『あっ、私もファーストですよ』


 ……要らないよそんなカミングアウト!

 どんな表情をすればいいのかわからなくなるだろ!


「えーっと、ご馳走様?」


『こ、この話はなしにしましょう』


 珍しくエレインが照れたがそれ以上に俺も恥ずかしかったのでこの話は無かった事になった。




 ♂♀




『レイヴィンは多分この世界の人間の中で一番魔法について詳しくなりましたよ』


 やったね、たえちゃんry


 す、凄い。俺にどんどんとチート能力が加算されていく、これが主人公たる者の宿命か。


 まあ、知識をどれだけ集めようとそもそも俺、




 魔法使えないんですけど。




『えっ!レイヴィン魔法使えないんですか?』




 空気が死んだ。


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