しがない作品
「我ながらすごいものを創ってしまった」
我輩は陶芸家である。いつも工房でぼーっとして過ごし、次回作を考えていたのだが、今、たった今、すごいものが出来た。
「そうだ。これは妻を呼ばなくては」
我輩はものすごいそそりったっているこの作品をだれかに見せたかった。ものすんごい見せたかった。だって傑作なんだから……。
リビングでテレビを見て笑っている妻を見つけると、我輩はその手を引き工房へ連れていった。
「見ろ、ものすごいものだろう」
妻は目をばちくりさせている。
「なにこれ?」
妻は心底けげんそうに言った。
「すごいであろう。我輩の傑作である」
我輩は大きくうんうんとうなずき、その傑作が何なのか説明した。
「これは生命の根源をかたどっている。これなくして生命はなりたたないのだよ。つまりこれが源であり、生命の最終的な形であって……」
「ちんこでしょ。これ」
「……まあ、そうだ……」
「よくできてるね。このちんこ」
「……いや。ちんこであってちんこでない。これは、確かにちんこの形をしている。だがこれはまんこでもある」
「……なんで?」
「良く見なさい。これがちんこに見えるかね」
「見えるけど……」
「……そうか。残念だ。君にはわかってもらえると思っていたよ」
本当に残念だと、心の中で我輩はつぶやいた。
一ヵ月後。個展をギャラリーで開いた。
そこに例の傑作が鎮座している。
(ちんこ)
100000円
妻が個展を見に来て言った。
「結局ちんこじゃん」
end




