夢の中で(ファンタジー)
最近、枕を変えたら世界が変わった。
始まりはある骨董品店に行ったことだった。
その店の棚の上に何の変哲もない、けど目というか意識を惹かれる枕が置いてあったんだ。
ちょっと高かったけど買ってみて使ったら世界が変わったんだ。
俺は今、林の中にいる。1冊の本を片手に。
おかしい、昨日ベッドで買った枕を使って寝たはずなのに。
周りからは、鳥の鳴き声と木々のさざめきしか聞こえない。
夢だと思ったが、それにしては意識がはっきりしている。
いつまで現状に呆然としていたのだろう。
正気に戻った?俺は現状確認を始める。
服装は昨日寝た時のTシャツとジーンズのまま。体も元の体だろう。
しかし、片手に見たことのない本を持っている。
表紙にタイトルは書いてなかったが、1ページ目を開いて見ると書いてあった。
”夢見の枕”。
資格者がこの枕を使って寝ると、異世界に転移する。
この世界は夢の狭間であり。
俺の存在はこの世界に影響を与えるかもしれないし与えないかもしれない。
この世界で何かをしてもいいし、何もしなくてもいい。
マスター権限で、資格者は5つのスキルを所得出来る。
肉体は現実世界のものが、スキルはこの世界のものが適応される。
この世界で睡眠を取ると、現実世界へ帰還する。
以降、どんな枕を使って寝ても2つの世界を行き来する。
本の最初の章に書いてあった事を要約するとこういうことらしい。
どうやら現実には帰れるようだ。
それだけで大きな安心を得て、同時に異世界へ来た高揚感を感じる。
次のページからはスキルの名前と詳細が1ページずつ書かれていた。
異世界にありがちな無限収納から魔法各種まで。
俺はそのまま1時間程森の中で考え込んだ。しかし答えが出ない。
なぜならこの世界のことを全く知らないからだ。
もし強いスキルを得て「俺TUEEEEE」しようとしたとして。
この世界が現代日本と同じようなら、それは完全に宝の持ち腐れとなる。
同じことが生産系スキルでもいえるだろう。
しばらく悩んだ末、スキルはまとめて5個取る必要が無いことに気が付いた。
ならば、必ず使える便利なスキルを取る。それは無限収納と鑑定だ。
間違いなくこの2つは便利だと断言出来るので取ってみた。
スキルを2つ取って、さて旅立とうかと思ったが、最後のページにスキル以外のことが書いてあるのを見つけた。
俺のステータスだ。
//ステータス//(実際に書く時にちゃんと考えようそうしよう)
名前・伊勢 階
年齢・20
性別・男
職業・大学生
体力・25
魔力・10
筋力・25
敏捷・25
器用・25
知力・150
スキル
鑑定(ユニーク)
無限収納(ユニーク)
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分からん。俺が強いのか分からん。
とりあえず知力だけは高そうだが、これが平均以上かも分からん。
分からない事を考えても仕方ないのでそろそろ移動しよう。
移動しながら、手に入れたスキルというものを使ってみる。
使い方は、とりあえず鑑定は意識するだけだった。
地面を強く意識してみると。
///////////////
名前・土
養分をそこそこ含んだ土。
///////////////
と意識に流れ込んできた。
そして無限収納は、何か言ったほうが良いのかとも思ったが本曰く考えるだけでいいらしい。
試しにジーンズに入っていた10円玉を無限収納に入れるイメージをする。
すると、手の前に黒い穴が開いた。
手を突っ込んでみるとどうやら中に入れることが出来たらしい。穴が消えた。
うむ。現世で使うとものすごく目立つな。
次に出す方法は2通りあった。
まずは出したいものを意識して、黒い穴を出して引き出す方法。
そして、出したいと意識すると入ってるもの一覧が出てくるので、選択して黒い穴から出す方法。
他にも何かないかとスキルで遊んでいるとテンプレな存在を見つけた。
というより見つかった。
ムサイ男である。集団である。
鑑定をすると表示される盗賊という職業の嵐。
そして、その後ろで縄で縛られている虚ろな目の女の子。
盗賊に見つかったというのに、そんな事も忘れてその少女に魅入ってしまった。
流れる長い銀髪。庇護欲を誘う幼い容姿。そしてなにより。
頭に付いている狐のような尖った耳。獣耳である。異世界である。
そんな幼女を見ているとおっさんのリーダーみたいなのが何かを喚いている。
言語は、実は日本語らしく聞き取れるが、内容が入ってこない。
彼女をガン見しながら、助ける方法を考える。
ステータスを見ると、どうやら盗賊の筋力の平均は50くらいらしい。
このまま殴り合えば、集団ということもあり即死だろう。
だって、さっきから無視してたからか、腰の剣を抜き始めたんだもん。
助けるためにはスキルを取るしか無い。しかしどうもテンプレ異世界っぽい。
候補として考えていたスキルを、緊急だが本で獲得した。
肉体強化(至)
この世界の住人と現世の俺で、能力差が大きかった場合に取ろうと思っていたスキルだ。
魔法も獲得しようかコンマ秒悩んだが、今覚えて使える気がしない。
スキルを獲得したと同時に、盗賊が切りかかってきた。
しかし、さっきまでとは違い辺りがスローモーションに感じる。
どうやら、思った以上に能力が強化されたらしい。
もう一つスキルを獲得しようか悩んでいたが、これで十分だ。
俺は格闘技を習ったことが無いので、もちろんテレフォンパンチで盗賊に対抗する。
しかしスローの世界を一人速く動ける俺のテレフォンパンチだ。
相手は回避の動作をしようとしたが、時すでに遅し。
俺のパンチが盗賊の腹にめり込む。比喩ではない。めり込んだ。
盗賊が血を流しながら倒れこんだ。俺はそいつを確認するまでも無く他の盗賊に蹴りかかった。
ただの飛び蹴りが当たった盗賊は吹っ飛んでいった。
ヤクザキックを当てた盗賊も吹っ飛んでいった。
裏拳もどきを顔に当てた盗賊は、体の中心を軸に1回転半して顔面から地面に落ちた。
制圧するのに掛かった時間は俺からしたらかなり掛かったが、振り返って見ると最初の盗賊が崩れ落ちる所だった。
どうやらかなり加速していたらしい。
終わった後に正気に戻ったが、どうやら俺は人を殺したらしい。
あんな勢いでふっ飛ばしたら死んでしまっても仕方がない。
普通なら自責の念に潰されると思うが、不思議と無かった。
異世界だからだろうか?
少女の安否を確認しに近寄る時にステータスを見てみた。
///ステータス///
体力・25 + 101
魔力・10
筋力・25 + 101
敏捷・25 + 101
器用・25 + 101
知力・150+ 101
スキル
鑑定(ユニーク)
無限収納(ユニーク)
肉体強化 (至)(150)
///////////////
ステータスがどえらく追加されていた。
そして肉体強化に数値が書いてあった。
何かは分からないが、多分経験値かそんなのだろう。
少女に近寄って縄を解く俺。虚ろな目で見てくる少女。
「大丈夫か?」
気の利いた言葉も出てこなかったが、少しだけ少女の顔に表情が戻った気がする。
「ありがとう・・・ございます・・・。」
消え入るような声で礼をしてきたが、依然と死んだような顔をしている。
「家に送り届けるよ。どこから来たの?」
「家・・・無いです・・・。」
「家族の人は?」
「さっきの人たちが・・・パパ、ママ・・・。」
そう言って静かにその場で泣き始めてしまった。
どうやら、家も家族もいなくなったらしい。
俺は泣いている少女にどうしてやることも出来ず、側で突っ立っているだけだった。
しばらくして少女が泣き止むことは無くても、話が出来そうにはなった。
「どこか行く宛は?」
「ない・・・です・・・。」
「この近くに街は?」
「分からないです・・・あの人達に突然連れ去られて・・・。」
「どこで襲われたの?」
「分からない・・・パパとママと旅してた途中で・・・」
ふむ。周りの状況もわからず少女と一緒に遭難か。
少女を置いていく選択肢は存在しない。
こんな可愛い女の子を置いて行くなんてありえない。
行く先は2通りか。盗賊が来た方向、それか盗賊が向かっていった方向。
来た方向には道がありそうな気がする。向かう先はアジトか。
俺は決断する。
「行くところがないなら、俺に付いてくるか?」
「えっ・・・」
かっこ良く誘ってみたが戸惑いを見せる少女。
そらそうだよね。知らない男の人にいきなり付いて行かないよね。
「実は俺、この辺りの事全然知らないんだ。絶対安全は守ってやるから、出来れば少し教えて欲しい」
「あの・・・」
ここは押していくんだ俺。ここで押さないとこんな所に少女を一人にしてしまう。
「どのみち、ここにいたら危ないかもしれないし生きても行けない。両親がくれた大事な命を無駄にしたらダメだ」
「でも・・・私なにも出来ない・・・」
後ひと押しで何とか出来る気がする。というかする。
「大丈夫。さっきの見てただろ。俺強いから君一人位なら守れる」
「でも・・・あっ・・・!?」
俺は有無を言わせず少女を肩車した。
「というかここに君をおいて行ったら俺が心配で死にそう。せめて街かそこらまでは送らせてくれ」
「・・・はい・・・ありがとうございます。」
無気力に返事してくる少女。
流石に両親が殺されて、すぐに元気になれる子供は居ないか。
もしかしたら、一生引きずるかもしれないレベルだしな。俺なら引きずる。
しかし俺なんだか、地球に居た時より思想がドライになってる気がする。
普通、今まであったことに遭遇すると、トラウマになってもおかしくない。
異世界だからというより、ステータスの問題か。
もしかしたら、高かった知力がさらに上がって、達観でもしてるのかもしれない。
そして俺は少女を背負って「盗賊のアジトの方」へと向かった。
まずは金目の物手に入れないと、多分街入れないからな。
しばらく、といっても俺の足でしばらくだから30分くらいだろうか。
ボロい木の小屋が見つかった。たぶんこれか。
中は散らかってはいたが、粗末なベッドと幾分かの硬貨、そして食料があった。
少女は疲労が限界なのか、疲れた顔をしている。
今日はここまでかな・・・。
「なぁ・・・あぁ、そういえば名前聞いてなかったな。おれは伊勢 階だ。カイって呼んでくれ」
「アリスです・・・」
「そうかアリスか。じゃアリス、今日はもう疲れたし、ここで寝て明日になったら街を探そう」
「はい・・・」
「じゃ、おれは見張りも兼ねて外でいるから、ベッドで寝てろ。疲れただろ?」
そういって出ていこうとしたが、袖を掴まれた。
振り向いたら、泣きそうな顔のアリス。
「おいて・・・いかないで・・・」
絞りだしたような声で必死で伝える。
俺はしゃがんで、アリスの頭を優しく撫でる。
耳に少し触ったのは事故である。
こんな真剣な場面では遊ばない。たぶん。
「そうだよな、心細いよな。気づかなくてごめんな。じゃ、一緒に寝るか。」
見張りは俺の現在の感覚なら気づくだろうし、大丈夫だろう。
そしてアリスを優しく抱きしめて寝る。無論手は出さない。当然である。
アリスは泣き疲れて寝いる直前まで、両親を呼び続けていた。
手が出せるわけがない。
起きると、そこは自宅のベッドだった。あぁこっちの世界に帰ってきたんだな。
俺は腕の中の柔らかな感触を確かめながら、明日どうやって街を探すかを考える。
ん?・・・腕の中の感触?
俺はアリスを抱きしめていた。どうやら一緒に寝ると世界を跨ぐらしい。
そして玄関のチャイムの音。同じ大学の幼なじみが起こしに来たらしい。
俺は加速された思考の中でどうするかを考える。
アリスを隠して一人大学に行く。ダメだ、今のアリスを一人に出来るわけがない。
じゃ、アリスを連れて行く。それはもっとダメだ。警察を呼ばれそうな上に耳が生えている。
なら、仮病で休むか。それはいい考えだ。その場しのぎではあるが、その間に何とかすればいい。
そして俺はチャイムの主へ最適解を突きつけた。
それが最大の失敗だと忘れたままで。
「すまん、今日体調悪いから大学休むわ。置いていってくれ」
「えっ、カイ君体調悪いの!?大変!?看病しなきゃ!?」
そして合鍵で部屋に入ってくる幼なじみ。
俺の幼なじみはとても心配性なのだった。
俺は己の失敗に気づいたが、体が何故か動かなかった。
アリスが抱きしめてきたからだ。
俺とアリスを見る幼なじみ。
「パパァ・・・」と切なそうにつぶやくアリス。
思考を加速する俺。
スマホを出す幼なじみ。
「通報・・・通報しなきゃ・・・カイ君がちっちゃい女の子を誘拐してる・・・」
「待て誤解だ!?やめてくれ!?」
月並なセリフしか出てこない俺の口。知力仕事してくれ!?
そこでアリスが目を覚ましたようだ。身動ぎをした。
「ここは・・・どこ・・・?」
自分がどこにいるのか理解できるはずもない。
「通報・・・通報・・・」とぶつぶつ呟きながらスマホを操作する幼なじみ。
「だから話を聞いてくれ!!??」
あぁ、おれの世界は大きく変わった。この枕一つのせいで。
<設定>
最初に現世で寝る→異世界で起きる{→異世界で寝る
→現世で寝てる状態になる。(時間でいうと現世で寝た直後)→現世で寝る
→異世界で寝てる状態になる。(時間でいうと異世界で寝た直後)}→ループ
肉体年齢は現世に引っ張られる。つまり現世で1日10回寝ても10倍速で成長しない。異世界の時間の進みは主人公に引っ張られる。主人公が10日寝なければ、異世界は10日時間が止まる。というかなんというか。
作品としてはこのまま現世と異世界を、アリス(仮)や幼なじみ、新たに増えるかもしれないキャラ(もちろん女の子)と行ったり来たりすると思われる。
主人公・・・大学生。ライトなオタク。所謂にわか。普通に大学生活を送っていたけど、普段近寄りもしない骨董品屋に引き寄せられて枕を買う。枕の設定は(非公開)
アリス(仮)・・・名前などは変えましょう。安直すぎる。銀髪ロリは至高。獣耳プラスで可愛さ20%増し。大きな蒼い瞳が可愛い。可愛い。主人公に初めてあった時は汚れてたけどそれでも主人公が釘付けの美幼女。後にお風呂で幼なじみが洗ってさらに可愛くなり主人公の理性がマッハ。作者の妄想もマッハ。
両親の設定などはもっとマイルドにしようそうしよう。このままだとアリスが立ち直れる未来が見えない。
幼なじみ・・・主人公の幼なじみ。黒髪ロングの中くらいの身長。可愛い。主人公と良く遊んでる。この付き合ってもいないけど、でも近くにいる関係が好き。でも付き合うのもいいと思ってる。主人公もそう思ってる。異世界さえ行かなければ将来は結婚でもしてたのかな。行ったからしないとは言っていない。将来は未定。
スキル残りの2つは、経験値上昇(至) と 魔法才能(至)を設定する予定。
経験値は呼んで字のごとく。魔法才能は魔法を覚えはしないけど、練習すると覚えることが出来る。持ってないと、そもそも覚えれない。ランク至によってすべての属性の開放+覚えやすさバク上げ状態+魔力も上がっていく状態になる予定。経験値上昇も合わせて目指せチート。
因みに、普通に光属性などを覚えると魔力増大+全光魔法獲得+光魔法応用自由が開放される。応用自由は光属性に関わるなら何でも出来るレベル。言うならそこに太陽が作れる。魔力足りないけど。
魔法才能でも一応応用は効くけど、かなりの知力が必要(主人公の知力・・・あっ
体力が上がると隠しパラメータのHPが増える。(値分かったら怖い。腕もげたらいくら減るとか管理面倒)ついでに毒などに対する耐性も少し増える。
魔力が増えると隠しパラメータのMPが増える。(値わ(ry)
筋力が増えるとそのまま力が強くなる。
敏捷が増えると身軽になる。
器用が増えると細かい調整が効く。(剣を1mmの誤差で狙った所に振る的な)
知力が上がると精神耐性や魔法の威力が上がる。