前章
初めての投稿なので、ドキドキです。
うまく書けるか、うまく続けられるか。
とりあえずがんばります。
まいった。
この仕事に就いてから、初めての早退だ。
少し強くなった日差しの下を、ふらふらと歩きながら、私、折田志保38歳は軽い自己嫌悪に陥っていた。
息子の巧が新婚旅行に旅立ってから2日目。
ほっとして疲れがでたのかもしれない。
私が23歳の時に夫が事故で急死してから、私1人で育ててきた子が、20歳になると同時に結婚すると言い出したのが去年のこと。
いずれはこうなるだろうと思っていたけど、やはり、手放すのはほんの少しだけ辛かった。
小さい頃から仲の良かった、同じ町内の3つ年上の愛理ちゃんは、しっかりものだから、きっとうまくいくだろう。
愛理ちゃんのご両親も、巧のことを片親の子だからと言うこともなく、また、特別扱いすることもなく、むしろ自分の子のように見守ってくれた。
私も愛理ちゃんを自分の娘のように思ってたし。
だから、巧が高専を出て、遠くの県に就職すると決めた時、結婚を前提に付き合っていると聞いて、すごく喜んだ。
花嫁は、6月の晴れ間の中で、とてもとても綺麗だった。
照れ臭そうに嬉しそうに、その手を引く息子。
舞い散る白い花。鐘の音。
秋彦さん、あなたの家族がまた増えましたよ。
心の中で、亡き夫にささやいて。
でも、晴れの日が終わり、日常が戻ると、急に張り合いが失せてしまった。
もう、私一人でがむしゃらに働かなくてもいいのね。
そう思うと、いつものルーティーンワークの入力作業ですら、手が止まってしまって。
午後休みをもらって帰宅することにしたのが、2時間前。
仕事をいい加減にしてしまった情けなさと、少し感じるめまいに、もやもやとしながら片付けをして、帰途に着いた。
ふらふらと歩きながら、遅い昼ごはんを何にしようか考えていたら、新しくできたバイパスの横断歩道の信号を見逃してた。
顔をあげたら、横断歩道の途中で、信号が赤になってて、けたたましいクラクションとともに車の爆音が聞こえて。
それから、真っ暗になって。
……気がついたら、セーラー服を着て、消毒液の香りのする部屋のベッドに寝てた。
どゆこと?