世界の秘密
「ねえ知ってる?」
「何を?」
彼との何の変哲のない会話。
「世界の秘密」
「何さそれ」
私の言葉を、真面目に彼は取ってくれない。
「この世界にはね、人間が知ってはいけないという秘密があるという噂なのよ」
「噂だろ?」
「あくまでもね。でも、本当にあったとしたら、あなたどうする?」
「そうだなぁ……」
彼は、一瞬その存在が揺らいだ。
なにかあやふやになったような気がする。
でも、それが気のせいだったように、彼は私の目の前にしっかりとした肉体があった。
「それはそれで、面白いじゃないかな」
「そう?」
「そうさ」
彼はそう答えた。
そんな、何もない、彼の家でのお話。
他愛もない、私の日常。