俺とさとりの日常会話~街へ行こう編~
「少しばかり陰りが出来ている空を見上げながら
今日も見慣れた道を歩いている。
これから友人に会う為に街へと向かう予定なのだ
“自転車”なる二つの黒いドーナツが付いた珍妙な車のカゴに乗り、我が輩は…」
孝幸「ナレーション風に話を始めるのをやめろ、紛らわしい。つーかタイヤって言えよ…。お前の中途半端な知識の方がよっぽど珍妙だよ」
さとり「ふむ、“タイヤ”というのか?材質は…なんだゴムなのか。食えぬではないか」
孝幸「お前の頭は食う事ばかりだな。…まぁいいや
今朝も言ったけど人前では喋るなよ?」
さとり「心得ている」
…ものすごく不安だ。少しの間一緒にいて分かったがコイツは結構なイタズラ好きみたいだ。
昨日なんて夕食の途中でたまたま見ていたテレビ番組の司会者が言った事に反論しまくっていた。
なんとか俺が口パクであたかも自分が喋っているようにしてみせたが、母は何となく様子がおかしい事には気付いていたかもしれない…
ひとしきり喋り終えた後、コイツときたら母に必死で弁解している俺の事をニヤニヤしながら見てやがった
…その事もあって一応釘はさしておいたが、やはり心配は心配なのだ。
さとり「おい、タカユキ!」
孝幸「どこぞの親父みてぇな言い方すんな。なんだよ?」
さとり「これから会う約束の友人とやらはどんな御仁なんだ?」
孝幸「…あぁ、和弥のことか。一言で言うなら全知全能の馬鹿やろうだ」
さとり「すまん、ちょっと我が輩でも意味が分からない」
孝幸「あー…いや、会えば分かるよ。多分」
さとり「ふむ、それは楽しみだ」
孝幸「あんま期待するなよ?」
さとり「確かに妙な不安感はあるがな。ところでまだ約束の場所に着かないのか?」
孝幸「そう急かすなって、もうすぐだ」────・・・