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飛んで火にいる夏の虫 その行く先に何を見る 4

大変お待たせしました

肝試し編の続きを投稿します!


おそらく次回で肝試し編が完結しますので、もう少しお付き合い下さい!


 みんな、俺だ。孝幸だ。今、俺はさとりからの連絡で浅倉になにかが起こった可能性がある事を知らされ、地下1階まできている。


もちろん、和弥たちも一緒だ。今現在、同行している友人たちはさとりとは初めて会った事になるのだが、3人ともさとりを見ても特に驚いたりはしなかった。

それどころか西澤なんて…

「あんたが孝幸の言う友人!?それで浅倉はどこ!?っていうか猫なのに喋ってる!かわいい!」



なんて言い出す始末である…。

まあ状況が状況なのでさとりがなだめるとすぐに落ち着きを取り戻したみたいだが…




とりあえず俺はさとりが何者なのかを皆に教えておいた、こいつらなら軽々しく周りに言いふらしたりはしないだろう。……多分。



和弥「…それであんたのその力を使って浅倉の頭を覗く事は出来ないのか?」




さとり「うむ、何故かは分からぬが先ほどから…浅倉と言ったな。彼の思考を読み取る事が出来なんだ。なにか妙な“もや”に包まれた感じでな」





西澤「じゃあ、今は浅倉の状況が分からないって事?生きてはいるのよね?」




さとり「案ずるな、生きてはおるようだ。しかし問題は…」






梨本「……敵の目的が分からない。…合ってる?」




さとり「察しが良いな、その通りである」




孝幸「…なぁ、相手の考えている事は分からないのか?」





さとり「…それがな、誠に奇妙な事なのだが…よく分からんのだ。」





西澤「どういう事?」




さとり「あやめるつもりなら我が輩たちが着くもっと前にそうする事も出来た筈なのだ。…そやつの感情のみ、唯一読み取れたのだが…何か楽しんでいるような感じであった」





和弥「単に愉快犯の可能性もあるって事か?」




さとり「そうだといいがな。…しかし、まだ安心は出来ぬ」





孝幸「あぁ、どちらにせよ“今は”生かしているだけかもしれないしな」





さとり「そういう事だ」





和弥「…なあ、それなら二手に分かれないか?」





孝幸「どうしたんだ。急に」


唐突にそんな提案をしてくる和弥。正直な話、今二手に分かれるのは俺としては避けたいところだ。

まだ浅倉の無事が保証されてないというのに、その上に和弥にまで何かが起こったりしたら…




ぶっちゃけ探しに行くのが面倒なのだ





和弥「おいおい、俺たちがここに来た本来の目的を忘れてないか?さっきお前らが拾ったメモの謎解きをしてこようと思う」





西澤「あんた、こんなときにまで…!」




さとり「良かろう。浅倉圭吾…彼の事は我が輩たちに任せよ。」



西澤「ちょっと…。」



和弥「浅倉には悪いが、どうも謎解きの方が気がかりでね。それに人ならともかく、もしも人外が相手なら俺は役に立たなそうだしな」



梨本「なら…私も南條君と一緒にいく。1人じゃ危ないし…」



西澤「あなたまで…」





さとり「お主はどうする?我らと共にゆくか?」




西澤「………。」






西澤「ええ、そうするわ。今は浅倉の方が気になるし」




さとり「では、決まりだな」




和弥「ああ、そっちは頼んだぜ。」




孝幸「2人とも、気を付けろよ」




和弥「おう、お前らもな。」



梨本「…また後で。」





さとり「さて、我らも行くとしよう」———・・・










和弥「…さて、一仕事終わらせて早くあいつらの所に戻るとするか」




売店の方向に向かう孝幸たちを見送りながら、そんな事を呟いた。




梨本「メモに書いてあった事…分かった?」



それにしてもこの女、思ってたよりも喋るじゃないか

もうすっかり俺たちに慣れた感じだ。噂ってのは当てにならんもんだな



そう思いながら彼女に返事を返す



和弥「あぁ、なんとなくだが…。多分このメモが言う『伴侶』は例の兄貴たちが隠した箱で『子』は…必要な何かだと思うんだ」



梨本「箱の鍵とか…?」



和弥「そうそう、そんな感じだ」




梨本「「…………」」和弥






しかし、なにか引っかかるな

『子』を授かる“なら”『伴侶』を…



仮に『伴侶』=隠された箱

『子』=鍵だとすると…




ん?これだと何かおかしいか



これじゃあ、『鍵を授かるなら『隠された箱』を探せ』…になっちまうな

このヒントの中に『箱』なんてキーワードは入ってないのか?だとすると…





そこまで考えたところで声をかけられ、いったん思考を中断する

梨本もなにかしら気づいただろうか




梨本「……さっきあなたたちが拾った鍵、どこかで使えない?まだ行ってない部屋に何かあるかも」




和弥「…っつっても後は喫茶店に物置に手術室…だろ?2階は階段が崩れてて行けないからなぁ」




まぁ行く必要があるならどうにかしてよじ登ってやるが。




梨本「一番近いのは手術室だし…鍵、試してみる?」




おお、そういえば手術室は俺たちのすぐ左側にあったんだった

ダメ元で試してみるか…?




和弥「どれ…」



手持ちの鍵を扉に差し込んでみる。まるでホラーゲームの主人公にでもなった気分だ。 






まぁ、都合よく開く訳が…






ガチャガチャ。キィ…






………………あった




梨本「………開いたね」



和弥「お、おう。開いたな」





なんか…拍子抜けだな

こんな都合よく開くか?普通…


まあいい、とりあえず中を調べるとしよう





梨本「…思ったよりきれい」



和弥「…ずっと鍵掛けっぱなしだったのかね。あれから誰も来てないのかもな」




梨本「…こんな所、普通は来ないと思うけど」



和弥「まぁ、な」




確かにこんな所に来る物好きはめったにいないだろう

荒らされてないなら俺らにとってはむしろ都合が良いが。




和弥「よし、それじゃ探すとするか」————








〜〜〜B1F売店前の廊下〜〜〜



孝幸「浅倉ー!いるかーーー!?」




西澤「どこにも居ないわね、この辺でまだ入ってない部屋なんてあったっけ?」





和弥たちと分かれた後、俺たちは売店周辺で浅倉を探していた

ここに来てからもう結構な時間が経っているからか、持参した懐中電灯は既に眠りにつき、和弥に渡された予備のものを使うまでに至っていた




孝幸「いや…この辺はもう調べきったと思うぞ」



西澤「それなのにあいつがどこにも居ないのはおかしいじゃない?」




孝幸「もしかして別の階に移動されたのか…?」




それともこちら側じゃなく喫茶店の方だったか?


…まさか神隠しにあった訳じゃあるまいし。

なんとか2階に上がって向こうも探してみるか




いよいよ浅倉の行き先が分からなくなりかけたところで、しばらく言葉を発しなかったさとりが口を開いた





さとり「………待て、孝幸。その必要はない」




孝幸「ん…。けど、この辺には浅倉は居ないみたいだぞ」



西澤「こんな大して広くもない場所にあいつが身を隠せるような所は見当たらないしね…」




さとり「確かに一見すると進展はなさそうだが…案外そうでもないかもしれぬ」




孝幸「?」




西澤「私たちにも分かるように言ってよ、つまりどういう事?」





さとり「…お主らは何か隠したいものがあるとき、どのようにしてそれを隠す?」




孝幸「そりゃ、ものの大きさとかによるな。小さいものならいくらでも隠し場所は思いつくぞ」




さとり「では、大きなものならどこに隠す?」




西澤「難しいわね…何かをかぶせて、簡単には誰かに持っていかれないところに…」



孝幸「けど、自分で運ぶ必要があるならそうそう遠くには持っていけないよな」



西澤「時間もかかるだろうし、そもそも隠し場所も探さないと…。ああ…なんにせよ面倒だわ」





さとり「うむ、そうであろうな。つまりはそういう事だ」




西澤「なによ、ハッキリ言いなさいってば。あなたもう気づいてるんじゃないの?」




さとり「うむ、我が輩も先ほどまで失念していたのだが…」







さとり「主らが言ったように、場所を探す必要も時間をかける事もない方法を一つ思いついたのだ」





孝幸「………」



西澤「もうお手上げだわ、それでその方法って?」





さとり「なに、気づいてしまえば理屈は簡単なものよ」








さとり「彼の “存在ごと” 隠してしまえば良いのだ」





…こいつは何を言ってるんだ?

そんな事は…





さとり「不可能ではないぞ」





さとり「我が輩が妖怪である事は分かっておろう?して、この世には我が輩以外にも“人ならざるもの”が数多く存在するのだ」





さとり「つまりだな…彼は“我らの目には見えないようにされている”だけでこの近くにいる、という事だ」




またとんでもない事を言い出したな…

人の存在を隠せるだなんてオカルトにも程が…



いや、むしろ俺がさとりがいる今の状況に慣れすぎたのか?


そもそもさとりの存在自体が俺たち人間からすれば異常だからな


こういった妖怪とか幽霊の類に免疫が無い人間だったら大騒ぎするかもしれないか…



言ってしまえばこいつも猫の皮を被ったバケも…




………いや、さとりはさとりだ

妖怪と言えど人を襲う訳でもなく、むしろかなり友好的な部類に入るのだろう



でなければ俺なんてとっくに食われて死んでいたのかもしれない



何にせよさとりはもう俺にとっては家族みたいなもんだ

いまさらこんな事は考える必要もないか




西澤「…そんな事が出来る奴がいるっていうなら当然あなたはソイツの事を知ってるのよね?」




さとり「うむ、こんな事が出来るのはあやつしかおらん」







さとり「もうよいであろう?…ゲームは終わりだ、姿を見せぃ」








ぬえよ」─────

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