私とアイツ:私
【日常生活様々なものからインスピレーションを得て出来てしまった】
【更新は不定期なので、あまり期待しないでください】
一緒に居たことを失いたくなくて。それでいて君と一緒に居たくて、何者が邪魔しても、何事が立ちはだかろうと、守りきるつもりだった。
そんな事を考えていた自分なんて色々なものに比べてしまえば、非常にちっぽけな存在なんだろう。
でも一生懸命頑張った。それが何時でも何処でも、君と一緒だったはずなんだから。
互の声は聞こえないけど、君は見える、だから僕は残ったコレに書いて目の前の誰かに伝えよう。
これを読んでくれるのが、_が成し遂げた_だと信じて…。
それはちょっと未来のお話。
機械の体……で伝わるかわからないけど、人体の中に入れたり、まるごと改造しちゃったりしてハイスペック化を当たり前にしちゃうスーパーテクノロジーが一般的になった世界。
周りのみんなは結構すぐにそれに手を出したが私はまだ一歩も踏み込めていない、当たり前のように事故とかが怖いし、何よりお金がかかったりすると思うと絶対に手は出したくないぐらいの値段に違いないから。
でも街ではちらほらと見かけるようになった。
特に路地裏とかでは全身をボロボロのコートで身を隠し、こちらを見てはひそひそ声で笑っている怪しい奴らばっかりだけどうじゃうじゃ見かける。
私は学生。この時代では非常に珍しいかもしれない。
機械化が始まって、今じゃ元の人間と見分けがつかないのもいっぱいいる中で勉強っていうのは不要かもしれないのだ。なんせ部分にちょこっと埋め込むのは格安で安全性バッチリらしいから。
大半の元学生はそれを使って電子辞書みたいな、あるいは電卓みたいなすんごい頭脳をお手軽にゲットできちゃったんだ。だから学校なんて必要ない。
そいつらは友好的だけど、私みたいに何もしてない奴をどこかで嘲てるのかもしれない。
大きく余分な校舎は必要でなくなり、空いたその場所は前衛的な機械化のラボがたち、私たち少数派は小さな小さな小屋へと集まるようになった。
今日も私は彼と一緒に完全機械化されたバスにのって小高い丘の上にある小屋へと運ばれる。彼は明るい笑顔で私の始めた話題に応えてくれる。
授業が終わると二人は走って丘の下にある廃公園に向かうんだ、そこには機械共の廃パーツがぎゅうぎゅうに詰まったコンテナが縦積みにされていて、園具は無く、土管が数本ころりと置いてあるだけのそこは私たちにとっては本当に私的な空間だった。
私の趣味はカメラ。
この時代では完全機械化をしてしまえば不必要なアイテムとなってしまうこのカメラこそ、私の趣味だ。
しかもこのカメラは、何を言おう私のとなりで笑っている彼が「プレゼントだよ」と言って一緒に買いに行った思い出のカメラなのだ。
今日彼とここに来たのは他でもない『クロイロ』の話をする為だ。
最近巷をにぎわせているのがその『クロイロ』、どうやら完全機械化した奴らにはやはりバグがあるらしく、数名が人を襲ったり、仲間である機械化した人間を襲っているらしい。
そいつらは薄暗い黒色になっており、身にまとっている服すらも黒色である。目や口など内装パーツは真っ赤になっており、ひと目で危ないやつだとわかる。
そいつの証拠的な写真を抑えてやろうというのだ!
私は影で写真を撮り、彼はもちまえの運動神経でなんとかこの公園までおびき寄せる。
そんな計画を何週間も前から企てていたのだ。実行できちゃいないが……。
この話をすると必ず彼は笑う、正直なやつめ、でもこーいう笑顔が機械共には足りないんだよ。生き方や暮らし方は変わらないんだけどどこか冷たいんだ。
これだから人間はやめられない。
この計画のためにクロイロだと思われる奴らがよくいる裏路地からここまでの裏道をなんとか作ったりと色々なことをしてきたがそろそろ実行の時かもしれない!そう私は彼の目の前で豪語する。
にっこりと笑いっぱなしの彼が私の話を淡々と聞いてくれる。
陽が暮れてきた。
ここは夜になると空がよく見える、丘があるおかげで近くに高い建物は無い。満天の夜空を見上げるには申し分ない場所だ。空が少しずつ暗くなっていく。
彼は微笑みながら横倒しになった土管の上に座る私の隣に腰を下ろし、私に腕を添わせた。
可愛らしいやつめ、コイツは童顔すぎて私の可愛さが目立たないのが欠点だな。
自慢の長髪を揺らして私は見上げている彼の横顔を見つめる。
よく思う、こんなぐちゃぐちゃした時代でいつまで一緒にいられるのか。母さんと父さんは部分機械化してどこか関係もぎこちなくなってしまった気がする。もう心から話せるのはコイツぐらいしかいないんだ。
胸が苦しくなった。
自分勝手すぎるかな、それでも良いよね?
もうコイツぐらいしか、私の知ってる人間はいないんだから。
どうしたのっと彼がいつの間にかこっちを眺め返していた。それどころか頬に手を伸ばして何かをなぞった。
泣いていたらしい。頬に熱い涙の線ができていた。
照れくさかった、でも正直にありがとうと言う。そろそろバスが終わってしまうよと彼が微笑みながら告げ、二人で土管から立ち上がる。
明日だ。明日はなんの予定もない。ついに決行してやるんだ。
機械化の危険性を、まだ早いってことを、この街に知らしめてやるんだ。
あるいは、私がそれに納得したいから証拠を欲しているだけなのかもしれないけど…。
帰ろう。面倒くさい考えが出て、足を取られてしまう前に…。
その日は来た!
…と言っても翌日なのだが、ついに実行の日が来たのだ。長らく燻らせていたこの計画の!
私は玄関から飛び出すと約束のバス停の前で急ブレーキをかける。そこには昨夜と変わらない笑顔で待ち構える彼が立っていた。
目的地はここからすぐのL字になっている裏路地、そこには黒い布でその身を覆ったクロイロらしき奴らが数多く目撃されている。何故そこに溜まっているかはわからないが、きっと目立たない場所の方がいいのだろう、何かと。
私は喧嘩などにはめっぽう弱いタチなので彼が全力でカバーしながら進む。襲われたら一発でけちょんけちょんにされてしまうからね。
その場所は狭い路地が入り口で奥へ進むと角になっていて…そこからは誰も行ったことがないので分からいのだが、きっとクロイロが溜まって何か悪の秘密会議みたいな事をしているに違いないと私は想像している。
下見程度に入口の路地や周りのビルや屋上には行ってみたのだが何処からも路地の中を伺うことはできなかった。日が当たらず日照権の問題ありまくりのその場所にクロイロはきっといるのだ。
二人で角まで辿り着く。壁にへばりついて奥を眺める。
真っ暗で何も見えない、影すら溶けてしまっていて良くわからない。
が、コイツは何かが見えたようで私を見えない位置に押し込む。それを察して焦りながらもカメラを手に取る私。よくあんな漆黒の闇みたいな名前が似合いそうな所が見えたなコイツ。
彼が必死な表情で奥を警戒する、まだ気づかれていないようなので手はず通り私はここがよく見えるビルの屋上へと急ぐ。
例え奥の暗闇が見えずとも、手前の場所にまでおびき出せればフレームに収めれるハズなのだ!
ゆっくりと暗闇に消える影を見送る。瞬間、アイツは転がるように闇から飛び出す、後ろには両手を広げて飛びかかったクロイロがいた。
その瞬間を一枚パチリ。
まずここで写真を撮って、後は約束の場所へ向かう手はずになっている。私が先にそこへ言ってアイツとクロイロを待ち伏せ、ゆっくりと時間を食わせながらやってきたクロイロの決定的写真を納めてやる。
下準備に近道のフェンスに穴を開けたり、走りにくい溝に板をかけたりしてきた。こんなに発展した文化の中で何をしてるんだろうとか思ったが、今は忘れておこう。
挑発するでもなく捕まるでもなく淡々とクロイロを人目のつかない路地を使って移動させるアイツを写真に収める。意外と背中が様になっているのを見て適役だなと心で呟く。
ぽんぽんっと肩を誰かが叩いた。しまった、無断でビルに入り込んだのがバレたのか? それともカメラを持って怪しい事をしてそうだから通報されたとかか。
一転謝罪モードになった顔で私は振り返った。
クロイロだ。
頭が理解するよりも早く体は正直に逃げようとしたが、それと同時に腰がストンと落ちてしまい上手く力が入らなかった。
結果的に突如背後に現れたクロイロに対して私は非常に情けない声をあげて一目散に逃げ出していた。
どれくらい走ったかな、予定通りフェンスに開けた穴を抜け溝を板ごと飛び越えていつもの丘まで逃げてきた。土管やらの廃材が並ぶ窪みには、廃材を中心にぐるぐると追いかけっこをしているアイツの姿があった。
そんな滑稽な一瞬を撮る。
シャッター音に気づいたアイツがこちらに顔を向けて手を振る。どうせ「もういいかい?」とでも使えたかったのだろう、それに私は首を横に振って返答する。そんな姿も撮ってやる。
それから数枚の写真を撮った、息を切らしながら土管に駆け上っているアイツに「もういいよ」の合図を送ってやる。
実際のところ、もういいよの後は決めていない、アイツが適当に何とかすると言ったからだ。イコール自己責任ってこと。
自慢のカメラから目を離さずアイツの何とかするを見届ける事にした私はその場に腰を下ろし小さな鼻歌交じりにあの馬鹿を眺める。
アイツは土管を乗り越えて来るクロイロに向かって体を反転させて顔面にキックをお見舞いした。モロに顔へ受けたクロイロはサイボーグ化していると言っても半ば人間なので土管の上でよろめいた。
そこへ適当なところに落ちていた角材を持ち上げ勢いよくぶつける。地面に転がったクロイロはピクリとも動かなくなった。まぁすぐに再起するだろうけど。
アイツはそのクロイロが起き上がる前に近くにあった土管へ押し込んだ。一部始終を収めたカメラから目を離した私はとてとてととんでもない事をやってみせた奴へと近寄る。
運動が得意だとは何時か聞いたかもしれないが、まさかコイツがこんなに出来る子だったとは。
褒めると照れくさそうな表情をした。くそぉ、思った以上に可愛い表情をしやがって、現像が楽しみだな。
後ろで土管がぐらぐらと揺れている、周りに横にした土管を敷き詰めて倒れないようにしているがさっさと警察でもなんでも呼んでしまおう。
最後に私はアイツの顔を一枚撮ってやった。
後日、フィルムを現像しようとカメラ屋に行くとこのカメラは型が古いそうで隣街へ行かねばならないことがわかった。サイボーグとかやってるのにこんな簡単な事ができないなんて不便な時代だ。
このカメラは何時か言った通りアイツと一緒に買いに行ったのだが、最近のはデザインが気に食わなくてレトロ品を購入した、だってこういう形のがカメラなんだから。
まぁ仕方がないから次の休日にでも隣街にでも行ってみよう……とアイツを誘ったらアイツにもアイツの予定があるらしく珍しく断られた。でも現像したら一番に見せてくれなんて、やっぱ憎めない奴だ。
バスで峠を登っていけば一時間かかるかかからないかで隣街には行ける。後は教えてもらった本店に行って古い設備とやらを貸してもらうだけ。
それと同時にクロイロの捕獲騒動によって当事者である私は本署とやらに呼び出しもくらった。本署も隣街にあるのでついでに行く、ついでに。
何故かアイツは呼ばれてなかったらしい。
まぁそれまでグダグダと過ごしておけばいいかな、モーニングコーヒーを終えて私は新聞を手に取る。こんな時代になってもこの紙媒体は残っている、文化と歴史は進化より強いらしい、よくわからないけど。
新聞にはでかでかと『大型計画、モニュメント完成間近か』とあった。モニュメント、大きなキノコ状の文明機器をとにかくまとめ上げた…昔で言う東京電波塔みたいなものらしい。日照権とかありそうなものだがその下は特別地区だが全員サイボーグだかで騒ぎは起きなかった、出来上がればここからでも見えるのだろうけど、私には関係ない。
そのモニュメントの中にはたくさんの機械が機能するらしく、専門の科学者や技術屋が各地から収集されているらしい、新聞の受け売りだ。
さてと休日までは暇だからアイツと一緒にまた何か騒ぐとしよう。ぽいっと新聞を適当な場所に投げると私はいつもと同じように玄関を叩きあけた。
………モニュメントって何のモニュメントなんだろ。
すっかり調子にのった私たちはすぐにまたあのクロイロが溜まっていた路地裏へ行くと、そこには生き物も機械もなくなっていた。
私たちの活躍かどうかはしらないがこの場所は変わってしまった。
二人ともただ棒立ちでその景色を見つめることしかできなかった、私は最後にその閑散とした路地裏をシャッターに収めた。
それからというもの私たちはとにかく遊びに遊んだ、学び舎なんて無視して、これでコイツは私の共犯者だ、ざまぁみろ。近くの公園で年甲斐もなくはしゃぐ、川を沿ってどんどん下って広い広い海を見たりした、海は隣街と真逆にある、モニュメントとも真逆にある。
アイツもまるで子供のように砂を駆けていた、どうやら海を見るのも始めてだったらしい、貧しいやつめ。泳げるけど水着なんて持っていないから海には入らなかった。
次に私たちはこのカメラを買った骨董品屋を訪れた、だけどそこはすでになくなっていた。
代わりにそこには新しい本屋ができていた。仕方ないので私達は二人でそこに入り適当な本を見ていくことにした。可愛らしい絵本を手にとったアイツが目の前に現れた時は吹き出してしまった。内容は緑広がる大地で小さなふたりがころころと遊んで笑顔で終わりという実にアイツらしい内容だった。
結局買ったのかなアイツ。
どうでもいいような事をしまくった私たちはついに週末…つまり明日が休日…遊び通した。親に内緒でサボり続けた事は私とコイツの秘密にしておこう、多分いい事にならない。
フィルムには公園の写真やアイツが砂浜で笑っている写真、広い海の写真が追加された。
ついに待ちに待った休日が来た、私は少し距離を置いていた両親といつもより長く話した。アイツとバカみたいに遊んで気が晴れたのか、私は思ったよりも素直になれた。
いつも着ている制服を着ると一個ボタンが外れてなくなっているのに気づいた、どの時だろう…そうだアイツから逃げるために金網を無理やり通った時だ! あの時にでも落ちたんだ、なんで今まで気づかなかったんだろう。
急いでパンを口に押し込んでいるとTVニュースが耳に入り込んでくる。
どうやらモニュメントは無事完成したみたいで今日はその下でお祭り騒ぎらしい、機械化なんてしても騒ぐのが好きなんだな。もう少しで完成の式典が始まるらしく、それを見てからでも遅くないと判断した私はTVに視線をずらした。
式典が終わる、特に面白いこともなかった。
最後にモニュメントに電源を入れて終わり、それからはただ騒いでいるのだろう。それには興味がないのでお気に入りの制服でバス停へ走る。隣街に行くなんて何年ぶりだろうか、いやそこまでいかないかな?
きっと峠からはモニュメントもあの海も全部見えるだろうし。
そうして私はあのバスに乗った。
6thシリーズの休憩をしていたら少しずつ出来上がってました(世界観が)、内容はあんまり固まっていませんがこれからじんわりと進んでいきます。
日常生活の中でぽつぽつ出てきたものをつなげていく書き方なので更新は非常に遅くなります、6thシリーズの方の更新を優先します。
「あぁ、こんなのもあったんだ、ちょっと見てみるか」みたいな感じで読んでくだされば結構です。
拙い文章申し訳ない、また次の投稿で会いましょう。