ギルド
「こっちだ」
セントラルに着くとポルフが迷わずに歩いて行く
ポルフの後をついていくとそこには手の平にに乗るくらいの妖精が机に座っていた
「すまんが、市民登録と凍結解除の申請を行いたい」
そうポルフがいうと妖精が立ち上がりお辞儀をした
「かしこまりました
では、凍結解除の事務を行いますので市民ナンバーを拝見します」
ポルフは懐から指輪を取り出し、妖精に渡した
「エルフ族のポルフ様ですね
凍結時にお預かりしていたものは貸金庫にありますので」
妖精は体を光らせるとすぐに元へ戻った
「凍結解除の申請を受理いたしました
引き続き、市民登録を行います
右手をこちらに」
差し出した右手に妖精が触れると先程と同じように体を光らせた
「…はい、お名前をどうぞ」
「レイ、です」
「レイ様…申し訳ありません
他にもレイ様と同じお名前の方がいますので、ファミリーネームもお願いします」
「レイ…スターリバー」
星川だからただ英語に直しただけなんだけど…
「…登録しました
では、こちらの指輪が身分の証明となりますのでなくさないようにお願いします」
妖精は先ほどと同じように机に座った
「よし、次はギルドに行こう」
ポルフにつづいて歩いて行く
「ギルドってさっき言ってた?」
「ああ、昔入っていたところがその一つなんだ
当時は寝泊まりもそこでしていた」
クロスタウン サウスブロック
しばらく歩くと目的の場所にたどり着いた
「ここはクロスタウンでもセントラルの南にあるからサウスブロックとよばれている
ただ…」
ポルフが案内してくれたギルドはボロボロの一軒家のようだった
「とりあえず、入ってみるか
…邪魔するよ」
中にはいると意外にもそこまではきたなくなかった
「誰かいますか〜?」
「…………」
返事はなかった
…………ガタッ
「⁉
行ってみよう」
ポルフと共に奥の書庫へと向かった
「これは…」
「本の…」
「「山?」」
数秒見とれていたが、慌てて本をどける
「ぷはぁ、し、死ぬかと思いましたー」
本の山から出てきたのは、10歳くらいの少女だ
「どうもありがとうございますー
あっ、うちに何か御用でしたか?」
「うち?」
「はい、ギルド・グリーンフォレスト3代目マスターのアッシュです」
「ここのマスターはブラウンさんじゃ?」
「ブラウンは父ですね
登録者が減ってしまったため、勧誘の旅に出てます」
「そうか…」
「お二人はどうしてうちに?」
「いや、登録しようと思ったんだが…」
「…そうですか、でしたらうちはオススメできません
うちの全盛期は20年ほど前、グリーンデビルが活躍していた頃と伺っています
その頃は三大ギルドに数えられたのですが、彼が去ると次々に優秀な方は散って行き、今では潰れる寸前です
そんなギルドよりも他のブロックにある三大ギルドにいかれた方がいいと思います」
「…そんなに勢いがあるのか?」
「はい、ウエストブロックのレッドマウンテンは荒事に強いギルドでイーストブロックのイエロープレーンはスミスとの関係が強いです
そして、ノースブロックブルーオーシャンは庶務全般をこなし、なおかつ王国特務を独占している状態です」
「王国特務?」
「王国特務とはこの大陸を支配しているモルゲン王国からの直々の依頼のことでAランクもしくは、S、M、Lしか受けることのできないものだ
だが、Sランクは分野にばらつきがあり中々受けづらく、Mは興味がないのか滅多に受けない
実質、Aランクしか受けれない仕事ってことさ」
「その通りです
このギルドもかつては依頼がきたようなのですが、今では普通の仕事すら…」
「なら、競売を取りましょう」
「………え?」
「あなたなんか諦めすぎよ
競売なら、他のところにも負けない方法があるわ」
「それは一体どうやって……」