第一章 出会い
科学と物理に支配された世界から、私は神秘と魔法に溢れた世界へと導かれた
ここは、アッシャー界とよばれる世界
摩天楼のような高層ビル群が大樹へと代わり、天空を覆い隠している森へと倒れていた………らしい
「どうだね、何か思い出したかな?」
そんな私を助けてくれたのが、エルフ族のポルフ
彼女は、森に生育する薬草を調合して薬を作るポーションスミスという仕事をしているらしい
「ううん…やっぱり、こっちにきた時のことは思い出せない」
「そうか…人間界とアッシャー界は別の次元にあるらしいから、普通は滅多に純粋な人間はいない
まぁ、その末裔である亜人は沢山いるが」
彼女は少し大人びた言葉を使うが見た目は10代の前半くらいにしか見えない
「ごめんね、迷惑ばかりかけて……」
「迷惑?
とんでもない、レイのおかげで今まで取れなかった草が取れて大助かりだよ
レイの都合がつくまでいればいいさ」
私は向こうの世界では普通の体だったが、こちらの世界にきてから力とかが強くなっているみたいだった
「薬屋のポルフはいるかー」
外から大声でポルフを呼ぶ声がした
「…この声は、あまり良い感じではないようだ」
ポルフは私に家の中でじっとしているようにと伝え、表へと出て行った
「おお、いるなら素早く出てまいられよ」
「…最近は耳が遠くなってな
それで如何様な御用ですかな……エルフ族騎士団長殿?」
「ふむ、このような地では噂は届かぬか?」
「噂…と?」
「境界が破かれた」
「⁉
それは真実か」
「うむ
現に北の大山で魔獣を見たものもいる」
「我等が女王陛下も邪悪な気配を感じ、各地へと散った同胞を呼び戻すようにとのご命令を下さった」
「…私に王国へ戻れと?」
「左様、ここも遠くない日に戦場となるであろう」
「…断る」
「………何故に」
「私追放された身だ
それに今は友と共に暮らしておる……残しては行けない」
「ならば、その友とやらも一緒に」
「それが人間でもか?」
「⁉
なん…だと」
「エルフの変えられぬ掟の中に純血しか許さずとある
これを変えようとし、追放された我とお忘れか?」
「……陛下はこの地に入りし異端を滅ぼせとも仰せになられた
かつての友よ、私は最北の友を呼びに行き、王国へ戻る
次ここへくる時は、軍勢を率いてこねばならい…最良の考えを」
騎士団長は手綱を引いてさっそうと走りさっていった
「レイ、旅に出るぞ」
部屋に戻ったポルフが慌てて、準備をし始める
「え?」
「しばらくは戻れない、必要な物だけをもって東へと向かう」
「東になにがあるの?」
「全てが交わる街…クロスタウンがある」
私の物語はこうして幕を開けた