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生徒会と推しの使命

重厚な扉が閉まる。

学園の静けさが、空気を包み込む。

壁には真理のライブポスター——まるで祭壇だ。


生徒会室。

雷は無表情で椅子に腰かけ、登夢とシャケが背後に立つ。

対面に座るのは、生徒会長・吉祥院玲於奈きっしょういん れおな

眼鏡の奥の目が、まっすぐこちらを射抜く。

机の横には——真理グッズの山。


「来てくれたか。雷くん、登夢くん、シャケくん。単刀直入に言おう」

玲於奈の声は冷静、だが熱がある。


「軽音部のトラブルは、偶然じゃない」


雷の目が細まる。

「……やはり、そう来ましたか」


玲於奈は引き出しから分厚いファイルを取り出した。

「『ライト落下事故』の点検記録。

 『搬入口の動線管理表』。

 そして——真理さんのスケジュール」


雷が眉をひそめる。

「最後のそれ、必要あります?」


「当然だ。推しの動向はすべて把握する。護るためにな」


「……それ、推し活って言うんですよ」


「推し活も使命だ」


淡々と封筒を机に置く玲於奈。

中には“調査権限書”の文字。


雷が片眉を上げる。

「報酬は?」


玲於奈は唇を上げた。

「学園近くの名店、『昇竜軒』の昇竜麺——全部乗せ、替え玉フリー」


シャケの目が輝いた。

「全部乗せ……替え玉フリー!? 神か!!」


登夢はため息をつく。

「……お前、ほんと食欲で動くな」


「いいだろ、情熱の燃料だ」

玲於奈がすかさず返す。テンポが噛み合う。


そして、静かに言葉を落とした。

「荒巻くん。君は——真理さんを泣かせたくないだろう」


シャケは真っ直ぐに頷く。

「当たり前っす」


「なら、力を貸してくれ。真理さんを護るために」


雷はわずかに笑う。

「了解。推しのための特命班、出動ですね」


玲於奈が深く息をつき、眼鏡を押し上げた。

「これは正式な調査じゃない。だが、結果次第で——学園の未来が変わる」


雷の声が低く響く。

「未来、ですか」


「そうだ。推しの未来だ」


静寂の中、三人は封筒を見つめ、うなずき合った。

——“鳳学園軽音部事件録”、真相篇、捜査開始。

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