第九章 その五
わらわが生み出した怨念、それは既にわらわの手から離れて増殖を続けておる。わらわが完全復活するために犠牲になった者達、その者達のわらわに対する憎しみをわらわが生み出した怨念の結晶である御神刀が喰らい続けておるからのう。やから……憎悪は螺旋のように広がり、村を滅ぼすまで消えはしないでやのう。だからこそ……わらわは村を滅ぼす。それこそが我が悲願であり、憎悪の終末だからやえ。
だからこそ、わらわは目を逸らし続けた。憎悪の終末が断罪の日で終わるのだから。だから断罪の日を迎えない限りは憎悪の螺旋は続くばかり。誰も一度生み出された急流には逆らえはしない、そう……わらわでさえ。だからこそ……わらわは目を背け続けた。全ては憎悪の終末を迎えるために、全ては殺戮の宴に幕を閉じるために、全ては惨劇を終わらせるために、わらわは完遂しなければならんのやえ、この……断罪の日を。
だからこそ、わらわは……。
玉虫の悲鳴が響き渡る洞窟内で、鈴音は霊刀を光らせながら玉虫をしっかりと見据える。一方の玉虫は苦しみになれたのか、それとも和らいだのか、それは分からないが、赤い瞳で鈴音を睨み付けながら言うのだった。
「主は……何をやったのやっ!」
まるで怨念の力が無くなり、一人の女性に見える玉虫に対して鈴音は少しだけ悲しそうな顔をしながら答える。
「残念だけど、私達は何もやってないよ。全ては……そう、玉虫……あなたの失敗よ」
「わらわの……失敗やと」
心当たりが無いのか玉虫は瞳から力が少し抜けると、鈴音の言葉を繰り返す。そんな玉虫に向かって鈴音はしっかりと口にする。
「そう、全てはあなたの失敗。あなたが美咲ちゃんを依り代に選んでしまった事こそが……あなたにとって最大の失敗だった」
「何やとう、何故それがわらわの失敗になるのやえ?」
玉虫の質問に鈴音は邪魔な考えを振り払うように頭を振るうと、今までとは違って鋭い瞳で玉虫を睨み付けながら、玉虫の身体を指差す。
「玉虫、あなたの力は確かに凄かった。それに御神刀に宿る怨念が持つ力も。けどっ! それゆえに耐えられなかったのよ。あなたが取り込んだ美咲ちゃんの体力がねっ!」
「なん、やとう?」
思いも掛けなかった鈴音の言葉に玉虫は驚きを通り越して呆然とするばかりだ。そんな玉虫に向かって鈴音が叫ぶ。
「あなたは美咲ちゃんを取り込む事で最強の身体を得たっ! でも……それは美咲ちゃんという依り代があってこそ成立するものっ! だから依り代である美咲ちゃんの体力が尽きかけて、御神刀からの力を受け入れられなくなったからこそ、あなたは得た身体を維持するのも困難になったっ! つまり、幼い美咲ちゃんを依り代として取り込んだ時点で、あなたは長時間の間は力を行使する事が出来ない事を示していたのよっ!」
「…………なるほど、やのう」
玉虫にも鈴音が指摘して来た事が理解できたのだろう。納得したような顔をしたものの、まだ負けは認めないとばかりに御神刀を地面に突き刺し、御神刀に寄り掛かるように、何とか立ち上がるのだった。
そんな玉虫を見て、鈴音は隣にいる沙希に話しかける。
「さあ、沙希、いよいよ最後よ。それに時間が無いのは私達も一緒」
「私達に時間が無いって、そんな事は聞いてないわよ」
呆れたように、そんな質問をする沙希。なにしろ、玉虫との戦いが始まってからというもの、二人はゆっくりと話している時間は無かったのだ。そんな二人が鈴音が立てた作戦について話し合う余裕は無かった。それでも、沙希は鈴音を信じたからこそ、少ない言葉とアイコンタクトでお互いに連携を取る事が出来た。
だからこそ、沙希は鈴音が立てた作戦の全貌を知らなくて当然と言えるだろう。そんな沙希に向かって鈴音は手短に話すのだった。
「依り代として玉虫に取り込まれた美咲ちゃんの体力が尽きようとしてるからこそ、玉虫は身体を維持出来ずに苦しむ結果となった。今では身体を維持するだけで精一杯でしょうね。でも、それは同時に取り込まれた美咲ちゃんが衰弱している事を示してる。つまり、私達が玉虫に抵抗するように戦ったのは、全て美咲ちゃんの体力を削るためだったのよ。けど、ここまで体力を失って衰弱した美咲ちゃんを、いつまでも玉虫の中にいると命に関わってくる。それぐらい、生命力が失われてるのは玉虫を見れば分かるでしょ。だから、私達は美咲ちゃんがこれ以上、衰弱する前に玉虫を倒して美咲ちゃんを助けないといけない。そういう事だから、次で決めないと美咲ちゃんの命に関わってくる。だから、その前に玉虫を倒す。だから、次の行動が最後になるよ」
「なるほどね、そういう事だったら急がないとね。それに、いよいよ決める時が来たようね」
「うん、そういう事だから、沙希、よろしく」
「はいはい、分ってるわよ。次が最後ならビシッと決めてやろうじゃない」
「うん、頼んだよ。じゃあ、時間が無いから行くよっ!」
「任せなさいっ!」
その言葉を合図に鈴音と沙希はお互いに構えると、二人とも同時に駆け出す。そんな二人の姿を捉えたのだろう。玉虫が二人に向かって御神刀を振るってくる。その一振りだけで突風が巻き起こり、鈴音達にぶつかってくる。どうやら玉虫は力を思ったようには使えないものの、その力強さは顕在であり、今でも鈴音達にとっては厄介だろう。
けれども、二人とも、そんな玉虫の力を見ながらも、まったく気に掛けずに玉虫との距離を詰めて行く。玉虫も二人が迫ってくるのは、しっかりと分っていた。だが、身体中に鉛を背負ったように、まったく身体を自由に動かす事が出来ないほど、身体が重く感じていた。
それでも、玉虫には千年に渡って連ねてきた憎悪がある。それが御神刀に宿り、何とか玉虫に力を送るものの、やっぱり依り代となった美咲が衰弱しているためだろう。玉虫はそれ以上の行動を取る事が出来ずに沙希の接近を許してしまった。
そんな沙希に向かって御神刀を振るう玉虫。身体が思い通りに動かなくなっても御神刀を振るうだけの力は残っているようだ。けれども、先程までとは違って、動きが全然違う。今の玉虫はまるで素人のように棒を振り回すように御神刀を振るって来てるだけだ。
それでも、素手で相手をしている沙希の接近を許す事無く、何とか牽制している様なものだ。最も、沙希としても最後の決め手が有るからこそ、今はこれ以上、玉虫に接近する事無く、そのタイミングが来るまで御神刀を避け続けているだけだ。
「ああああぁぁぁぁ」
一方の玉虫は、鈴音が推測した通りに取り込んだ依り代である美咲の体力が尽きようとしているのだろう。なにしろ、美咲は未だに幼い。そんな幼い身体で、いつまでも強大な玉虫の怨念を使い続ける事は出来ないのだ。だからこそ、玉虫は力を振り絞るように、御神刀をがむしゃらに振るい続ける。
それでも沙希にとっては刀である、がむしゃらに振っているとはいえ、無手である沙希としても下手に突っ込む事は出来ない。けれども、がむしゃらに振っているだけに、沙希にとっては御神刀を避けるのは簡単だった。
そんな攻防、というよりは玉虫の最後になる抵抗とも言えるだろう。そのような事が続き、どちらとも決めてを欠く結果となってしまっている。確かに沙希にとって見れば、がむしゃらに振ってくる御神刀を避けるのは簡単だろう。だが、沙希が狙っているように玉虫が御神刀を振ってこないからこそ、沙希としても決め手を欠いていたのだ。
更に言えば美咲の事もある。今の状態で下手に攻撃して美咲の体力を更に削る事になってしまっては、美咲の命が危ない。だからこそ、沙希は攻撃に出る事が出来ずに、今は距離を保ちながら御神刀を避けていると状態だ。そんな沙希が決断を下す。
まったく、しつこいわね。さっさとこっちの狙った攻撃をしてきなさいよね。このままだと……仕方ないか、ここは一つ、賭けに出るしかないわね。それで鈴音はというと……うん、あっちも準備が出来てるようね。だったら……その一点に賭けるのみっ!
鈴音の状態を見て、そんな決断を下す沙希。
そんな沙希が御神刀を避けると一気に玉虫の懐に入り込む、そこから沙希は拳を叩き込むのではなく、両手で押し出すかのように、軽く掌底を叩き込む。両手を使って掌底、つまり手の平での刺突とも言える攻撃。しかも、沙希は掌底にはあまり力を込めていない。そのため、沙希の掌底は玉虫の腹部に当たったものの、ダメージを与えるというよりは押し出す感じになってしまった。
つまり、沙希の攻撃は玉虫にとってはダメージが無いのと同じだ。けれども、今ではすっかり思考すらも忘れたような玉虫だ。なんの疑いも無く、押し出されるように後ろに倒れそうになるが、それでも怨念が力が働いているのだろう。玉虫は倒れる事無く、沙希への反撃をするために御神刀を大きく振り上げた。そして、重さに任せて沙希に頭に振り下ろすのだった。
なにしろ沙希は攻撃をした直後で隙だらけ……と思っているのは玉虫だけだろう。沙希としては、その攻撃を待っていたのだ。
重さに任せて振り下ろされた御神刀。それと同時に沙希は左足を軸に身体を横にすると、目の前を御神刀が通過し、振り下ろされた御神刀の切っ先は地面へと突き刺さる。さすがに今までの鋭さが無いだけに、沙希も攻撃を避けるのは楽だったようだ。だが……肝心なのはここからである。
切っ先が地面に突き刺さった御神刀。沙希は、そんな御神刀の姿を確認すると素早く行動に出た。その場から、軽く飛び上がると右足を突き出し、御神刀の峰、しかも切っ先に近い部分を思い切り踏み付けたのだ。
これで沙希の右足により、御神刀は更に地面へと突き刺さり、沙希の右足が御神刀を完全に抑え込み、地面から抜けないようにしている。そんな状況を作った沙希が鈴音に向かって叫ぶ。
「鈴音、頼んだわよっ!」
沙希の声を聞いて鈴音は瞳を一気に開く。どうやら先程までは瞳を閉じて精神統一していたようだ。そんな鈴音を全く気にしなかったのも、玉虫が弱っている、というより、美咲の体力が限界である事を示しているのだろう。
それから鈴音は沙希の方を見ると、沙希は見事に自分が頼んだ状況にしてくれた事に、改めて気を引き締めると、そこから鈴音は一気に駆け出し、沙希と玉虫の方へと向かう。そんな鈴音の姿を見た沙希が、足で御神刀を押さえ付けながら、鈴音の為に左足を後ろに回して、御神刀の直上には何もないようにする。
これで条件は揃ったよっ! 鈴音はそう決断すると、今まで研ぎ澄まさせた精神と集中力をフルに出して、霊刀を一気に振り上げる。もちろん、そんな鈴音の姿は玉虫にも見えていたが、沙希によって御神刀を押さえ付けられているのと、鈴音の行動が早すぎたために、玉虫はただ見守るしか出来なかった。
そして霊刀は一気に振り下ろされる。玉虫ではなく……御神刀に向かって。
思いっきり振り下ろされた霊刀が御神刀をとぶつかり合う。鈴音としては斬鉄をするつもりで行った攻撃だ。だからこそ、鈴音は御神刀を折るために、渾身の力を込めて霊刀を振り下ろしたのである。そして、そこからは鈴音も玉虫もまるでスローモーションのように見えた。なにしろ折れて、砕け散った破片が空中に舞い上がっているのだ。その破片の一つ一つは光を反射し、輝いてみせる。そんな光景に玉虫は口元に笑みを浮かべて、鈴音は驚愕の表情を見せる。そう、砕け散ったのは御神刀ではなく霊刀だったからだ。
鈴音が渾身の力を込めて振り下ろした霊刀は御神刀とぶつかり合うと、霊刀の方が折れて、砕け散ったのだ。これは鈴音にとっては、まったくの予想外だ。鈴音としては斬鉄の要領を使って御神刀を折ろうとしたのだ。御神刀を折る事で、全てに決着を付けるつもりだったのだが、実際に砕けてしまったのは霊刀の方である。だからこそ、玉虫は笑みを浮かべた。これで自分を倒せる武器が地上から消え去ったからだ。一方の鈴音は、まさかこんな結果になるとは思っていなかったのだろう、驚愕の表情をしながら、砕け散った霊刀の破片を見詰める事しか出来なかった。
そんな中で沙希だけが冷静だった。そんな沙希が御神刀に乗るかのように身体を移動させると、左足を思いっきり引き上げて、ある一点を狙う。そこは先程、鈴音が御神刀を折るために攻撃した一点をだ。
沙希には、しっかりと見えていたのだ。鈴音は斬鉄の真似をして御神刀を折ろうした一点に……ヒビが入っている事を、その一点を目掛けて沙希は思いっきり左足を踏み出す。勢い良く、踏み出された沙希の左足は、御神刀に入ったヒビに向かって行き、御神刀にぶつかると、そのまま踏み抜いたのだ。
そのため、霊刀に続いて御神刀も真っ二つに折れてしまった。まさか、ここで沙希が御神刀を踏み砕くとは鈴音も玉虫も思ってはいなかった事だ。けれども、これで御神刀が折れた事は確実である。だからこそ、鈴音は折れた霊刀を投げ捨てると、そのまま玉虫の身体を目掛けて両手を伸ばす。
もちろん、玉虫にはしっかりとした身体があるのだから、玉虫の両手は玉虫の身体に触れるだけだと思われるだろう。けれども、御神刀が折れた今では鈴音は思いっきり推測だが、思いっきり自信がある行動に出たのだ。そして事態は鈴音が思ったように進む。
玉虫に向かって伸ばされた鈴音の両手は、そのまま玉虫の身体に入るかのように突き進むと、鈴音はしっかりとした手応えを感じるとそのまま引っ張り出した。そう、鈴音は玉虫の身体から美咲を手探りで見つけると、そのまま引っ張り出して、勢いに任せて後ろに跳ぶのだった。
一方の沙希も御神刀が折れたことにより、一旦退くために玉虫との距離を取ると、すぐに美咲を抱えながら倒れ込んだ鈴音の元へと向かった。沙希はそんな鈴音を抱き起こすと、鈴音と沙希は、すぐに玉虫の方へと顔を向けた。
玉虫は信じられないといった顔で、よろけながら数歩だけ退がると、膝を屈して地面に脛だけで座ると大きく天を仰いだ。
「ああああああああああああああああっ!」
玉虫の叫び声と共に折れた御神刀と玉虫から紫色の力が一気に天に向かって放たれる。それはまるで溜め込んでいた水を堰を切ったように流れ出る。その力が凄まじかったのだろう、洞窟内は震えて、鈴音達にも突風が襲い掛かる。
それでも玉虫と御神刀から流れ出る紫色の力は弱まる気配が無い。そのため、鈴音達も動く事が出来ず、沙希が何とか鈴音と美咲を覆い庇っている状態だ。そんな力の放出が更に強まると、洞窟が崩れそうな勢いを保ちながら力の放出を続ける。なにしろ御神刀には千年もの歳月を掛けて溜め込んだ怨念が宿っていたのだ。その御神刀が折られた今、御神刀が溜め込んでいた怨念が消えるように、力と共に放出されるのは必定であり、溜め込んだ力が強いだけに、堰を切ったように流れ出る力は洞窟を大きく揺るがした。だが、どんな力にも限界というものがあるように、御神刀に溜め込まれた怨念も例外ではなかった。そこからは段々と力が弱くなり、流れ出ていた力が治まるのと同時に玉虫の手から離れた御神刀が地面に落ちると、紫の炎によって消え去る。
そして、残ったのは、真っ白な着物を着た玉虫の姿だけだった。着物には今まであった血の跡すら残っていない。今の玉虫は純白の着物を着ていた。その姿は今までの禍々(まがまが)しさをまとっていた玉虫とは正反対であり、清らかな乙女のような姿に見えた。そんな玉虫を見て、沙希は鈴音に尋ねる。
「って、これって、どういう状況なのよ」
どうやら沙希には何が起こったのかが分かっていないようだ。一方の鈴音は全てが分っているのだろう。悲しげな顔をしながら美咲を沙希に任せると立ち上がる。それから沙希の問い掛けに答えるのだった。
「これで、私達の勝ちだよ。あそこにいる玉虫は残り火のようなもの。もう、玉虫の怨念は消え去り、千年に及んだ憎悪の連鎖を断ち切る事が出来た。村は……救われたよ、御神刀という影柱を破壊した事によって、玉虫の存在を維持するための怨念が消え去った事でね」
そう、鈴音達の狙いは最初から玉虫自身ではなく、御神刀の破壊にあったのだ。昨晩、美咲が残してくれた、御神刀は影柱という言葉が鈴音に何をすべきかを教えてくれたのだ。
そもそも、玉虫の復活、贄の集めを行うために行われた連続殺人、更には依り代の決定。これら全てに御神刀が絡んでいた。つまり、今回の出来事で全ての中心にあったのは御神刀なのだ。だからこそ、鈴音はある推論を立てた。それは玉虫という存在は御神刀という存在があるからこそ成り立つのだと。
そして、その鈴音の推論は当たっていた。御神刀は玉虫が生み出した怨念を集めるための道具でもあり、玉虫という怨念を生み出した存在を存在し続けるための道具でもあるのだという事をだ。つまり、今回の騒動で、全ての中心にあったのは、静音でも美咲ではない。一本の刀である御神刀なのだ。
まさか、刀そのものが何かを起こすとは誰も考えはしなかっただろう。だが、玉虫という存在を存在し続けるために御神刀があるのだとしたら、御神刀が中心に来るのは必然とも言えるだろう。そう考えたからこそ、鈴音は玉虫を倒す事よりも、御神刀を破壊するという判断を下したのだ。
そして、今、全ての中心となっていた御神刀は破壊された。影柱として隠され、贄となった者の血を吸い続け、他者の怨念を喰らい続け、玉虫という存在を支えるために存在していた御神刀が破壊されたのである。だからこそ、御神刀に溜め込まれた怨念は解き放たれ、玉虫も力を失ったのだ。だからこそ、御神刀が破壊された今、鈴音達が目にしている玉虫は残り火ともいえる弱弱しい存在と言えるだろう。
鈴音は美咲を沙希に任せると玉虫のところへと歩み寄った。一方の玉虫は全ての怨念から解き放たれたために、今では美しい女性の姿となっている。そんな玉虫が歩み寄ってくる鈴音に気が付いたのだろう。玉虫は天を仰ぎながら鈴音に向かって言葉を投げ掛けた。
「どうやら……わらわは負けたのやのう」
「そう……ですね」
玉虫の言葉に鈴音は簡単な言葉で返す事しか出来なかった。今では力をすっかり失い、消えてしまいそうな玉虫を見て、励ましたり、慰める言葉なんて出るワケが無かった。それでも鈴音は玉虫との会話を続ける。
「これで断罪の日は終わりました。御神刀という怨念を集めていた刀が失われたからには、あなたも、これ以上の力を出す事は出来ないし。兵となっていた羽入家の血筋達も正気を取り戻す事でしょう。だからこそ、私はあなたに聞いておきたい。あなたは……本当に千年もの間、村をずっと恨み続けてたんですか? あなたの恨みは……そんなに強い物だったんですか?」
そんな問い掛けに玉虫は悲しい顔付きになると、ゆっくりと口を開いてきた。
「千年……言葉にすると、こんなにも短いのに、実際に千年も存在していると分からなくなるものやのう。それが自分の恨みなのか、それとも自分に向けられた恨みなのか、または……御神刀によって溜め込まれた恨みなのか。どれが正しく、どれが間違ってるとは言えないのやえ。ただ一つ、言える事はやのう。わらわの怨念が御神刀に宿っている限りは、わらわは断罪の日を迎えるために生贄を捧げ続けなければいけなかった、という事だけやえ」
「……悲しい事……ですね」
玉虫の言葉に顔を伏せながら、そう答える鈴音。そんな鈴音が更に言葉を続けてくる。
「途中で……止める事は出来なかったんですか? 千年もの時間は、あなたに恨みを消えさせる効果もあったはずです。だから……あなたは途中で止めようとはしなかったんですか?」
「ふふっ、どこまでも鋭い小娘やのう」
どうやら鈴音の言った事は本当のようだ。玉虫は確かに途中で断罪の日を諦めて止める事が出来たのだろう。だが、玉虫はそれをしなかった。その理由が鈴音には分からないのだ。だからこそ、率直に玉虫に尋ねたのだ。
そんな鈴音の質問を受けて、玉虫は鈴音に顔を向けると笑哭、微笑みながら泣くように涙を流しながら答えるのだった。
「確かに止められたのかもしれんやのう。だがやのう、小娘。人の恨みは、どこまで行っても悲しい物やのやえ」
「どういう意味……ですか?」
「御神刀に宿っていた怨念はわらわだけの物ではないという事やえ。わらわの生贄となった者はわらわを恨むのと同時に思う事があるのやえ。それは……自分が殺されたのなら、他者も殺されないと自分が殺された意味が成り立たないという事やのう。自分勝手な事やのう、自分が殺されたからこそ、他者も殺されるべきだと、自分と一緒に死ねという勝手な思いが怨念となり、御神刀に更なる力を加えたのやえ」
「自分だけが殺されるのが割に合わないから、他人も殺されろって事ですか。確かに……殺された後に自分の意識が残っているのなら……人間は、そんな事を思うかもしれません。恨みの連鎖は螺旋になって、どこまでも広がっていくようですね」
そんな事を言って鈴音は一筋の涙を流す。それは誰に対して涙では無い、どうしようもない事に対する涙だろう。
殺された後に、まだ自分という意識があるのなら二つの事を思う事だろう。一つは自分を殺した者への恨みを思い。または自分だけが殺された事により、殺されなかった他人を巻き添えにしようとも思うだろう。
それが分っているからこそ、鈴音は涙を流したのだ。そんな鈴音が涙を流しながら言葉を続ける。
「自分が殺されて、どうしようもない悲しみは恨みに変わり。自分とは違って生きている者への妬みが憎しみに変わる。そうやって繋がり続けた悲しみの連鎖。人は、それを断ち切れるほど強くはないのかもしれません。だからあなたは……殺戮を繰り返した、そうして起こったのが……断罪の日だった。そういう事ですか」
「その通りやえ。わらわの憎しみを元に生まれた怨念。その怨念は御神刀へと宿り、わらわという存在を支え続けた。そしてわらわが完全に復活するために、幾つもの屍を積み上げてきた。その積み上げられた屍から、更なる恨みが生まれ、それは怨念となって御神刀へと宿った。御神刀にあれだけの力が溜まったのは千年の月日が原因ではないのやえ。わらわが殺して来た者が、御神刀へ更なる力を与えてたのやえ。だからこそ、わらわは断罪の日を完遂しなければいけなかった。全ての憎悪に終焉を迎えるために」
その言葉を聞いて鈴音は何かに気が付いたかのように驚きの表情を見せた。けれども、それは一時の事、すぐに悲しい表情に戻ると鈴音は玉虫との会話を続ける。
「あなたは……分ってたんですね。断罪の日を完遂する事でしか……殺してきた者達の恨みが晴れる事はないと、いつまでも御神刀によって縛り付けられ、ずっと恨みの連鎖を続けるという事を。だからこそ、あなたは止める事無く、断罪の日を完遂するために、殺戮を繰り返してきた。全ては……御神刀に溜まった怨念に終焉を迎えるために」
そんな鈴音の言葉を聞いて玉虫は再び天を仰いだ。
「始まりはわらわが生み出した怨念だけに過ぎなかった。だが、途中で分らなくなってしまったのやえ。恨み続ける事が、咎を積み重ねる事がわらわに幸福をもたらしてくれるのか。断罪の日を完遂すれば、わらわの恨みは全て消えるのか、とやのう。だがやのう、そんな迷いも御神刀を手にするとすぐに消えてしまった。その時にわらわはやっと気付いたのやえ。御神刀には既にわらわだけの怨念だけではなく、わらわが殺してきた者達の怨念も宿っている事を。だからこそ……わらわは止まる事が許されなかったのやえ」
「そんな憎悪の螺旋は……悲しすぎますね」
「だがやのう、それこそが人としての本性であり、人としては決して避ける事が出来ぬ、運命だとわらわは思ったのやえ。人が人を恨む事は必然であり、争い、殺しあうのは必定だとやのう。やからこそ、人は人を恨み続け、争いは途絶える事は無い。そこに憎悪の螺旋がある限りは広がり続けるだけやからやのう」
「それは違いますっ!」
玉虫の言葉を聞いて叫ぶ鈴音。そんな鈴音はすっかり泣いており、泣き顔になりながらも、言葉だけはしっかりと玉虫の主張を否定してきた。そんな鈴音が玉虫に向かって叫び続ける。
「確かに人は恨みや妬みを心の中に抱きます。でもっ! 人の心はそれだけじゃないっ! 恨む事や憎む事だけじゃないっ! 悲しみを乗り越えて希望にする事が出来ますっ! 絶望は誰かが手を差し伸べてくれれば出る事が出来ますっ! 人の心は恨みや妬みだけじゃないっ! 楽しい事も、嬉しい事も沢山ある。あなたも知っているはずですっ! あなたの心は恨みや妬みだけでじゃないっ! 他にも嬉しい事や楽しい事、未来への希望があったはずですっ! どうか……それまでも否定しないでください」
そんな鈴音の言葉が胸に刺さり、玉虫は自然と千年前の記憶が蘇ったのだろう。確かに、そこには鈴音が言ったとおりに嬉しい事も楽しい事も沢山あった。そして……未来への希望も。けど、玉虫はそれら全てを奪い取られ、裏切られたからこそ、恨みや妬みが生まれたのも、また真実であった。
そんな事を思い出した玉虫は大切な物を逃がさないように、胸の前で右手を強く握り締めると玉虫は笑哭の顔を再び鈴音に向けると、今までの憂いが晴れたように雰囲気すらも軽くなったかのように鈴音に話しかけるのだった。
「そう、そうやのう。それは主の言う通りやえ。確かに、こうなる前はわらわにも未来に対しての希望はあった。どんなに苦しい生活でも、いや、苦しい生活だったからこそ、楽しい事や嬉しい事が大切に感じられた。だが、そんなわらわの未来も沢山の悪意によって壊されてしまったのも事実やえ。信じていた者に裏切られ、沢山の悪意によって汚され、最後には捨てられるように殺された。未来に希望があったからこそ、わらわは大いに村を憎んだ。信じていた者に裏切られたからこそ、わらわは村人全てを憎んだ。希望が消し去られたからこそ、わらわは怨念にしがみ付くしかなかったもしれんやのう」
「でも、今はその怨念も、怨念を溜め込んでいた御神刀も無くなった。だから……あなたはあなたに戻っても良いと思います」
そんな鈴音の言葉を聞いて玉虫は軽く笑う。それは玉虫自身が一番良く分っていた事だからだろう。そんな玉虫の笑う声に少しだけ不安そうな顔をする鈴音。そんな鈴音に向かって玉虫は告げるのだった。
「それは無理というものやのう。主も知っての通り、わらわは咎を積み重ねてきた。その咎を……わらわは償わないといけないのやえ。咎を重ねてきたわらわが、今になって咎から逃げるというのは許されざることやのう」
玉虫の言葉を聞いて鈴音は何かを思い出したかのように、ハッとすると、すぐに玉虫に微笑みながら話を続けてきた。
「そう、ですね。あなたには沢山の咎ある、その咎がある限りは……あなたは永遠とも思える時間を費やして償わないといけないかもしれません。最も、死んだ事が無い私がはっきりと言える事ではないですが。あなたはあなたなりに咎を償わないといけないんですね。でも、忘れないでくださいっ! 人の心は憎しや恨みだけを抱いているワケではない、他にもいろいろな想いがあるという事を。だからこそ、人は人を恨んだりもしますが、人が人を愛せる事も確かな事です。だから……あなたが愛した想いは本物だったと思います」
「その通りかもしれんやのう。わらわは裏切られ、殺されて、人の憎悪しか見えなくなっていたのかもしれんやのう。やからこそ、わらわは断罪の日を完遂しようとした。けど、人の心は、想いは、それだけはないと気付いていたのかもしれんやのう。だからこそ、千年もの時間が掛かったのかもしれんやのう」
「そうですね、あなたは自分の中に咎を感じていた。しっかりと罪悪感があった。でも……御神刀に溜まりに溜まった怨念が、そんなあなたの想いすらも簡単に消し去ってしまった。確かに人の恨みや憎しみは強い力を発揮するかもしれません。でも、人が人を助けようとする想いも……強い力を発揮するんです。一つ一つは弱くても、沢山集れば強い力になります。私達を助けてくれた、あなたに殺された人々のように」
そう、最終局面に達する前に鈴音達は確かに玉虫に殺された人達から力を貸してもらった。その力があったからこそ、鈴音達は最後まで戦う事が出来た。
一面では人を憎み、人を妬み、怨念となる想いもある。けど、その反面では人を助け、人を愛する想いがある事も、また事実である。どちらが正しいとか、間違っているとかの問題ではないのだ。人の想いは、人の心は、そうした相反する想いがあるからこそ……人生を豊かに出来るのではないだろうか。少なくとも鈴音はそう思っていた。
鈴音は幼い頃に両親を亡くし、静音によって育てられてきたようなものだ。だからこそ、鈴音は自分達を厄介者にした親戚達を恨んだりもしたし、施設でも自分を理解しようとしない人を憎んだりもした。けど、その反面では静音の事をしっかりと想い。静音を支えるために、どんな事でも頑張れてきた。そんな鈴音だからこそ、人には沢山の想いがある事を知っている、理解している。だからこそ、強くなれたのだ。
そんな鈴音の言葉に重みをしっかりと感じたのだろう。鈴音の言葉を受け入れるように瞳を閉じると何かを思っているのだろう、少し祈るような仕草をすると、再び鈴音に向かって顔を向けてきた。今度は涙のない、優しい微笑を。
「主の言うとおりやのう。だからこそ、わらわは負けて当然とも言えるかもしれんやのう。だからこそ、わらわを倒した主だからこそ、わらわは主に頼みたい事がある。聞き届けてもらえるじゃろうか?」
思い掛けない玉虫の言葉に鈴音は少しだけ驚きを示すと、すぐに微笑み、玉虫に対してしっかりと返答した。
「はい、私に出来る事なら」
そんな鈴音の返事を聞いて玉虫は安心したように、優しさが顔に出るようだった。そんな玉虫が鈴音に頼む。
「どうか……わらわが作り出した憎悪の螺旋を断ち切ってほしいのやえ。わらわはそろそろ逝かねばならん。そんなわらわが浮世に残してきた憎悪の螺旋を断ち切るのは不可能やからのう。やからこそ、主に頼みたい。どうか……これ以上、憎悪の螺旋が続かないように断ち切ってほしいのやえ。頼めるかやのう」
そんな玉虫の言葉を聞いて鈴音の顔から笑みが消える。やっぱり鈴音も分っているのだ。けれども、それを口に出したら、それを認めてしまう。それが怖かったからこそ、今までは口に出さなかったのだ。
けれども、玉虫の言葉は確かに正しいし、それは鈴音にしか出来ない事だった。けれども、その事から目を逸らし続けてきた鈴音に、それが出来る自信は無かった。確かに憎悪の螺旋は断ち切らないといけない。けど、鈴音には憎悪の螺旋を断ち切るどころか繋げて広げてしまうのではないのかという不安はあった。
それでも、それは誰かがやらねばならない事だというのは鈴音も分っている。分ってはいるのだが、それを自分がやらなければいけないとなると不安だった。けど、憎悪の螺旋を断ち切ることで玉虫が咎と向き合い、償い続けるのなら、自分自身も負わなければいけないと思った。それが、どんなに辛い事でも。だからこそ、鈴音は微笑みながら玉虫に向かって答える。
「分かりました、出来る限りの事はやってみます。だから……どうか安心してください」
「すまないやのう」
その言葉を口にすると、突如として玉虫の身体は金色の色を放ち、身体が輝き始めた。そんな玉虫を見て、顔を伏せて悲しそうな顔をする鈴音だが、すぐに顔を上げて微笑んだ。そんな鈴音が玉虫に対して最後の言葉を口にする。
「さあ、咎の終わりです、良き旅路を」
「あぁ」
それだけを玉虫は口にすると、玉虫の身体から小さい光の玉が次々と川に向かって流れ出す。それと同時に玉虫の身体が消えて行くのだった。まるで身体が光の玉となって、川の向こうに向かうかのように。
鈴音はそんな玉虫の姿をしっかりと見続けた。これが最後だから、鈴音達が村に着てからというもの、姿は見えなかったものの、ずっと戦ってきた宿敵とも言える玉虫である。そんな玉虫の最後だからこそ鈴音はしっかりと玉虫の姿を見続けた。
そんな玉虫が笑顔で消え去るまで……。
「終わった……のよね?」
沙希の元に戻って来た鈴音に沙希は真っ先にそんな質問をする。どうやら沙希には終わったという感じは掴めていないようだ。まあ、それは仕方ないだろう。なにしろ、玉虫との決着はあっさりと付いた。そして玉虫が逝ってしまった今では、何を確認して良いのかが分からない。だから沙希には終わったという感じが掴めてなかったのだろう。
そんな沙希に対して鈴音ははっきりと口にする。
「うん、終わったよ。玉虫はしっかりと倒したし、旅立った。もう……誰も死ぬ事もないし、誰かが誰かを恨む事も無い。もう全て……終わったから……」
最後は力無く言葉を放つと鈴音は河原に寝かせている美咲に近づいた。美咲はかなり消耗しているのか、呼吸は浅く、意識も戻ってはいない。けれども美咲を助けられたと鈴音は確信しているからこそ、鈴音は優しく美咲の頭を撫でてやるのだった。
そんな鈴音を見ると沙希は顔を伏せてから話し始める。
「鈴音……終わったのなら……私は、鈴音に話さないといけいない事が」
「それだけは聞きたくないっ!」
沙希が何を言い出そうとしているのか鈴音にもはっきりと分っているのだろう。だからこそ、大声を出して沙希の声を途切れさせたのだ。それでも、沙希は話さないといけないと思ったのだろう。無理にでも話を続けようとする。
「鈴音、気持ちは分かるわよ。私だって……そんな事は思いたくない。でもっ、玉虫の事を考えたら、仮復活には依り代と生贄が必要。現時点で明らかになってないのは生贄だけ。だから……考えられる可能性は一つしかないし、私はそれを玉虫に確かめた。だから」
「もういいっ!」
再び大声で沙希の言葉を遮る鈴音。沙希が顔を上げてみると、そこには顔を伏せて、今にも泣き出しそうな鈴音の姿があった。だからこそ、沙希は尚更、鈴音に話さないといけないと感じていた。そんな沙希がどうやって話を切り出したら良いか思案している時だった、突如として不思議な事が起こった。
洞窟中、そして鈴音達の傍にある川が金色の色で光り始めたからだ。突然の事に鈴音も沙希も顔を上げて、不思議な金色で包まれた洞窟内に視線が釘付けになる。
そして、それも突如として起こった。
「まったく、鈴音。何を子供みたいに拗ねてるのよ。もう鈴音だって分ってるでしょ、事実は事実、その事実をしっかりと把握しているのなら、しっかりと顔を上げて事実と向き合いなさい。鈴音、それが今、あなたがすべき事なのよ」
まるで何年も聞いていないかのように懐かしい声。その凛とした声が鈴音の耳に届くのと同時に二人は振り返ると、その人に驚きを隠せなかった。そんな二人にその人は久しぶりに見せる微笑を向けてくるのだった。
はい、そんな訳で、長かった(作者的に)玉虫との戦いにも、やっと決着が付きましたね~。まあ、玉虫は確かに敵であり、裏幕でもあり、悪役でもあったんですが、その根源は、やっぱり悲しいものだと思い。あのような締め括り方をさせてもらいました~。
まあ、玉虫も普通に生きる事が出来たんですけどね、運が悪いというか、仕方ない事というか、どうしようもない事がありますからね。そうした事に巻き込まれ、更に恨む対象があったからこそ、恨んでしまったんでしょうね。
けど、その根源はやっぱり悲しいものであり、悲しいからこそ恨みが強くなると思ったわけですよ。恨みや憎しみは悲しみから生まれるものかもしれませんね。
という事で、玉虫には悪役らしい最後は似合わないと思い。あのような形で旅立つ事になりました。悲しい運命を背負った玉虫だったからこそ、あのような最後が似合っていると私は思いますね~。
さてさて、話題を変えましょうか。
そんな訳で、これで第九章は終わりとなります。そしてっ!!!! 次は最終章となります。まあ、最終章はそんなに長くしないつもりですが、どうなるかは分かりません。ついでにエピローグも一緒に上げるので、次回の更新が最後になります。
そんな訳で次回の更新でやっと完成を迎える断罪咎ですが……なんというか、こうしてゴールが見えると、ちょっとだけ感慨深い物がありますね~。まあ、まだ終わっては無いんですけどね。
そして、エピローグでは、いろいろと凄い事になる予定です。まあ、あまり凄くはないんですどね。ちょっと意外な展開にしようかな~、と思いつつも、無難な展開で終わらせようと思います。それに新コンビが結成される予定なので、その辺もお楽しみに~。
さてさて、いよいよ次回はあの人が登場します。いや~、最後はどうしようかといろいろなパターンを考えていたんですけどね。沙希という存在が要になる思い。このパターンで行こうと決めました。そんな訳で、あの人が登場するワケですね。ちなみに、もう一方は出てきません。やっぱり咎でも登場シーンが無いわけですね。まあ、それも仕方ないですよね~。なにしろ……登場させる意味が無いから(笑)
そんな訳で、次の話はもしかしたら泣くかもしれませんね。そんな風に書けたら良いなと今から思っている次第でございます。
さてさて、長くなってきたので、そろそろ締めますね~。
ではでは、ここまで読んでくださり、ありがとうございました。そして、これからもよろしくお願いします。更に評価感想もお待ちしております。
以上、悲しさは嬉しさに出来る、と考えながら次の章は書こうかな~、と思っている葵夢幻でした~。