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断罪の日 ~咎~  作者: 葵 嵐雪
第九章 最終決戦
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第九章 その一

 美咲の姿を瞳に写した鈴音は美咲に駆け寄ろうとするが、足が少し上がっただけで、一歩も前に出る事はなかった。それはそうだ、なにしろ美咲の姿を見れば良く分かる事だからだ。

 美咲は生気を失ったかのように無機質で無感情な瞳で、涙を流しながら、まるで虚空を見ているような瞳をしていたからだ。だが、それ以上に目立ったのが、美咲の身体から微かに出ている紫色のオーラ。それは玉虫と同じ物だと鈴音は感じたからこそ、鈴音は美咲の元へ行くのを止めたのだ。

 そんな美咲を見て、鈴音は俯くと思いっきり拳を握り締めながら思う。

 なんでっ! なんで……もっと早く気付けなかったんだろう。今までの情報をまとめれば、昨日のうちに美咲ちゃんが全ての起点だという事が分ってたのに。なのに……私は……。けどっ! まだ終わりじゃない、終わりにはさせないっ! 美咲ちゃんは自分が起点となった事に苦しんでたはずだ。だからこそっ! 絶対に助けてみせる。美咲ちゃんを、そして……全てを終わらせるっ! そんな事を思った鈴音は背中から霊刀を抜くと、動きの邪魔に成りそうな鞘を捨て去る。

 それから鈴音は顔を上げると、美咲の方に鋭い眼光を向けると高らかに叫ぶ。

「玉虫っ! 居る事は分ってるんだから出てきなさいっ! あなたが言った通りに、私達は最終局面まで来たわよ。さあ、次は決着を付けるだけよっ!」

 鈴音が叫ぶと、美咲の後ろから紫色の炎が天を焦がすように吹き上がると、次の瞬間には炎は消え去り、美咲の後ろには玉虫の姿があり、玉虫の横には御神刀が空中に浮いていた。

 姿を現した玉虫を睨み付ける鈴音。それは隣に居る沙希も同じだろう。玉虫が姿を現したからには、後は決着を付けるだけなのだから。だが、肝心の玉虫は少しだけ悲しげな顔をしながら鈴音に問い掛ける。

「来るかもしれないとは思ってやがのう、本当に来るとはやのう。主達には、もう分っておろうやのう。ここへ来るためには、この御神刀が必要な事をや。だが、主達は御神刀を手にせずに、どうやって、ここに来れたのかやえ?」

 そんな玉虫の質問に鈴音ではなく、沙希が胸を張って答える。その隣で鈴音は少しだけ意外そうな顔で考え事をしていた。

「残念だけど、あなた達は村長さんを甘く見すぎてたのよっ! 村長さんは、あなたの事を知るのと同時に反撃の手段を手にしなければいけなかった。だから村長さんは密かに七海ちゃんを監視して、平坂洞の秘密を目撃したのよ。だからこそ、鈴音に託した霊刀が持つ、もう一つの意味。それが平坂洞の鍵だって事に気付いただけよっ!」

 声を張って玉虫を威嚇するかのように玉虫の質問に答える沙希。それは沙希にも分っていたのだろう。玉虫が……恐ろしいと。それは鈴音も同じだ、沙希と同じように玉虫から畏怖にも似た恐怖を感じていた。

 たぶん、これが本当に解き放たれた玉虫の力がもたらす恐怖なのだろう。二人はその事を肌で感じていたからこそ、沙希はあえて声を張り上げ、威嚇と挑発の意味を込めて虚勢を張ったに過ぎないのだ。

 そんな沙希の答えを聞いて、玉虫は少しだけ、気だるそうな振る舞いで鈴音達に顔を向けると、今までに見せた事が無い。そう、相手を威嚇する恐怖と、まるで何かを嘆くような悲しみを顔に出して鈴音達に向けて視線を合わせてきたのだ。

 そんな玉虫が声だけはしっかりと相手に恐怖を感じさせるかのように、まるで声に恐怖という言葉が宿っているかのような声で話を続けてくるのだった。

「なるほどやのう、これが、あの老いぼれが用意していた、もう一つの意味というやつやのかのう。羽入の老いぼれも気付いていたようだが、まさか、ここまで周到な準備をしておったとはやのう。さすがのわらわも気付かなかった。いや、気付けなかったのやのうや。なにしろ、わらわは、あの老いぼれを甘く見ておったのやからのう。これもわらわが招いた結果というわけやのうかえ」

 そんな言葉を口にした玉虫に対して鈴音は今までとは明らかに雰囲気が違って、恐怖を今まで以上にも感じているのに関わらず。いや、勇気を振り絞ってといった方が的確だろう。それほどまでに、今の玉虫は、前に戦った玉虫と雰囲気と恐怖が変わっていたのだ。そんな玉虫に対して鈴音は堂々と話を続ける。なにしろ鈴音の中ではすでに覚悟が決まっているのだ。今更、この程度の事で動じる鈴音ではなかった。だからこそ、鈴音も堂々と玉虫との会話を続ける事が出来るのだ。

「そう、私達がここに居るのも、あなたが追い詰められたのも……全てはあなたが招いた結果です。神として祀り上げられながらも、村を憎み続けた結果がこれです。もし、あなたの憎しみが少しでも薄れるような事があれば……もしかしたら結果は変わっていたかもしれませんね」

「それは……どういう事やのう」

「あなたが行った結果として、あなたはあなたを殺した村人達と何ら変わり無いという事です」

 鈴音がその言葉を発した瞬間に突風が鈴音達に襲い掛かる。いや、正確には玉虫が力を発したからこそ、その余波が突風となったに過ぎない。つまり鈴音の言葉は玉虫の何かに触れた事は確かなようだ。

 そんな玉虫から悲しみの色が消えると、今度は怒りを表に出して鈴音に向かって声を荒げる。

「わらわが、あの村人達と同じやとっ! ふざけた事を言うではないやっ! あの者達はわらわを散々甚振り、嬲り、そして殺したのやえ。自分達が助かるために、わらわという生贄を無理矢理に作り出すだけでなく。甚振り、嬲り続けた。その行いは獣と同様やえっ! わらわが、そんなやからと同じだというかえっ!」

 これが千年に渡って積もり積もった玉虫の恨みなのだろう。鈴音達に叩きつけられている突風は、鈴音達も立っている事がやっとなほどに強く。そんな突風に耐えながらも、沙希は鈴音を睨み付ける。どうやら鈴音が玉虫を挑発しすぎたと沙希は感じたからだろう。だが、鈴音はそんな沙希を見て微笑みを返してきた。これは沙希にとっても予想外な事だ。

 確かに今の玉虫は侮辱に近い言葉を浴びせられて、怒り心頭だろう。だが、それも鈴音が考えた計算のうちである。いや、正確には玉虫の心を弱らせるために、そして玉虫に、それを教えてやるために発した言葉だ。だからこそ、鈴音は突風に耐えながらも玉虫に向かって叫ぶ。

「玉虫っ! なら、ここまでに並んでいた首は何なのっ! あなたの恨みは、その時の村人に向けるべきだった。けどっ! あなたは子々孫々まで自分が復活するための贄としてきたっ! その度に……嘆き、悲しんだ人が居た……だからっ! あなたにも咎はあるっ! その証拠を私達はここに来るまでに目にしてきた。それこそが、あなたの咎だからっ!」

 そんな鈴音の主張をまるであざ笑うかのように、玉虫は怒りを発しながら笑った。

「咎やとっ! それこそは村人にあるのやえっ! たとえ今の村人が直接的にわらわに干渉しなくても、わらわに対して獣同然の振る舞いをしてきた者の血をひいておるのやえっ! 故に、わらわは村を滅ぼすっ! わらわを甚振り、汚した村人を皆殺しにする。それこそがわらわの悲願、故にこの村に住む者にわらわが断罪を下すのやえっ! 咎はわらわには無い、村にこそ、あるのやえっ! そして断罪の日を完遂するのやえっ!」

 やっぱり玉虫は気付いて無いかな~、そうなると……反撃の好機は今しか無いっ! 鈴音はそんな決断を下すと、更に声を張り上げる。

「神様に祀り上げられて、随分と偉くなったものだよねっ! けどっ! あなたの主張はある意味で間違ってる。確かにあなたには断罪を下す権利があるかもしれない。けどっ! それはあなたを殺した人々であって、その末裔には関係無いっ! 要するに、あなたは村に断罪を下すという大義名分で人を殺して来たに過ぎないっ! 時が経ち、人が入れ替わっても、あなたは村に断罪を下そうとしてた。そのために犠牲なった人達の首が……私達の後ろに並んでる。確かに、あなたを殺した人には、あなたに殺されてもしかたないかもしれない。けどっ! その子供、そして孫と、血を引いているからと言って殺しても良い権利なんてあなたには無いっ! そこにあなたの咎あるっ! 血を引いている、それだけで自分が復活するために贄にして来た……それこそが、あなたの咎よっ!」

 そんな鈴音の主張を聞くと、突如として玉虫から発せられていた突風が止まると、鈴音達もやっと顔を上げて、玉虫をしっかりと見る事が出来た。そして玉虫は……ここに来て最初に来た時と同様に少しだけ悲しい顔をしていた。

 その事が沙希には不思議だったのだろう。思わず鈴音の方に顔を向ける、そして鈴音は笑みを浮かべながら一回だけ頷いた。どうやら鈴音はこうなる事が分っているようだった。いや、正確には鈴音は玉虫を試してみたに過ぎない。だからこそ、ここに来てから最初に玉虫を見てから、すぐに鈴音は思考を巡らしたのだ。そして……その答えがこれだ。

「玉虫、あなたは既に分っているはず。血をひいてるから、村に居るから、そんな事を理由に自分が復活するために生贄にして良いのか、迷っていたはず。でも、そんな些細な悩みなんて、大きな憎しみの前では取るに足らない事だった。だからこそ、あなたは咎を重ねて来た。でも……あなたは迷い続けていたはずだよ。だって……元々は優しい人だったと思うから。だから、あなたが復活するまで千年の時を有する事になった。あなたの迷いが……あなたの復活を遅らせたのよ。それが良い事なのか、悪い事なのかは分からないけど、一つだけ言える事がある。あなたの迷いは間違ってないっ! 確かにあなたには村に断罪を下す権利があるのかもしれない。けどっ! それを行うには時が経ち過ぎた。もう……あなたが断罪を下すべき人は居ない。でも……あなたは村に断罪を下す事を止めなかった。それは……全てに……終焉の幕を引くために」

「…………」

 鈴音の言葉に玉虫からの返答は無かった。むしろ沙希には鈴音の言葉が的を射ているように感じた。それぐらい、鈴音の言葉を聞いた玉虫は俯いて無反応だったからだ。

 もし、玉虫に鈴音の主張を覆すだけの理由や意義があるのだとしたら、それを主張して来るだろう。けど玉虫は黙り込んでいる。その無反応が鈴音の言葉を肯定させる行為だと沙希は考えたようだ。

 それから、少しだけなのか、それとも長い時間なのか、分からないほどの静寂が、その場を支配した。聞こえてくるのは川が流れる音だけ、他には何の音も響かずに、鈴音達も玉虫も言葉を発する事が無かった。

 ……えっ?

 そんな静寂が支配する場で沙希は意外なものを目にして驚いた。それはそうだ、なにしろ……あの玉虫が涙を流しているのだから。それを目にした沙希は隣に居る鈴音に目を向けるが、鈴音は玉虫を見詰めながら、沙希の視線に気付いたのだろう。だから一回だけ頷くだけだった。

 それが何を意味しているのかが沙希にはすぐに分かった。鈴音の言葉と玉虫の反応、気合を入れていた沙希にとっては拍子抜けと言ったところだろうが、本番はこれからである。だからこそ、沙希は警戒を緩める事はしなかった。そして、それは隣に居る鈴音も同じだった。

 玉虫からは今まで以上の力を感じ、その力に恐怖しそうになる。けれども、鈴音の言葉を聞いていた沙希には、いつの間にか玉虫に対する恐怖が消えていた。それは玉虫に何かしらの変化があった訳ではない。ただ、鈴音の言葉に対する玉虫の無反応が意味しているのを感じ取ったからだ。だからこそ、沙希も成り行きを見守る事にした。

 そんな静寂が支配する場所に玉虫の声が微かに鈴音達の耳に届いた。

「……められな……。もう……おくれやったのやえ。……だから、だから、だから、だから、だから、だから」

 同じ言葉を繰り返す玉虫に鈴音は少しだけ悲しげな顔をすると数回、大きく深呼吸をする。それから顔付きが真剣に戻ると、いや、今まで以上に鋭いものになると鈴音は霊刀を構える。

 そんな鈴音の意気込みが玉虫にも届いて正気に戻したのだろう。玉虫はゆっくりと顔を上げて、鈴音達の方へと顔を向ける。その事に沙希は少しだけ驚いていた。なにしろ先程まで、怒ったり、泣いたり、無表情な顔を見せていた玉虫だが、今では清らかな笑み、と思えるぐらい、すっきりした表情で口元に笑みを浮かべていたのだから。

 それは今までの玉虫からは想像できない、ほどに予想外な表情だった。けれども鈴音には、なんで玉虫がそんな顔をするのかが分っているのだろう。なにしろ鈴音の口元にも笑みを浮かべていたからだ。

 そんな鈴音が沙希に向かって話し掛ける。

「沙希、終わりにするよ……全てを」

 そんな鈴音の言葉を聞いて沙希もしっかりと答える。

「分ってるわよ。全部を……終わりにして……」

 最後まで、はっきりと言葉にしない沙希。やはり沙希の口からは出せない事なのだろう。けれども今は玉虫との事が最重要事項である。だからこそ、鈴音も沙希の言葉に引っ掛かりを感じながらも気にはしなかった。

 だからこそ、鈴音は玉虫に注意を向けながらも話し掛ける。

「あなたは私達に何度も言った。最終局面まで来れば相手をすると……それを逆に言えば、私達が最終局面に来る事を望んでいたとも取れる。千年……口に出せば短い言葉だけど、あなたは悠久とも思われる年月を過ごしている内に気付いた。いや、正確には目を逸らし続けた。あなたの断罪が正しいか、どうかを。だから、完全復活を成した自分を倒せる人間を……あなたは密かに望んでいた。全ては……断罪を終焉させるために」

 そんな鈴音の言葉を聞いた玉虫が軽く笑うと、今までに見せた事が無い清らかな笑みを浮かべながら鈴音との会話を続ける。

「なるほどやのう。羽入の老いぼれが言っていた恐怖とは、この事やったのやのう?」

「恐怖?」

「そう、羽入の老いぼれが言うには、主は姉と同様に恐怖を感じたと言っておったやのう。その意味がやっとわらわにも分かったようやえ。確かに……これほどの恐怖はわらわも感じた事が無い。それだけに恐ろしいといえるやのう」

「う~ん、自分では、そんなつもりは無いんだけどね~」

「主に自覚が有る、無し、ではないのやえ。主には人に恐ろしいと感じるほどの器量と雰囲気を持っておる。もっとも、普段の主は、そんな事を微塵も感じさせんのやが、ここぞという時にはわらわすら恐怖を感じるほどの雰囲気を出す。まったく、厄介な小娘やのう」

 そんな会話を続ける鈴音と玉虫。けれども鈴音には玉虫が言うだけの恐怖が自分にあるとは思っていなかった。むしろ、自然にやっている事だけに鈴音には自覚が無いのかもしれない。けれども、鈴音の隣で話を聞いていた沙希には、玉虫が言った、鈴音の恐怖が良く分かった。

 それは、まだ沙希が鈴音と出会った時の事だ。その時の鈴音は優等生だが、他人を近づけさせないオーラを出していた。そんな鈴音を目障りに思ったのだろう。沙希の友人が数人で沙希の腕前を知っているから、鈴音に対していじめてやろうと沙希をけしかけたのだ。

 もちろん、沙希としては乗り気ではなかった。元々、沙希も厄介事は好きではない。けれども、沙希の性格からして、ちょっとだけ痛い目に遭わせれば良いかと妥協する事にした。それだけ、沙希は自分よりも友人を優先させていたのだ。まあ、その時は、友人が悪かったと言えるだけだろう。

 そんな事があり、鈴音と沙希は事を構える事になった。だが、鈴音と対峙した沙希はすぐに鈴音の恐怖に気付く事になった。なにしろ鈴音の言葉は的確に沙希の心を貫き、斬り裂いたのだから。そして、動揺している沙希に鈴音はいつも持っている模造刀の刃を抜くと沙希の喉元へと刃を当てた。その時の恐怖を沙希は一生忘れはしないだろう。

 そんな事もあり、沙希は完全に自分の負けを口にすると。沙希の友人達は逃げるように、その場から立ち去り、鈴音も立ち去ろうとしていた。そんな鈴音に声を掛けたのが、二人の絆が生まれる切っ掛けとなったのだ。

 だからこそ、沙希にも玉虫が言う鈴音の恐怖という物が良く分かっていた。

 そんな沙希を警戒しながらも玉虫は鈴音との会話を続ける。

「だがやのう、一度開かれた断罪の幕は……そう簡単には閉じる事は出来ないのやえ。事がここに至ったからには、わらわと主達、それぞれに出来る選択肢は二つしかないのやからのう」

「そうだね~、確かにそのとおりだよね~。選択肢は二つ、一つは私達があなたを倒して、あなたの咎を清算して、憎悪に結末を付けて消し去るか。もう一つは、あなたが私達を殺して、村に完全な断罪を下すか。その二つだよね~。でもさ……ここまで来たからには私達は負けない。それはあなただって同じでしょ?」

 そう問い掛けられた玉虫は笑みを浮かべたままに、沙希にとっては予想外な言葉を発する。

「それはどうやえ、もしかしたらわらわは自分自身が滅びる事を望んでいる、かもしれんやのうや」

 そんな玉虫の言葉に驚きを示す沙希。そんな沙希とは正反対に鈴音は動揺を見せなかった。むしろ、鈴音は玉虫の返答が想像外でも、想定の内には入っていたようだ。だからこそ、鈴音は玉虫の言葉を聞いても、平然と会話を続ける。

「千年もの悠久があなたに変化をもたらしたのかな~。けど、一度始めてしまった、断罪への序章を止める事は出来なかった。むしろ咎を重ねる事によって、あなたは気が付いたのよ。自分だけでの意思では、もう断罪の日を止める事は出来ないって」

「その通りかもしれんやのう。一度始めてしまった断罪は止める事が出来なかったのやえ。いや、むしろわらわの中に憎悪が渦巻く内は、贖罪よりも咎を重ねる事を選んだ。そう言った方が正しいのかもしれんやのう。だからこそ、わらわは今、ここに存在出来ておるのやからのう」

「けど、あなたの中には正反対なものも存在してた。愛しい人に裏切られた悲しみ、咎と時を重ねていくうちに生まれて、成長していく罪悪感。咎を目の当たりにした時に感じる辛さ。平和を壊した時の哀れみ。それらがあったからこそ、あなたは千年もの憎悪という鎖に縛り付けられていた。だから、いつしか思うようになった……憎悪の終焉を……」

「だがやのう、わらわの中にある憎悪は、そう簡単に終わりを迎える事が出来ないのやえ。なにしろ、既に断罪の序章が始まっておったからやのう。序章から始まった断罪は終幕を迎えるまで終える事が出来ないのやえ。そして、今……この時が終幕」

「そう、だから私達は負けられない。村を救うためだけでなく、全ての物事に決着を付けるためにも」

「そしてわらわの憎悪に終焉を、断罪の日を完成させて終わらせる事こそ、わらわの悲願」

「それがどんな形でも、私達は断罪の日を終わらせなければいけない」

「断罪の日が終わらない限り、わらわの憎悪は消えず、再び惨劇と悲劇は繰り返されるからやのう」

「だから終わらせる。私達の手で、あなたを倒して断罪の日を」

「そう、終わらせるとしようやのう。主達を殺して断罪の日を完成させるためにもやえ」

 二つの主張は、まったくの正反対な物だ。だが、結末としては同じ物を差している。そう、断罪の日を終わらせるという形で。一方は元凶を倒して、一方は完成させて、断罪の日に終焉をもたらそうとしている。

 そう、どんな形であれ、決着を付けないといけないのだ。始まってしまった断罪の日に……。一度始まれば終わりが訪れるのは必然。玉虫の憎悪から始まった断罪の日も例外では無い。必ず終わりが訪れる。

 その終わりの幕を引くのが、鈴音か玉虫か、決着を付けなければいけなかった。そして二人とも、自分自身の手で幕を引く事を望んでいる。だからこそ、鈴音達はここまで来たし、玉虫も二人を倒さないといけない。それこそが断罪の日に終幕を引く手段なのだから。

 その事は沙希もしっかりと理解していた。だからこそ、沙希は拳を構えると戦闘準備に入る。それと同じく鈴音も霊刀を玉虫に向けるのだった。そんな二人を見て、玉虫は笑みを浮かべる。これは先程までの清らかな笑みでは無い。今までに見てきた、憎悪に満ちた笑みだ。それだけに玉虫も本気で二人を殺しに掛かってくるだろう。

 そんな玉虫が目の前に立っている美咲の両肩に手を置くと、鈴音達に言葉を投げ掛ける。

「さて、主達がここまで来たからには、約束どおりにわらわ自身の力で殺してやるとしようやのう。さあ、そこで見てるが良いやえ。これこそがわらわの全力、文字通りに本当の力やえ」

 そう言うと玉虫はゆっくりと美咲に近づく。それから玉虫は地面に足を付けると、歩く事無くて前へと進み。そのまま美咲と密着する。だが、それで終わりではなかった。そこから鈴音達が驚くべき事が起こった。

 玉虫が前進するたびに、段々と美咲の身体が玉虫の中に入って行くのだ。まるで取り込まれるように玉虫の中に姿を消していく美咲。鈴音はそんな美咲に向かって叫びたかった、手を伸ばしてやりたかった。でも……それが意味を持っていない事を知っていたからこそ、鈴音はただ見ているだけしか出来なかった。いや、鈴音は正確な意味までは分かっていなかった。だが、美咲が玉虫にとって最後の切り札とは考えていた。

 それが、まさかこんな形で成ろうとは鈴音は寄りも思わなかった事だし、考えの範囲を完全に脱していた。そんな玉虫と美咲の光景を見ながら鈴音は思考を巡らす。

 やっぱり美咲ちゃんは依り代だね。依り代というぐらいだから、てっきり玉虫の力を完全に出すために何かすると思ってたけど。まさか……あんな風に吸収するとは思ってなかったよ~。そうなると……玉虫の中に美咲ちゃんが居る……と考えて良いのかな? う~ん……ちょっと違うかな。玉虫は美咲ちゃんを取り込む事によって、完璧な姿で復活が出来るんだと思う。鈴音が、そんな結論を出したのには玉虫をしっかりと観察していたのが理由だ。

 なにしろ美咲を取り込もうとしている玉虫の身体が徐々に具現化しているように見えたからだ。いや、正確には身体を持っていない玉虫だからこそ、感じていた透明感が無くなって、今では自分の身体を徐々に取り戻しているように鈴音達には見えているからだ。そんな玉虫を見ながら、鈴音は思考を止めずに考え続ける。

 う~ん、少し難しく考えすぎてたかな。玉虫は言葉通りの事を言っていたんだ。玉虫は何度も最後まで来れば『自ら相手をする』という言葉を残して言ってたからね~。てっきり、玉虫には美咲ちゃんを使って最強の手段があると思ってたんだけど違ったみたいだね。玉虫は言葉通りに、自ら相手をする。つまり、玉虫は美咲ちゃんという依り代を取り込む事で身体を取り戻す事が出来るんだ。そうなると……私達は本当の意味で玉虫と直接、戦う事に事になる……身体を取り戻した玉虫とね~。う~ん、かなり厄介だな~。

 鈴音がそんな事を考えている内に玉虫は依り代である美咲を完全に身体の中に取り込んでしまった。そんな玉虫が両手を広げるのと同時に今までよりも強い力が解き放たれて、力は突風となって鈴音達に突っ込んできた。

 これが……完全に復活した……最強とも言える玉虫だね。

 状況の割には呑気な感想を思う鈴音。そんな鈴音の考えが分っているのか、ないのか、隣で沙希は玉虫から目を離さない鈴音を見て、少しだけ溜息を付いた。まあ、沙希の気持ちも分かるという物だろう。

 なにしろ身体を得た事で完全に復活した玉虫の力は七海と対決した時とは比べものにならないほどに強く感じている。普通なら、そんな玉虫に恐怖や畏怖を感じるところだろう。だが、鈴音は呑気に玉虫の様子を窺っている。普通なら動揺しても良いような状態なのに、鈴音はのほほんと玉虫を見ているのだ。それだけ鈴音が何も考えて無くて呑気なのか、それとも何かしらの手があるのか。どちらにしても、玉虫がこれほどの力を出して来たからには沙希も油断が出来ない事を察していた。

 そして、肝心な鈴音はというと……未だに呑気に考えていた。

 う~ん、美咲ちゃんを取り込んだって事は……玉虫のダメージが美咲ちゃんにも伝わっちゃうのかな? ん~、やっぱり、それは無いか。なにしろ美咲ちゃんは、まだ子供だからね~。そんな美咲ちゃんと一緒にダメージを喰らえば、先に美咲ちゃんの身体が保たれない事は確実だからね~。なら、取り込まれた美咲ちゃんは玉虫の力で守られてると考えた方が自然だね~。まあ、だからと言って、霊刀で直接的に玉虫を傷付けるのはマズイかな。玉虫ごと美咲ちゃんを斬っちゃったらシャレにもならないからね~。

 すっかり呑気に考え事をしている鈴音とは打って変わって、玉虫は身体を得た事で、千年ぶりに感じる五感に懐かしみを覚えながらも、しっかりと準備だけはしていた。その証拠に、いつの間にか玉虫の右には御神刀が浮かんでおり、玉虫は御神刀を掴むと、ゆっくりと引き抜く。そんな光景を見ながら、沙希はいい加減に結論を出さないといけないと思ったのだろう。鈴音が何を考え、どうするのかを尋ねる事にした。

「さ~て、鈴音。玉虫様は準備が出来たみたいだね。それで、こっちはどうするの?」

 沙希が声を上げるまで考え事をしていたのだろう。鈴音は思い出したかのように沙希の方へ、呑気な顔を向けると、あっさりと答える。

「作戦の基本方針は同じだよ~。ただ、玉虫が美咲ちゃんを取り込んじゃったからね~。私の方は霊刀で斬る事は出来ないと思う。玉虫だけなら、ともかく、美咲ちゃんまで傷付ける事になったら大変だからね~。だから私は峰打ちしか出来ないけど、峰打ちでも攻撃した場所や強さによって状況が変わってくるからね~。だから強くは攻撃できない。だから私よりも沙希が攻撃の要になってくれた方が良いかな~」

「了解、つまり私が思いっきり攻撃すれば良いのね」

 随分と簡単な解釈をする沙希だが、それだけ鈴音を信用している証拠とも言えるだろう。まあ、こんな状況で呑気な顔で考え事をしていたのだ。そんな鈴音を見れば、まだこちらが追い詰められていない事は沙希にとっては簡単に分かる事だ。そんな鈴音が、そう言うのだから、ここは鈴音の言うとおりにした方が良いと沙希は判断したに過ぎない。

 そんな沙希に鈴音は追加注文をしてくる。

「それから、なるべく攻勢に出て。二人でなら玉虫を攻撃し続ける事が出来る。とにかく、玉虫に思いっきり力を使わせて、こっちも全力で応じる。最初はそんな感じかな~」

 そんな追加注文をしてきた鈴音に沙希は思いっきり溜息を付いて見せた。それはそうだ、なにしろ身体を得た事で玉虫は自由に動きまわれる。しかも、人間の域を出た速さと力でだ。そんな玉虫を相手に思いっきり攻撃し続けろというのだ。それが、どれだけ無茶な事だというのは、玉虫の力を肌で感じている沙希には良く分かった。

 それは鈴音も同じだろう。けれども、鈴音はあっさりと無茶な注文を出してきたのだ。そこには何かしらの意味があるのだろう。沙希は少しだけ茶化しながら鈴音に質問する。どうやら鈴音が呑気すぎるから、沙希にも伝染したのだろう。

「それで鈴音、その心は?」

 なぞかけじゃないのだから、その言い方は状況とは正反対の空気を出していただろう。けれども、二人とも玉虫の力に脅威を感じていないワケじゃない。二人とも最後まで来たからには、それなりの覚悟があったのだ。それに、ここに来るまでに犠牲になった人達の首を見て来ている。そんな物を見せられた後に、最強の敵と戦う事になったのだから、もう少し緊張感が出ても良いものだが、二人は違うようだ。

 この状況だからこそ、二人は平静でいられる。いや、正確には村に来てからの出来事、そして玉虫との対決。それらを経験したからこそ、二人とも、いつもの二人でいられるのだ。その証拠に鈴音は沙希に微笑みながら口を開く。

「いずれは尽きるでしょう」

 あっさりと一言で答えてきた鈴音に沙希は肩をすくめて見せる。まあ、沙希の気持ちも分からなくも無いだろう。あんなたった一言の言葉で鈴音の真意を汲み取るのは不可能だ。けれども、沙希は鈴音を絶対的に信頼している。だからこそ、それ以上の事は聞かなかった。

 そんな沙希とは正反対に実は結構な賭けだと鈴音は考えていた。

 う~ん、たぶん、これで行けると思うんだけどね~。玉虫は依り代である美咲ちゃんを取り込む事で完全復活、つまり身体を手に入れた。今までの霊体だけでも、かなりの力を出してきたのに、今度は霊体ではなく、生身の身体で自らの手で御神刀を振るってくる。正しく、最強の敵だよね~。けど……それが逆転に繋がる点になるかもしれないんだよね~。まあ、確証は無いけどね~、今は自分の考えを信じて行動するしかないかな~。状況から考えて、美咲ちゃんに玉虫の力を乗せてると考えても良いかもしれない。だったら……美咲ちゃんから攻めるのが最も有効だよね~。だからこそ、今は美咲ちゃんから攻め落とす。そして……その時こそが、こちらが玉虫にトドメをさせる最大の好機。今はそこに賭けるしかないかな~。

 どうやら鈴音は玉虫を観察して、何かの考えを思いついたようだ。だからこそ、未だに確証が無い賭けになっているが、分が悪い賭けではないと鈴音は考えている。そこには、やはり、依り代が美咲という事が重要になっているようだ。だからこそ、鈴音は攻勢に出る事を決めたのだろう。

 二人の方針が決まった頃には、玉虫は御神刀を手に、瞳を閉じて立っていた。もちろん、ただ立っている訳ではない。沙希や鈴音のように格闘なり、剣術なりをした者なら分かるだろう。今の玉虫には攻撃を入れられるだけの隙が無い事に。ただ静かに立っている玉虫でも、決して油断が出来ず、警戒に値する事は確かなようだ。

 そんな玉虫を見て、鈴音は最後の確認をするために沙希に話し掛ける。

「とにかく、最初はそんな感じで。それから私が合図を出したら沙希、その時はお願いね」

「分ってるわよ、その代わりに、絶対にしくじらないでよ、鈴音」

「う~ん、はっきり言うと、自信は無いけど……今は自分の腕と村長さんが託してくれた霊刀を信じるしかない、としか言えないかな~」

「まあ、仕方ないんじゃない。なにしろ、私達は玉虫様に喧嘩を売りに来たんだから。絶対に勝てる保障なんて無くて当たり前なんじゃない」

「確かにね~、それで沙希はどれぐらいの確立で勝てると思ってるの?」

「鈴音が考えた作戦だからね……大きくまけて一割以下」

「酷っ! う~、私って、そんなに信用が無い?」

「当たり前でしょ。だからこそ、失敗した時は私が確実にフォローしてあげるわよ。だから鈴音も思いっきり当たって砕けてきなさい」

「それって、玉砕してこいって事だよねっ! う~、こんな時にも沙希は意地悪だ~」

「はいはい、さて、鈴音。あまり玉虫様を待たせると失礼だから、そろそろ行くわよ」

「う~、分かったよ。沙希……帰る時は皆一緒だからね」

「……当然でしょ」

 そんな会話をした後にお互いに笑みを浮かべる鈴音と沙希。それから、二人とも戦闘体勢に入るために、それぞれ構える。そんな二人を待っていたかのように、玉虫は静かに瞳を開けると、今までと同じく、憎悪に満ちた笑みを浮かべながら二人に向かって話し掛ける。

「どうやら、最後の別れは済んだようやのう。まあ、これから二人とも同じところへ、行くのやからのう。別れなんて必要はなかったのかのやえ」

 そんな玉虫の言葉に沙希も皮肉を込めた言葉で返す。

「残念だけど、しっかりと別れは告げないとね。そうじゃないと可愛そうでしょ。だって……あなたはたった一人で行くんだからね。だからしっかりと、玉虫様に別れを告げる事にしましょうか」

「ふっふっふっ、この状況で、まだそんな口を叩けるとはやのう。ならば、直接身体に刻んでやろうとしようやのう。わらわの力と恐怖をのう」

 そう言うと玉虫は御神刀を右手だけで構え、刃を鈴音達に向ける。それだけ力の差があるというのを見せ付けたいのだろう。だが、そんな事は呑気な鈴音に対しては何も意味を成さなかった。その証拠に鈴音も玉虫に向かって言葉を返す。

「う~ん、さすがに御神刀で斬られるのは痛そうだから嫌だな~。だから、その前に倒しちゃうよ~。それから、美咲ちゃんもしっかりと返してもらうからねっ!」

 やはり呑気な言葉で返す鈴音だが、最後はしっかりと言葉に力を込めて玉虫に放った。その気概を玉虫はしっかりと受け止めたのだろう。玉虫は軽く笑うと鋭い眼差しを鈴音達に向けて放ってきた。それが何を意味しているのかが分かるからこそ、鈴音は霊刀を強く握り締めて構え、沙希も拳を軽く前に出して構える。つまり、二人とも、いつでも戦闘状態に入れるという事だ。そんな二人を見たからこそ、玉虫は言葉を放つ。

「最早、言葉は要らないようやのう。さあ、後はお互いに力で語り合うとしようやのう。主達、しっかりとする事やのう。終幕がすぐに終わってしまうと盛り上がらないからやのう」

「その余裕、いつまで保つ事が出来るか見てやろうじゃない」

「気概や良し、なら始めるとしようや。最終決戦を、主達とわらわの最後になる戦いを、断罪の結末を」

「そして全てに終焉を、そして私達が勝ったら……贄となった魂の解放を、村には永久とわの平穏を、そして……私の願いを叶えるために」

「ならばや、最後の戦いは尋常に」

『勝負よっ!』

 鈴音と沙希の言葉を最後に戦いの幕が上がった。全ては終焉を迎えるため、それは断罪の完成か、または魂の救済か、その結末は未だに分からず。全ての答えは、この戦いの向こうにある。だからこそ、鈴音と沙希、そして玉虫さえも、この戦いに全てを賭けるのだった。全ては……各々が望んだ終焉を迎えるために。






 え~、そんな訳で、やっとこさ更新が出来た断罪咎ですが……長らくお待たせした人にはすいませんでしたっ!!!!

 いやね、いろいろとあったんですよ。そう……いろいろとね。だから、そこは大目に見てね……えっ、ダメ? そして何で私は縛られて、釜の中に入れられたんでしょう……熱っ!!!! というか、釜茹でだけは勘弁してくださいっ!!!! 熱いっ!! 熱いよっ!!!! というか、私は釜茹でにされると……ゲル状になっちゃうんですっ!!!! 文字通りに解けるんですっ!!!! だから釜茹でだけはやめて――――っ!!!!

 ……作者冷凍中……

 ふ~、何とか固体に戻れたよ。まあ、そんな訳で、更新が遅れた罰も終わった事ですし、今回はこの辺で終わりにして次に続きま~す。

 ではでは、ここまで読んでくださりありがとうございました。そして、これからもよろしくお願いします。更に評価感想もお待ちしております。

 以上、ゲル状の作者は河豚以上の毒を持っているので、決して口にしないでくださいと、意味の無い注意をしてみた葵夢幻でした。

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