第四章 その二
……なにっ! 鈴音は木の幹を背にして崩れ落ちるように座りながら、水夏霞と水夏霞の後ろに居る玉虫を見詰める。どうやらいきなりの事態で鈴音は何が起こったのかが理解できていないようだ。そんな鈴音がつい数秒前の事を思い出す。
えっと、確か玉虫が私に向かって手を向けると……私が吹っ飛んだっ! なんでっ! どうして? もしかして……これが玉虫の力? 鈴音がそんな結論に達すると自分が玉虫をかなり甘く見ていた事を理解した。
確かに沙希からの報告で玉虫の力については理解したつもりだったが、まさかここまで早く、力強い物だとは思ってもいなかったからだ。だがその身に玉虫の力を受けて鈴音はやっと玉虫の力がいかに強大かを理解した。
鈴音も玉虫の力が強いと警戒していたが、そんな鈴音の警戒心をあっさりと崩して玉虫は鈴音に向かって攻撃を仕掛けてきたのだ。鈴音もかなりの覚悟で玉虫に挑戦状を投げつけたのだが、まさか玉虫がここまで強大な力を持っているとは予想できなかったようだ。
だが、今こうして対峙していると鈴音にもやっと分ってきた。玉虫がどれだけ強大な力を持っているかを。鈴音は霊刀を水夏霞に向けながらも、痛みが走る背中を無視しながら立ち上がる。ここで水夏霞に一気に攻められては、いかに鈴音でもすぐにやられてしまうだろう。
だが玉虫も鈴音が刀を持っている事に警戒しているのか、水夏霞に追撃はさせなかった。確かに玉虫が攻撃をした直後に水夏霞が攻撃してくれば鈴音は何も考える隙も無く、やられていただろう。だが幸いな事に鈴音は吹き飛ばされながらも霊刀を水夏霞の方に向けたままだった。その体勢が玉虫に追撃をちゅうちょさせたのだろう。
なにしろ今の時点で水夏霞という傀儡を失ってしまえば、次の傀儡を用意するまで時間が掛かる。その間に鈴音に逃げられるのは目に見えている。玉虫としては、先程の会話で鈴音を危険分子と見なしたのだろう。だからこそ、ここで鈴音を殺すために確実な手段に出たに過ぎない。
つまり危険を冒してでも追撃をするのではなく、確実に鈴音を殺すために水夏霞という傀儡の無事を優先させたのだ。水夏霞さえ無事なら鈴音を確実に追い詰める事が出来ると踏んだのだろう。だからこそ、玉虫は吹き飛ばされながらも刀を向けてきた鈴音に水夏霞で追撃を掛けなかったのだ。
その水夏霞の追撃が無かったおかげで鈴音は玉虫の意図が見えたようだ。だから玉虫が追撃をしてこなかった理由も鈴音はしっかりと理解していた。そんな鈴音が自分自身の運について思う。
それにしてもラッキーなのかな? ずっと水夏霞さんに刀を向けていたから玉虫は追撃をしてこなかったけど、さっきの不意打ちで刀を手放していたら確実にやられてたよ。それとも不幸中の幸いなのかな? まあいいや、どっちにしろこれで玉虫の力については大体想像が付いたよ……最悪な展開の方だけど、それはしかたないよね。そんな事を考える鈴音は刀を構えながらも玉虫と水夏霞の両方を見据えながらも、隙を窺うかのように横に移動する。
そんな鈴音の動きに合わせて水夏霞も刀を鈴音に向けながら、玉虫と共に鈴音の移動に合わせて、その場で回転するように動き、鈴音と向かい合う形を維持し続ける。どうやら玉虫も鈴音に横を見せるだけの余裕は無いと踏んだようだ。
なにしろ玉虫は先程は沙希に思いもよらない反撃によって学という手駒を一時的に使えなくなってしまっている。だから玉虫が沙希の時よりも鈴音を警戒して来てもおかしくはなかった。
そんな状況に鈴音は心の中で沙希に文句を言っていた。
沙希~、やるにしても、もうちょっと手加減してやってよね~。おかげでこっちが警戒されまくりだよ~。まあ……そんな玉虫にガソリンをぶっ掛けて火を付けたのは私だけどね。まさかここまで本気で来るとは思ってなかったよ~。まあ、沙希に思いもよらない反撃にあったんだから私の事を警戒してもおかしくはいないんだけど……沙希~、ちょっとはこっちの事も考えてよね~。
随分と勝手な事を考える鈴音。それだけ水夏霞と玉虫の動きに隙が無いのだ。だからこそ鈴音は心の中で沙希に文句を言ったのだろう。なにしろ本気になった玉虫を相手にむやみやたらに斬りかかる事は鈴音には無謀だと分かるほど、玉虫から出ている殺気は鋭く、その動きには微塵も隙がなかったのだから。
確かに玉虫は先程、沙希に思いもよらない反撃を喰らっている。それは玉虫の油断が呼んだ事態だ。それは玉虫自身も分っている。そんな玉虫に鈴音は先程、更に火を付けるような言動を吐いたのだ。それは玉虫を本気にさせるには充分だったが、まさかここまで強大な力を駆使してくるとは鈴音にも予想できなかった事だ。
予想よりも強大な力を持った玉虫に鈴音は、どう攻めようか迷っていた。確かに御神刀を手にしている水夏霞には微塵の隙も無い。まるで達人以上の力を持っているような立ち方で鈴音の出方を窺っている。その後ろで玉虫は笑みを浮かべるどころか、殺意に満ちた視線を鈴音に送ってきている。
どうやら玉虫はここで鈴音を殺すつもりなのは確かなようだ。そんな気配を鈴音は感じながらも背中に流れる冷や汗を無視しながら刀を構えながら少しずつ移動する。こんな事で水夏霞の隙が見つけられるとは鈴音も思っていないが、こうする意外は今の鈴音に対抗する手段が無いからだ。
足を止めればいざという時に出遅れる可能性がある。だからこそ鈴音はいつでも動けるように少しずつでも動き続けて、玉虫を牽制しながらも自分がいつでも動ける体勢を維持する。足を止めていると、どうしても出遅れる場合がある。鈴音はそれほど熟練した剣術家ではない。だからこそ、こうして動き続ける必要があるのだ。鈴音は今の水夏霞ほど腕は立たない。だからこそ何があっても、すぐに移動できるように少しずつでも移動し続けるのだ。
それは完全に上位の者が下位の者を相手にする対戦のようだ。上位の者は足を止めておいても熟練した剣技により、いつでも剣を振るう事が出来るだろう。だが下位の者は少しでも動いて、準備運動的な動きをしておかないと、相手が動いてきた時に対処できないのだ。だからこそ、鈴音は少しずつでも動き続けて、いざという時に準備する。
そんな鈴音を見て玉虫は鈴音の腕を見切ったのだろう。玉虫が放ってくる殺気は依然と変わりはしないものの、口の端に笑みを浮かべると玉虫は口を開いて言葉を投げ掛けてきた。
「いつまで、そうしているつもりやのう。そんな事ではわらわを倒せんのは分ってやのう。それとも、やっとわらわの力が分かって怖気付いたのかや?」
そんな玉虫の言葉を聞きながらも鈴音は足を動かし続けながら言葉を返す事にした。どうやらここで黙り込むと鈴音は自分に余裕が無いと玉虫に教えているような物だと判断したようだ。それなら無理をしてでも言葉を返して牽制するつもりなのだろう。だからこそ、鈴音はゆっくりと息を吐くと玉虫に向かって言葉を返す。
「まさか、そんな訳ないよ~。ちょっとだけあなたの力を試してただけだよ。それに水夏霞さんの身体を傷つけるわけにはいかないからね。どうやってあなただけを倒そうか考えてたんだよ」
……あれっ? 私……今、何て言った? どうやら鈴音の緊張感は自分が放った言葉すら覚えていないほど張り詰めているようだ。だがその言葉の中に鈴音は何かを見つけたようだ。だからこそ鈴音は自分の言った言葉を思い出そうとするが、その前に玉虫が話を続けてくる。
「それはそれは難儀な事やのう。傀儡の身体を傷つけずにわらわだけをなんとかしようというのやのう。そんな事は不可能やのう、出来ると思っておるのやえ?」
傀儡の身体を傷つけず? それって水夏霞さんを傷つけないって事だよね? ……あっ! あった! たった一つだけ、水夏霞さんを助ける方法が、そして玉虫を撃退する方法が。どうやら鈴音は玉虫の対処法をやっと見つけ出したようだ。だがその前に鈴音は反省を込めた後悔をしていた。
あ~、もうっ! 最初の一撃があまりにも突然だったから、さっきまで考えていた事が全部吹っ飛んじゃったじゃないっ! 非常識な力もいい加減にして欲しいもんだよね~。でも……やっと思い出したよ。この戦いで私がやるべき事を……待ってて水夏霞さん、今助けるから。そんな決意をした鈴音は始めて足を止めると刀を構えなおす。
鈴音が構えたのは下段、刀の切っ先を下げた、どんな攻撃にも対処しやすい構えだが、その分だけ攻撃に出づらい構えだ。確かに今の水夏霞と鈴音の腕を比べれば、完全に水夏霞が上を行っているのは確かな事だろう。だからこそ鈴音はその構えを選んだのだ。
それは水夏霞の攻撃を捌くだけじゃない、鈴音の思惑で一番重要な役目を果たすためにも鈴音は下段の構えを選んだのだ。そんな鈴音を見て玉虫は表情を変えてきた。殺気は依然と変わりないが顔付きが先程より真剣な物になっていた。どうやら玉虫は最初の攻撃で鈴音が混乱していた事を見抜いていたらしい。だが今になって鈴音が混乱から脱出して冷静さを取り戻した事を察したようだ。そして、その瞬間こそ玉虫が待っている時だった。
鈴音が下段に構えてから静寂が辺りを占領する。そんな静寂を斬り裂くように遠くからの銃声が聞こえるのと同時に水夏霞が鈴音に向かって一気に駆け出した。沙希の報告で玉虫に憑依された者は達人以上の腕前で剣を振るってくる事が分っている。だから水夏霞が繰り出してくる斬撃も達人以上のものだろう。鈴音はそれを予想しながらも迫ってくる水夏霞に対抗するためにタイミングを計る。
そして水夏霞が御神刀を振るうのと同時に鈴音も霊刀を振り上げるのだった。御神刀と霊刀がぶつかり合い、辺りには金属音が大きく鳴り響く。余計な音が無い所為か、鳴り響いた金属音が鈴音の耳にはとても大きく聞こえた。だが今の鈴音には音を気にするまでの余裕は無かった。
なにしろ、こうして剣を交えて初めて分かったからだ。水夏霞の一撃が……早いだけでなく、とてつもなく重いということに。それは水夏霞の一撃が早さだけでなく、威力も充分にあるということだ。言い返れば水夏霞の一撃を喰らえば鈴音の身体など簡単に一刀両断出来るというわけだ。
それだけ水夏霞の繰り出してきた斬撃は鈴音にとっては脅威だった。両者とも刃の付いた真剣とも言える刀だ。だから一撃必殺の形で決着が付いてもおかしくは無い。だが、それは攻撃がしっかりと入ったときの事で、浅手の攻撃では両者にとっては意味が無い。なにしろ玉虫は鈴音を殺せないし、水夏霞を傷つけても玉虫にとっては何の障害にもならないからだ。
つまり二人の決着が付く場合は、どちらかが逃げるか……どちらかが死ぬかである。だが鈴音が相手にしているのは悪霊とも言える玉虫。そんな玉虫を相手に鈴音は水夏霞を死なせる事無く勝たなければいけない。鈴音にとっては困難極まりない状況と言えるだろう。
そんな最初の一撃から水夏霞と玉虫はすぐに鈴音の間合いから一歩出ると、すぐに返して再び攻撃を仕掛けてきた。鈴音としては最初の一撃で手が痺れるほどの衝撃を味わっているというのに、これ以上も水夏霞と打ち合っていては鈴音の手が持たずに霊刀を持っていられないかもしれない。
だが鈴音はあえて水夏霞と打ち合う事にした。お互いに一撃必殺の状況、鈴音も体験した事が無い緊張感の中で刀を振るい続ける。そして御神刀と霊刀がぶつかり合うたびに金属音が鳴り響くのだが、鈴音の手にはそれほどの衝撃は無かった。なにしろ鈴音は水夏霞の攻撃を受け流しているのだから。
先程は水夏霞の攻撃を真正面から受け止めたから手に負担が掛かるような衝撃を受けたのだ。だが今は御神刀と霊刀がぶつかり合うと、鈴音は御神刀に沿うように霊刀を押し進めて水夏霞の威力を受け流していたのだ。そのため鈴音の手にはそれほど負担は掛からないが、攻撃を受け流しても水夏霞の動きが鋭すぎて鈴音には反撃出来るほどの時間を与えてくれなかった。それほどまでに水夏霞は斬撃だけでは無く、足運びに至るまで達人以上の動きを見せていたのだ。
そんな水夏霞の攻撃を受け流しながらも鈴音は思考を巡らす。
まいったな~、強いって事は聞いてたけど、ここまで強いなんて卑怯だよ~。攻撃を受け流しても私が反撃をする隙を作らないって、どれだけ鋭い動きをしてるんだよ~。う~ん……けどっ! 今の玉虫を退散させない限りは水夏霞さんを助ける事は出来ないんだよね。そのためにはどうしようかな~……よしっ! 少し玉虫を揺さぶってみようかな。正直、これも賭けだけど、今度は良い目が出て欲しい物だよ~。
そんな判断を下した鈴音の動きが急に変わった。今までは攻撃を受け流してから反撃を狙っていたのだが、今度は攻撃を受け流した後に押さえ込みに入ったのだ。
御神刀と霊刀がぶつかり合った瞬間に鈴音は一気に間合いを詰めて、鈴音は水夏霞と密着状態になる。そうなると水夏霞は鈴音を押し返すか、退いて体勢を崩すか、それとも刀に掛かっている力の方向を受け流して密着状態から脱出するか、玉虫は選択を迫られていた。
どれにしても鈴音に密着されているからには御神刀を振るう事が出来ない。それは鈴音も同じでぶつかり合う刀同士に鈴音と水夏霞が密着に近いほどの距離に居るのである。そんな状況ではどんな達人でも刀を振るう事は出来ない。更に鈴音はぶつかり合う刀の位置を鍔元まで持って行き、完全に御神刀の動きを封じる作戦に出てきたのだ。
鍔元でぶつかり合う御神刀と霊刀。玉虫としては今の状況は好ましくなかった。なにしろ御神刀が使えないだけに鈴音を殺す事が出来ない。だが下手に動けば鈴音の霊刀で水夏霞が斬られるだろう。そこで玉虫はどうにかして鈴音の体勢を崩そうとさまざまな方向に力の流れを変えて鈴音の体勢を崩そうとするが、鈴音も剣術を習っていただけに、そうした攻防には慣れているようだ。
水夏霞が鍔元でぶつかり合っている御神刀をさまざまな角度に変えてくる。だが、その度に鈴音は自分の体勢が崩されないように、かつ水夏霞の動きを封じ込めるように力を加えているのだ。なにしろ力が掛かっているのが鍔元なだけに、力を掛ける角度は狭められているし、鈴音にとっても水夏霞が力の向きを変えてきてもすぐに反応できた。
つまり今の状態は刀同士がぶつかり合っているのではなく。両者の腕がぶつかり合っているのと同じ状況だ。さらに鈴音と水夏霞はほぼ密着状態。そんな状態で両者が動ける訳が無かった。まあ、沙希みたいに特殊空拳や関節技を使えるなら話は別だが、刀同士だとこうした密着状態では両者がタイミングを計って、同時に退くしかないのだ。
けれども今の鈴音は水夏霞から離れる気は無かった。そんな鈴音に玉虫もやっと鈴音が別の勝負を挑んでいる事に気が付いたのだろう。つまり玉虫も鈴音が先程のように舌戦をしようという意思にやっと気付いたのである。
けれども玉虫としてはタイミングを計って退いた方が勝機は高い。なにしろ今の水夏霞なら上手く鈴音を裁いて退くだけの動きが出来るからだ。それでも玉虫は迷っていた。なにしろ鈴音は玉虫が千年以上も掛けた計画を見破ったのだ。そんな鈴音と舌戦を繰り広げるという事は自分にとって不利になるのではないのかという不安があったからだ。
それと同時に鈴音がどんな舌戦を仕掛けてくるのかに興味が沸いていた。なにしろ先程も言ったように鈴音は玉虫の計画を見破っている。そんな鈴音が舌戦を仕掛けようとしているのだ。玉虫にとっては、このまま斬り合うより、そちらの方に興味が沸いても不思議ではなかった。なにしろ誰にも見破れない計画を鈴音は見破ったのだから。そんな鈴音がどんな話を仕掛けてくるのか玉虫が興味を持っても不思議ではない。
だからと言って、このまま鈴音が思ったとおりに舌戦に持っていかれるのも玉虫は少しだけ癪だった。だからこそ玉虫は水夏霞を上手く操る。水夏霞が少しだけ刀を退くと、鈴音は当然のように刀を押し出してくる。だが水夏霞はいつもの水夏霞ではない、玉虫に操られている水夏霞である。だからどんな動きを見せても不思議ではなかった。
押し出してきた鈴音に対して水夏霞はすぐに身体を少しだけ下に落とした。そうなると鈴音が上から押さえ込むような形になって鈴音が有利に見えるが、それはその体勢を続けた場合である。
水夏霞は鈴音が上に乗り出してくるのと同時に身体を更に下げる。そんな事をすれば完全に鈴音に上を取られて不利になると思われるが、今の水夏霞には玉虫の力が掛かっているのである。だから達人以上の動きを見せても不思議ではない。
水夏霞は身体を更に下げた事を良い事に鈴音の下を完璧に取る。それと同時に地面を蹴って頭と足の位置を入れ替え、片足を鈴音の腹に付ける。だがそこで終わりではない、水夏霞は相当な勢いで地面を蹴ったのだろう。鈴音の腹に片足を付けたままバク中をするかのように一回転した。
それと同時に鈴音を蹴り飛ばしてしまったのだ。つまり水夏霞はワザと鈴音の下に位置取りすると鈴音を蹴り飛ばす、というより回転の勢いを使って弾き飛ばすように一回転して見せたのだ。まるで、どこかの雑技団でも出来ないような動きを水夏霞はやってのけたのだ。
鈴音もまさかこんな反撃が来るとは思ってもいなかった。それ以前にこんな動きをしてくるなんて予想すら出来るわけが無い。いったいどこまで非常識なのよっ! そんな愚痴を心の中で思いながらも、弾き飛ばされた鈴音は成す術も無く、そのまま地面へと叩きつけられてしまった。
けれども鈴音も伊達に沙希と摸擬戦をやっていた訳ではない。沙希がやってくる投げ技についての対処法も身体が自然と覚えている物で、鈴音は地面に叩きつけられながらもダメージはそんなに無い。どうやらしっかりと受身が出来ていたようだ。だからこそ鈴音はすぐに立ち上がると水夏霞に向かって霊刀を向けるのだが、その肝心な水夏霞は鈴音に御神刀を向ける事無く、水夏霞の後ろで玉虫が不敵な笑みを浮かべている。
なるほど、そういう事か。どうやら鈴音には事態が飲み込めたようだ。確かに鈴音から舌戦を仕掛けようとした。けれども玉虫はあの状態で舌戦を受け入れるのは癪だったのだろう。だからこそ鈴音の挑戦状をこうした形で返して来たのだ。それは玉虫が鈴音の挑戦を受ける証でもあり、鈴音が玉虫に一本取られたという証明でもあった。
なにしろあのまま舌戦に持っていけば確実に鈴音が有利だったのだが、こうやって引き剥がされて、なおかつ攻撃もしないで鈴音の不適な挑戦を受け入れたのだ。それだけで玉虫の心には余裕ができた事だろう。だが鈴音にとっては、これでやっと対等。先程の体勢を維持したままなら鈴音が有利に運べたのだ。
それはお互いに刀を交じ合わせているからには、心に出来た動揺が必ず動きに出る。つまり鈴音にも反撃のチャンスがあったのだ。だがこうして離されてしまっては舌戦で有利に立つ事にあまり意味は無いだろう。それでも鈴音は玉虫の心を揺るがして、少しでも自分の有利を引き寄せようと舌戦に持ち込むのだった。
そんな鈴音が水夏霞と同様に霊刀を下ろすと玉虫を睨みつける。
「随分と余裕だね。私の挑戦をこんなにも簡単に受けてくれるなんて」
実際には鈴音の有利が消された以上、玉虫が優位に立っていると言っても良いのだが、鈴音としても隙を見せるわけにはいかない。だからこそ強気に発言するのだった。
そんな鈴音の言葉に玉虫は不適な笑みを浮かべながら返してきた。
「主から投げ付けてきた挑戦状やえ、それを受けるのが礼儀というものやのう」
まずいな~。玉虫の返事を聞いて鈴音はそんな感想を抱いた。確かに舌戦に持って行って、玉虫を動揺させるのが鈴音の作戦だ。だがその玉虫が余裕のある言葉を返してきたからには鈴音にとっては不利な事態である。
この玉虫の余裕を消して動揺させなければ鈴音に勝ち目などは無いのだから。それが分っているからこそ鈴音は平静を装いながらも舌戦を続ける。
「それはありがとう~、不適な挑戦状を受けてくれて。私はてっきり私の挑戦に受けるだけの余裕が無いものだと思ってたよ~」
「ふっふっふっ、余裕が無いのはお互い様ではないのかやえ。主もわらわものう」
認めてきたっ! ……そっか~、どうやら考えている事は同じなんだね~。なら、ここは一気に攻め立てるか~。そんな判断を下した鈴音は一気に確信に迫る言葉から投げ出す事にした。玉虫がわざわざ認めてきたという事は、それだけ鈴音に自分には余裕があるぞと思わせたいのだ。だからこそ本音を出してきた。けれども鈴音はそれが本音だとしっかりと見抜いていた。だからこそ、ここは一気に攻めるべきだと判断したようだ。
そんな鈴音が一気に攻め立てる。
「しっかりと見抜かれてるね~。まあ、いいや、本当の事だしね~。それよりも私にも未だに分からない事があるんだよね~。あなたに恨みがある事は私にも分かるよ~、でもここまで強い恨みを残したって事は相当な仕打ちを受けたって事だよね~。つまり、あなたはただ生贄にされただけじゃないっ! 他にも恨みがあるからここまでの事をしてる、そう思ったんだけど、どうかな~?」
わざと最後は質問で締める鈴音。質問で締めれば玉虫も何らかの形で返答しないとならないと踏んだのだろう。
だが鈴音には大きな誤算が一つだけあった。それは攻めに出すぎた事だ。鈴音の問い掛けに玉虫はすぐに答えようとはしなかった。それどころか珍しく顔が見えないほど俯いて軽く笑っている。そんな玉虫を見て鈴音は改めて思う。うわ~、攻めすぎて地雷を踏んじゃったかな~。どうやら鈴音の言葉は玉虫を思いっきり斬りつけて、いや、斬りすぎてしまったようだ。
それを示すかのように玉虫が顔を上げると今までよりも怨念に満ちた顔になっていた。そんな玉虫の顔を見て鈴音は思わず一歩だけ下がろうとするのを何とか食い止めた。ここで退いてしまっては舌戦でも不利になるのは確実だから。だからここは踏ん張らないといけないのだと鈴音は自分に言い聞かせるのだった。
そんな鈴音に今まで以上に鋭い瞳を向けてきた玉虫。その顔も、その瞳も、いや玉虫全てが怨念で染まりきっているような、そんな雰囲気を出しており。玉虫が身体から出している紫色のオーラも一気に量を増して噴き出し始めた。どうやら玉虫を今まで以上に怒らせてしまったのは確実なようだ。
これで玉虫の心は乱れたろうが、ここまで怒らせると返って手が付けられないのではないのかと鈴音は攻めすぎた事を悔やんだ。だが今となってはもう遅い。玉虫は怨念を具現化したような姿で、怨念に満ちた声で鈴音に向かって返事を返してきた。
「ふっふっふっ、そうやえ、そのとおりやのう。せっかくの質問やからのう、ここは一つ詳しく話してやるとするかやえ」
「そ、それはどうも」
怨念に満ちた玉虫の雰囲気と声に鈴音はそれだけの言葉を返すのが精一杯だった。更に鈴音の本心を言えば、そんな事は聞きたくないよ~、うわ~ん、沙希~、どうしよう~。といった感じに玉虫に雰囲気に思いっきり押されていた。
けれども鈴音は何とかそれを表に出さずに平静を装う事には成功していた。それは鈴音が質問したとおりの事を鈴音は予想していたからだ。つまり玉虫は生贄にされただけで千年以上の恨みを積もらせていたわけではない。それ以上の理由があるからこそ玉虫はここまで派手な事をして村人を、いや、村を殺そうとしているのだ。
そう、玉虫は村人を殺そうとしているのではない、村を殺そうとしているのだ。この二つは似て非なるもの。前者は村人だけを殺せば良いだけだ。だが後者は村そのものを壊滅させないといけない。そう、二度と人が戻らないぐらいの事件を起こさないといけないのだ。
それに他にも理由がある。なにしろ玉虫が殺されたのは千年以上前の事だ。玉虫が当時の村人を恨んでいれば、今頃になってこんな大掛かりな事はしない。なにしろ千年も経てば村から出ていく者、入って来る者。どちらにしても千年前の血筋がそのまま残っている訳が無い。それなのに玉虫が復讐を開始した。そこには村人だけを殺しただけでは、物足りない何かの理由があるのだろうと鈴音は推測したのだ。
だがさっきまでは推測は推測でしかなかった。それが鈴音の質問に玉虫が答えてきたことで推測が確証へと変わってしまった。どうやら鈴音の推測どおりに玉虫の目的は村の壊滅、つまり村を殺す事にあるのだ。
それが分かっただけでも鈴音にとっては少しだけ有利なのだが、そんな少しの有利など今の怨念に満ちた玉虫を目にすると、手にしていた輝く宝石が石ころ同然に思えた。そんな玉虫を出来るだけしっかりと見据える鈴音。ここで玉虫に弱味を見せては後々不利になる事は確実だ。だからこそ、今は黙って玉虫が語り始めるのを待っているのだった。
そして玉虫が語り始めた。
「わらわは天涯孤独であった。両親は早くに死に、兄弟も居なかった。それに私を引き取るほど裕福な親戚も居なかったのでやのう。わらわは一人立ちすると、すぐに預けられていた家を出て一人で暮らし始めたのやえ。だからやのう、そんなわらわが天涯孤独から解放される時が大きく縮まったのは……そう、あの人がわらわの前に現れたのやえ」
「もしかして……恋人」
鈴音がそう言うと玉虫は少しだけ怨念を引っ込めると軽く笑った。どうやらそういう関係にあった事は間違いないようだ。そんな玉虫が昔を思い出すかのように語り始める。
「そう、その時はわらわも幸せだった。わらわにもそんな時があったものやえ。だが……天の配剤はわらわにそんな幸せすらも長い時間与えてくれなかった」
「切っ掛けは村を襲った飢饉?」
鈴音がそう質問すると玉虫は鈴音を見て、少しだけ驚いた顔をした後、少しだけ笑って再び語り始めた。
「なかなか勉強しているようやのう。そうやえ、村を襲った数年に渡る飢饉。それがわらわ達の運命を大きく変える事になったのや。わらわが生贄になった事はすでに知っておろう。主が知りたいのはわらわが生贄と決まってからの処遇やえ」
「処遇って……何があったの? 普通に殺されただけじゃないの?」
ふと玉虫の顔に悲しみを見た鈴音は連続で質問を投げ掛けた。どうやら怨念の根源はその処遇にもあるようだと、黙り込んだ玉虫を見て鈴音は理解した。
それからしばらくは沈黙が辺りを支配した。どうやら玉虫としても、その時の事を思い出すのには辛すぎるのだろう。それはそうだ、これだけの怨念を生み出す切っ掛けとなった出来事だ。辛いに決まっている。それは鈴音にも分っている、だからと言って鈴音は玉虫を哀れむ気にはなれなかった。
だから鈴音も玉虫が再び語りだすまで沈黙を守っていたのだろう。そしてそんな玉虫が怨念のオーラを噴出させながら再び語り始めた。
「普通に殺されただけなら、どれだけマシだったかやのう。だがやのう、ここの村人ども、しかも男どもはわらわが生贄と決まって監禁された事を良い事に毎晩毎晩わらわを犯し続けたのやえ。代わる代わる、わらわは男どもの玩具にされ続けた。そして……あの人も他の男と同じようにわらわを犯した」
「…………」
玉虫の話に鈴音は少しだけ同情を抱きそうになったが、それに気付いた鈴音は慌てて頭を振って自分の中から玉虫に対する同情を捨てた。確かに玉虫の話を聞いていれば、その出来事が本当であり、その出来事が有ったからこそ玉虫は今回の事件を起こしたのだろう。
そう、玉虫はただ殺されただけじゃない。その容姿が綺麗だったのが災いしたのか、監禁された事を良い事に玉虫は何人もの男に犯され続けた。そしてその中にかつて愛した人の姿を見つけたのだ。もう、そこには玉虫に対する愛情なんて物は無いだろう。もう、その人にとって玉虫は玩具でしかなかったのだから。
玉虫もそれが分かったからこそ、その人を始め村の男どもを恨んだ。そのうえ生贄とされて殺されたのだ。そんな心境では死んでも死にきれないだろう。そこまでは同じ女として鈴音にも良く分かった。
まあ、鈴音にはまだ愛した人なんていないけど、男に無理矢理犯される、というか鈴音の場合は犯されそうになっていただけに、それがどれだけの恐怖と恨みを生む物なのかが理解できたのだろう。だからこそ、鈴音は玉虫に尋ねるのだった。
「それじゃあ、私がここで助六に襲われている時に助けたのは……あなた?」
そんな鈴音の言葉を聞いて玉虫は大いに笑うのだった。
「助けた? それは違うやえ、あやつは機会があれば殺してやろうと思っておっただけやえ。なにしろ昔にわらわを犯した男どもと同じ目をしておったからやのう。だから殺してやったのやえ。痛快だったやのうっ! あの時は、あれほどの痛快は久しぶりやったのうっ! この身体を使ってあの男を殺した時ほど痛快な時は無かったやのうっ!」
そうか、やっぱりあの時、玉虫は水夏霞さんの身体を使って私に悟られないように助六を殺した。その後に現場から離れて玉虫が水夏霞さんから離れると助六を殺した記憶も一時的に封印された。そこに私の悲鳴を聞いて駆け付けたってことか。玉虫の言葉を聞いて、あの時の出来事を推理する鈴音。それと同時にとんでもない事を思い出してしまった。
確か……あの時って、私の上に乗っかってた助六の首だけを落としたんだよね。しかも私に悟られずに……どうやって? 一撃必殺で助六の首を落として、すぐに現場を離れる。いちいち御神刀を手に持っていては出来ない……あっ! そういえばさっき沙希もっ! やっと理解した鈴音。そうなると鈴音は攻め手を変えなければいけなくなってきた。
そう、助六の首を落としたのも、沙希を遠くから攻撃したのも……居合いである。居合いは正しく一撃必殺、しかも玉虫の怨念がどんなアレンジを仕掛けてくるか分かった物ではない。そうなると鈴音は玉虫に居合いを使わせない事が最優先になる。
なにしろ居合いは、その速さだけでなく、一撃必殺の威力持っているからには鈴音の腕で対抗出来るかは分かった物ではない。だから玉虫が居合いを使ってきたら間違いなく鈴音には打つ手が無いだろう。けれども鈴音も何も考えないで舌戦に持って行った訳ではない。玉虫に居合いを使わせないためにも、鈴音はあえて凄い行動に出るのだった。
「なるほどね~、でもお礼だけは言わせてもらうね~。だって、あなたが助六を殺してくれたおかげで私は助かったんだし、あっ、でも、あのまま私が犯されていれば、それを見ていたあなたはさぞかし怒った事でしょうね~。だって……助六はあなたを犯した男たちと同じなんだから。そんなのを放っておいたら、あなたはあなた自身を許せなかったでしょうね。だって、あの時に私を助けないって事は……あなたが犯され続けた日々を受け入れるのと同じなんだからねっ!」
そんな鈴音の言葉を聞いて玉虫の眉毛が少しだけ動くのだった。
「それはどういう意味やのう?」
「あの時、私を助けなければあなたは犯され続けた日々を受け入れた。つまり、そんな日々を楽しんでた。要するに娼婦と同じって事よね」
「それはわらわに対する愚弄かっ!」
玉虫から怨念のオーラと共に強風が巻き起こると鈴音は腕に顔を隠さないほど強い風が吹きつけてきた。そんな玉虫を見て鈴音は口元に笑みを浮かべるのだった。そう、この挑発は鈴音が意図的にやったものだ。
その理由として玉虫に居合いを使わせないというのがある。そもそも居合いというのは精神集中が必要であり、沙希の時にも時間を要したのは精神集中が必要な証拠でもあると鈴音は踏んでいたからだ。だからここまで興奮した玉虫は絶対に居合いを使う事が出来ないと、それだけでも玉虫との戦いを有利に進められると鈴音が考えての挑発だ。
それに鈴音はこの挑発に玉虫が乗るという絶対の自信があった。なにしろ玉虫の怨念である、その一部となっているのは、先程玉虫が語った男達に犯され続けたという事実だ。そんな日々は玉虫にとっては屈辱であり、恨みを積もらせるのに充分な出来事だったろう。なのに鈴音はそんな屈辱的な日々を玉虫は楽しんでいたと男達の行為を正当化してしまったのである。そんな言動を玉虫が許すはずも無かった。そのうえ娼婦呼ばわりである、そこまでやれば火に油どころか焚き火にダイナマイトである。大爆発する事は間違いないと踏んだからこそ鈴音はあえて、もの凄い挑発に出たのだ。
そんな鈴音の挑発が見事に功をそうしたのか、玉虫は先程まで以上に怨念に満ちた顔で鈴音を睨んでくる。そんな玉虫に鈴音はあえて口元に笑みを浮かべて見せた。そもそも鈴音の目的は玉虫を怒らせて、水夏霞を傷つけずに玉虫を撃退する事である。だから下手に水夏霞を攻撃する事は出来ない。だからこそ玉虫に一撃必殺の攻撃をする必要が有り、そのためには玉虫が我を忘れるぐらい怒ってもらわないと困るのだった。なにしろ鈴音は我を失った玉虫に勝機を見出したのだから。
そう、全ては鈴音の予想通り……のはずだった。だが一つだけ鈴音は誤算をしていた。それは玉虫の力がどこまで強大であるかである。鈴音はそこだけを見落としていたのだ。そして鈴音はそれを見落とし続けながらも、戦いを再開させる。
「さて、私からの挑戦状は終わったよ~。それじゃあ~……そろそろさっきの続きをしようか」
鈴音は再び霊刀を構えるといつでも水夏霞が動いて来ても対応できる姿勢を示した。けれども肝心の水夏霞は動こうとはしない。それどころか水夏霞の後ろに居る玉虫さえも動こうとはしなかった。そんな玉虫に鈴音は思わず首を傾げる。どうやら玉虫が微かに聞こえる声で鈴音に向かって何かを言っているようだ。
「……もう……い……す、もう……ろす。わら……侮辱……呼ばわり、許せる……無い」
ブツブツと呟く玉虫に鈴音は脅威を感じながらも次の行動を考える。うわ~、どうやら完全に怒ちゃったみたい。まあ~、そうさせたのは私なんだけど~。う~ん、どうしようかな~、このまま斬りかかるのも不気味だし、もう少しで大爆発しそうだし、もうちょっとだけ見守ろうかな~。そんな結論に達した鈴音はいつでも水夏霞が動き出しても対応出来るように体を少し揺らし始める。少しでも身体を動かしていれば、いつ水夏霞が動いても対応できるという訳だ。そして後は玉虫が大爆発して、怒りに任せて攻撃してくれば鈴音の作戦が成功する。そう考えたからこそ、鈴音は玉虫を挑発したのだから。
そして玉虫が大爆発する瞬間がとうとうやってきた。突如として玉虫の口が止まると、鋭い瞳を鈴音に向けて、髪の毛が総毛立つ程の強風を発生させながら玉虫が叫ぶ。
「もう遊びは終わりやっ! 主はここで死ぬが良いっ!」
来たっ! 玉虫を見て、そう感じる鈴音。これで玉虫は完全に怒って、鈴音の作戦が上手く行くだろう。だが玉虫の力は鈴音の予想よりもはるかに上を行っており、鈴音には考えも付かない事をやってくるのだった。
「さあ、死ぬやえっ!」
玉虫がそう叫ぶなり鈴音は殺気を感じる。だが玉虫はおろか水夏霞すらも動く気配を見せなかった。そんな時、突如として鈴音は頭上に気配を感じる。しかもかなりの殺気を含んだ気配だ。鈴音は思わず上を見ると、そこには鈴音に向かって落下してくる御神刀があるのだった。
どうやら玉虫は本気で怒ったからこそ、鈴音を本気で殺そうとあえて水夏霞を使わずに自分の力を使ってきたようだ。そんな思い掛けない事態に鈴音の瞳には落ちてくる御神刀が写っているのだった。
さあ、本気で怒り出した玉虫。そしてわざわざ玉虫を怒らせたおバカ、げふっ、げふっ、いやいや、鈴音。どうやら鈴音には何かしらの策略があるみたいですけど、あそこまで怒らせる結果になるとは鈴音自身も思ってなかったみたいですね~。
そんな訳でその三では、いよいよ鈴音の策略が炸裂して……いや、する……いやいや、する……のかな? まあ、何にしても二人のバトルは次で終わりを迎えます。
いや~、なんか断罪らしい部分がこの第四章ではあまり無いから、おじちゃん少し心配になっちゃったよ。……誰だっ!!! おじちゃんという言葉に凄く納得した奴っ!!! 前に出て来いっ!!! 一発ずつ強烈なデコピンで私の中指を痛めてやるっ!!! ……って、それじゃあ私が痛いだけじゃんっ!!! ……はい、ワケの分からない妄言はここいら辺で終わりにしておきましょうか。
それにしても……苦労したっ!!! いやね、強大な力を持つ玉虫と鈴音をどうやって戦わせようかで凄く苦労したっ!!! まあ、結果的にこんな風になりましたけどね。ってっ! まだ二人の戦いは終わってないやんっ!!!
……さてさて、そろそろ戯言に飽きてきたので、そろそろ締めますね。
ではでは、ここまで読んでくださりありがとうございました。そしてこれからもよろしくお願いします。更に評価感想もお待ちしております。
以上、あ~、もう少し小説を書く時間を作らないと、というか書かないとだな~とか訳の分からない事を思っている葵夢幻でした。