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009 アイドル×魔王軍

世界中で愛されるアイドル、天星かなえ。ステージの上では輝き、スクリーン越しにファンを魅了し、心の中では普通の女の子としての日常を夢見る彼女。

ある日、ワールドツアーの合間に訪れた小さな町で、一軒の猫カフェに足を踏み入れたところ、予想もしない異変が起こる。空が急変し、魔王軍が突如として現れるのだ。彼女の心に浮かぶのは、かつて共に戦った仲間――そして、彼女の新たな決意が芽生える瞬間。

挿絵(By みてみん)


世界的なアイドル、天星かなえは、ワールドツアーの合間にふと立ち寄った小さな町で、少しの間だけでも息抜きしようと、猫カフェ『ニャンと心地よい時間』に足を運んだ。異世界での冒険を終えてから忙しい日々が続いていた彼女は、少しだけでもリラックスできる時間を求めていた。


店内に入ると、ふわっとした猫の毛の香りと、木の温もりが広がっていた。窓から差し込む柔らかな光が、まるで異世界から来たかのような静かな空気を作り出している。猫たちは自由に歩き回り、かなえはそのおだやかな光景に自然と笑みがこぼれた。


「ふう、なんだか落ち着くなぁ。」


かなえは、猫たちをでながら心からリラックスした気分を味わっていた。


しかし、ふと気がつくと、レイナの姿はどこにもなかった。以前、魔王軍を共に倒した勇者パーティーの仲間であり、友人でもあるレイナ。彼女がこの町で猫カフェを開いたと聞いて、かなえは久しぶりに会えることを楽しみにしていたのだが…。


「レイナ、今日はお休みですか?」


カウンターのスタッフに尋ねると、スタッフは少し驚いた様子で答える。


「レイナさん、最近はあまりお見かけしていないですね。少し忙しいみたいですけど、今日はどこかに出かけているようですよ。」

「忙しい…?」


かなえは不安げにまゆをひそめた。レイナがあまりここに来ていないというのは、何かが起こっている証拠しょうこのような気がしてならない。


店内を見渡し、穏やかな中世風の内装に包まれて、かなえは思わず心を落ち着けようとした。木のぬくもりと猫たちの気ままな姿に、ほんのひとときの安らぎを感じていたが、その静けさが不意に破られる。


突然とつぜん、外の空が急に暗くなり、冷たい風が店内に吹き込んできた。何か不穏な気配を感じたかなえは、すぐに立ち上がって店の扉に向かって歩き出した。


「何だか、変だな…」


扉を開けた瞬間、目の前に広がった景色に息をんだ。空一面が暗雲に覆われ、その雲の中から、無数の黒い影が現れ始めた。それらの影はどんどん形を成し、巨大な魔王軍の魔物たちが空をくしていった。その数は、まさに圧倒的。10万を超える魔物たちが、まるで天空から降り立つように降臨こうりんしていた。


「これは…魔王軍!?なんで、ここに…?」


かなえは目を見開き、言葉を失った。目の前の異常な光景を信じられない気持ちがあったが、それを超えて、冷静に状況を判断する必要があった。


周囲を見渡し、町の人々があわてて避難ひなんを始める中、かなえの心は急速に冷静さを取り戻していった。異世界と人間界をつなぐゲートが開かれ、魔王軍がこの世界に現れたのだと理解した。しかし、どうして今、また?


「レイナ…!」


かなえは思わず、彼女の名前をつぶやいた。レイナが不在なのは、この魔王軍の出現と関係があるのだろうか?それとも、何か大きな力が動き出したのだろうか?


一瞬、冷静さを失いそうになったが、すぐに気をめた。レイナがいない今、守らなければならないのは、自分の力でこの世界を守ることだ。


「魔王軍が現れたということは、戦わなきゃいけない…!」


かなえは決意を胸に踏み出した。どんなに強大な敵が来ようとも、この世界を守るために戦う覚悟はできている。


「レイナがいなくても、私が守らなきゃ!」


かなえは深く息を吸い込み、空を見上げた。目の前に広がる魔王軍の巨大な影に対し、恐れずに立ち向かう覚悟かくごを決めて。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

かなえの前に立ちはだかるのは、魔王軍という脅威だけではありません。彼女自身が抱える心の葛藤や、大切な仲間たちとの絆もまた、物語の中で大きなテーマとなっています。

次回も、かなえと共に冒険が繰り広げられることを楽しみにしています。どうぞお付き合いください。

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