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007 カオス・キャット・チャーム
戦場に暗雲が立ちこめた。
ルセナの背後に現れた闇が深く渦巻き、黒い羽がひらりと舞い上がる。
『ディメンション・ブレイク』
その呪文とともに、ルセナの周囲に暗黒のエネルギーが集まり、強烈な波動が広がった。サラとレイナも、その威圧感に押しつぶされそうになる。
「……逃げられないわよ」
その瞬間、サラは何も考えずに叫んだ。
「にゃんにゃんにゃ〜ん、カオス・キャット・チャーム!」
足元から魔法陣が現れ、猫の影が浮かび上がる。次々に現れる猫の幻影が、無秩序に跳ね回りながら、ルセナの攻撃をすり抜けていく。
「“本能”で避けられるみたいニャ!」
ルセナの攻撃は一瞬ですれ違い、力を失って消え去った。まるで何もなかったかのような感覚が広がる。
その光景を目撃したレイナは、呆れた表情を浮かべた。
「またこのパターンですか……」
サラはにっこりと笑った。
「うまくいくニャ!」
レイナは思わず手で額を押さえた。
ルセナは微笑みを浮かべ、わずかに口角を上げた。
「でも、私はまだ本気を出していないわよ?」
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