006 黒竜の咆哮、聖剣の閃光
アリスティアは静かにその場に立ち、ダリウスとヴァルガスの激闘を見守っていた。彼女の心には、戦いの行方に対する恐れと、これからの世界の変化に対する重圧が同時に押し寄せてきた。
――どちらかが命を落とすことになるだろう。
ダリウスの目は非情そのもので、ヴァルガスを見据えた。彼の体からはすでに聖なる力がほとばしり、その剣の先端に集約されていく。
ヴァルガスもまた、巨大な黒竜の力を完全に解放し、空間を歪ませていた。その姿はまさに、伝説の黒竜将軍そのものだ。
そして、ついにその瞬間が訪れる。
ダリウスは、力強く言い放った。
「アリスティア、ここから先は俺の役目だ。君は安全な場所に行け!」
彼女の心には、何かが破裂しそうな感情が渦巻いていた。
ヴァルガスは目を鋭く細め、ダリウスに向けて両手を大きく広げる。
「黒竜の終焉――!」
まるで世界が崩れゆくような音を立てて、巨大な黒竜が姿を現した。その目が赤く光り、咆哮を上げる。黒いエネルギーがヴァルガスの手から放たれ、ダリウス目掛けて疾風の如く進む。闇と恐怖、絶望が込められた破壊的な力だ。
「聖剣・天翔烈斬――!」
ダリウスは力強く剣を振り下ろす。光の刃が竜巻を直線的に突き抜け、目の前の黒竜を貫いた。天からの一撃が、ヴァルガスの暗黒の力を押し返し、空間を浄化しながら広がっていく。
ヴァルガスは、目の前の光景を信じられなかった。不敵に笑い、再び力を集める。
「フフ……ふふっ、やはり面白い。だが、これで終わりではない」
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。




