051 勇者様、モフモフの時間です! 〜猫カフェの常連客は、ゆうたろうを指名する〜
異世界ラグナヴィア。
神の勇者サラは魔王を打ち倒し、魔法の猫カフェ「ニャルナ・カフェ」をオープンさせた。
ベンガル猫のゆうたろうが、ちょっとだけ不満そうにぼやく。
「俺が人間だったら、魔王なんてワンパンだぜ?」
サラは笑顔を浮かべ、肩を軽くすくめた。
「ま、魔王でも猫耳の力にはかなわないニャ!」
その時、カフェのドアが開き、ベルが鳴る。
「Rさん、いらっしゃいニャ~」
「ゆうたろうを指名だ。にゃんがつおを十本頼む。そして、モフモフをすぐに行う。これは神聖な儀式だ」
ニャン娘スタッフのミュウが尻尾を振りながら、優雅に奥の個室へ案内する。
「Rさん、猫語まで覚えちゃったんですね! 本当にスゴイです」
「ゆうたろうを勇者にする。それはもう絶対にだ」
Rは真剣な表情で言うと、ゆうたろうの顔に鼻を近づけ、にやりと笑って言葉を続けた。
「ほら、やっぱりいい匂いだな。この高貴な香りは、勇者になる猫の証だ!」
「俺が旅に出て魔王を倒すときは、お前を一番の家来にしてやるからな!」
ゆうたろうは少し上から目線で言ったが、Rはまったく気にせず、首筋に軽くモフモフを始めた。
「あっ……」
ゆうたろうが切ない吐息を漏らすと、Rが満足げにニヤリ。
「ここをこうして欲しいんだろ? 勇者様」
ゆうたろうは恥ずかしそうに顔を赤らめ、内心では嬉しさがこみ上げていた。
「もう、仕方ないニャ~。これも神聖な儀式ってことで!」
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