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039 オーバーライド

 人間界と異世界ラグナヴィアをつなぐ巨大ゲート。


 「世界統一国家ノヴァ・ユニオン」のノヴァ・レギオン大艦隊は、次元の境界を越え、新たな世界へと足を踏み入れた。


 ラグナヴィアの空は広大で美しい。

 だが、感傷に浸る暇はなかった。


 ブリッジに立つ司令官ハルカ・イシカワは、その異世界を一瞥いちべつし、即座に指示を出した。


「全艦隊、前進! 警戒を怠るな!」


「ラグナヴィアの環境、問題なし!」


 クルーの報告を受け、ハルカは進行を維持させる。



 巨大なジャングルの中を進んでいた。

 周囲が緑の海と化した、まさにその時、レーダーがけたたましく異常を告げる。


「前方に反応! 多数、高速で接近中!」


 ジャングルから現れたのは、異界の強襲者たち。

 先陣を切るのは、金属質のうろこを持つサイバードラゴン族。

 その背後には、不気味な光を放つ機械生命体メカニウスの群れが控える。


「まさか、この数……!」


 クルーたちが戦慄せんりつする中、敵は艦隊を完全に包囲。

 サイバードラゴン族が発した文字情報がモニターに表示される。


「『カイセキカイシ……』と出ています! 敵は我々の情報を読み取ろうとしている!」


 ハルカは即座に決断した。


「全砲門、開け! 総攻撃開始!」


 だが、敵の迎撃は常識を超えていた。


『パーティースキル、アストラルシールド!』


 サイバードラゴン族の一斉いっせい咆哮ほうこうと共に、巨大な光のバリアが展開。

 艦隊の集中砲火は、バリアに受け止められた途端、光の粒子となって霧散した。


「全砲門、再調整! エネルギー収束、一点突破を狙え!」


 絶望的な事実が追い打ちをかける。


「司令! 通信系統にアクセスされました! 全艦の制御が奪われます!」


 艦内の操作パネルが赤く点滅し、システムが制御不能に陥る。

 画面に浮かんだのはメカニウスのスキル名を示すメッセージ。


『システムロックオン、オーバーライド』


 ナノマシンによる侵入。

 制御システムは完全に掌握しょうあくされたのだ。


「艦を動かせません!」

「くそっ!」


 ハルカは歯を食いしばり、指示を叫ぶ。


「何としても制御を取り戻せ!」


 しかし、時すでに遅し。

 モニターに新たな異常が映し出された直後、艦隊全体が次元の渦に吸い込まれた。

 手動操作も虚しく、パネルは無反応のまま。


 あっという間に別空間へと転移する。


「まさか……」


 目の前に広がったのは、都市の灯り――人間界、だった。


「どうして……」


 問いかける声は、誰もいないブリッジにむなしく響いた。


 絶望の侵攻戦が、今、幕を開ける。

 最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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