表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/69

002 破滅の前兆

挿絵(By みてみん)

<レイナ>



 レイナが冷蔵庫の扉を開くと、目の前に異世界へのゲートが広がっていた。

 時間と空間がねじれる感覚に包まれ、異次元の空間へと引き込まれていく。


 やがて現れたのは、異世界の壮麗そうれいな景色。碧空へきくうが広がり、遠くには雪をかぶった高峰こうほうの山々がそびえている。


「いつもより、ずっと冷たい気がするニャ」


 サラがつぶやくと、レイナも何かを感じ取ったのか、無言でうなずいた。

 その時、遠くから足音が響いた。ひとりの人物がゆっくりと近づいてくる。サラとレイナにとって、見慣れた顔だった。


「ダリウス!」


 サラの顔に自然と笑みが広がった。


 彼は元魔王軍直属近衛騎士。

 鋭い眼差しからは感情が読み取れない。


「久しぶりだな」


 淡々とした口調に、サラとレイナは思わず背筋を伸ばした。


「状況はどうニャン?」


 サラが尋ねると、ダリウスは言葉を慎重に選びながら答えた。


「魔王軍の残党が、ゲートを使って人間界に攻め込もうとしている」


 サラとレイナは驚きを隠せなかった。魔王軍が再び動き出すなど、想像もしていなかったのだ。だが、ダリウスの険しい表情が、事態の深刻さを物語っていた。


 レイナが口を開いた。


「このまま放っておけませんわ」


 ダリウスは息をつき、再び語り始めた。


「古代竜が、この問題を解決するために必要な力を持っている」


 異世界で伝説とされる存在で、計り知れない力を持つ竜のことだ。


「どこにいるのですか?」


 レイナが尋ねる。


 ダリウスは瞳を閉じ、一瞬の沈黙を置く。


「場所は分かっている。ただ、簡単には会えない相手だ」


 サラは何か気になる様子だった。


「でも、どうしてそこまで古代竜に頼るニャン? 私たちだけでも残党と戦う方法があるニャ?」


 問いかけに、ダリウスは視線をらす。


「竜は……知り合いだ」


 その表情に、昔の思い出がにじむ。


「だが、長い間、会っていない」


 ダリウスは胸の動揺を抑え、冷静に言葉を紡ぐ。


「過去はさておき、今は協力が必要だ。すぐに出発する」


「私たちも行くニャ」


 ダリウスは何も返さず、ゆっくりと歩き出す。サラとレイナも後に続き、異世界の奥深くへと足を進める。


 その先に待つのは、ただの強大な竜ではない。

 想像を超える試練が、彼らを待ち受けている――。

 最後までお読みいただき、ありがとうございました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ