010 星空の守護者
目の前に広がる異形の群れに、かなえの心はぐらついた。だが、胸に宿る使命を思い出し、深く息を吸い込む。冷たい風が吹き抜ける中、彼女は決して後ずさらない。ファンや、遠い場所にいる仲間たちを守るために、ここで立ち向かわなければならない。
そのとき、ポケットのスマートフォンが震えた。画面いっぱいに、十億人のフォロワーからの応援メッセージがあふれ出す。
「私たちも一緒にいるよ!」
「かなえちゃんなら、できる!」
「あなたの勇気を、信じてる!」
かなえは、胸の奥から熱い力がこみ上げてくるのを感じた。それは、数えきれないほどの想いと絆だ。彼女は、その力すべてを込めるようにスマートフォンを握りしめた。
「みんなの力を集めて、私が、戦う!」
その声に呼応するように、周囲の空気が激しく振動し、彼女を包むオーラが星々のように輝きを増していく。SNSに集まった無数の応援が、彼女の身体を駆け巡り、ソーシャル・インフルエンスが発動した。
「星の導きよ、我が力となれ!」
ふわりと現れたポムポムが、空中でくるくると舞いながら、可愛らしい声を響かせた。
「スターゲートを開くポム〜!」
巨大な星のゲートが、空にゆっくりと開かれていく。
「星の子たちよ、呼びかけに応えて、どうか力を貸して!」
ゲートから、星の輝きが奔流となって溢れ出し、無数の光が集束していく。その光は一本の巨大な光線となり、魔物たちに向けて放たれた。
「コズミック・カノン!」
まばゆい光が世界を包み込み、耳をつんざくような爆発音が響き渡る。光が晴れると、そこには魔物たちの姿は、もうどこにもなかった。
かなえは胸を張り、安堵の微笑みを浮かべる。
「みんな、ありがとう。おかげで、世界を守ることができたよ」
ポムポムは楽しそうに、空中でくるくると回った。
そして、かなえは遠い空を見つめ、静かに呟いた。
「レイナ、無事でいて……」
守るべきものが、まだ彼女にはある。星が輝く夜空の下、かなえは再び、戦い続ける覚悟を決めて歩みを進めるのだった。
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