001 ニャン娘の猫カフェ日和
初めまして、ちいもふと申します。
ご訪問をして下さり、ありがとうございます。
<サラ>
サラ=ルピスが人間界に足を踏み入れて数日が経った。最初は新鮮で楽しいことばかりだったが、やはり異世界とは違い、人間界には「猫」の文化が存在しないことが、彼女にはどうにも寂しかった。
そんなある日、サラは人間界の片隅にひっそりと佇む「隠れ家」的なカフェを見つけた。入り口の小さな木製看板には、金色で『ニャンと心地よい時間』と書かれている。まるで王宮の一角に隠された秘密の場所のように、そこにはどこか神秘的な雰囲気が漂っていた。
彼女の猫耳がぴくりと反応する。
「ニャンと心地よい時間……? なんだか面白そうニャ」
扉を開けると、店内には暖かな光が差し込み、異国に迷い込んだかのような心地よい空気が広がる。大きな暖炉には穏やかな炎が揺れ、木製の梁が天井を支える空間は、まるで中世ヨーロッパの片田舎にある小さな館のようだった。心地よい香りに包まれ、彼女はしばし目を閉じた。
そして、目の前に現れたのは、なんとあのレイナ=フィルドバッハだった。
「お帰りなさいませ、ご主人様」
レイナは、まるで王族を出迎えるような優雅さで、サラを迎え入れた。その姿はメイド服に包まれ、まるで宮廷の女官のような気品に満ちている。
「え、レイナ…!? こんなところで何してるニャ!!?」
数々の冒険をしてきたが、まさか彼女がこんな場所でお茶を出しているとは夢にも思わなかった。
レイナは柔らかな声で、静かに言葉を紡いだ。
「ええ、今は私がこの店のオーナーです。ここでは、訪れる人々に心安らぐ時間を提供しているんです」
「えーっ!レイナが猫カフェのオーナーだなんて、まさかすぎるニャ!」
驚きのあまり、サラはしっぽを大きく膨らませた。
「でも、確かに似合っているニャン」
「まぁ、嬉しいお言葉ですこと」
レイナは背筋を伸ばし、サラを店内へ招き入れた。
「ところで、何か面白いこと教えてほしいニャ〜」
すると、レイナは微笑みを浮かべ、ゆっくりと口を開いた。
「実は……この店には、少々奇妙な秘密が隠されているのです」
「ニャにそれ?」
サラは興味津々で身を乗り出した。レイナは冷蔵庫に向かい、扉を開けた。
「実はここに、異世界ラグナヴィアへの扉が隠されているのです」
サラは目を丸くして黙り込み、それから顔を輝かせた。
「故郷に戻れるのかニャ?」
レイナは言葉なく頷いた。
しばらく考え込んだ後、サラはにっこりと笑った。
「またラグナヴィアに戻れるのかと思うと、ちょっとドキドキするニャ〜」
彼女は冷蔵庫の前に立つと、しっぽをわさわさと振り始めた。
「次はどうすればいいニャ?」
レイナは少し黙った後、言葉を選んで言った。
「まずは、美味しいお茶をどうぞ。全てはそれからですよ」
カフェでのひとときを楽しみながら、二人は異世界のゲートについての謎を少しずつ解き明かしていく。温かな灯火が二人を包みこみ、サラは心の中で新たな冒険に思いを馳せるのだった。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。