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第12話 jigsaw

『ジグソーパズルがピタリとはまる

 何も言うことは無い

 

 悪夢を振り払え』






 「なんかお前、変わったな。」


  隣席の林登が言ってきた。


 「変わった?どこが?」


 「なんか目つきが鋭いというかなんというか。」


 「そうかなあ。」


 まあ、革命起きてるからな。とは、言わないが、変わったと言われるととても嬉しい。


 今日は、二月十七日。革命十七日目である。はっきり言って、革命は順調である。少年は、自分自身がこれまでと別人になったという強い自覚がある。自分の中に芯があり、ちょっとしたことでは揺らがない。


 「なあ。土曜日遊びに行こうぜ。」


 登は珍しく遊びに誘ってくれた。


 「いや、いいかな。」


 なんだって、少年には大事な予定がある。決まってはいないが、おそらく朋美ちゃんとのデートになるはずだ。プランもしっかり考えている。


 「えー。一緒に映画いこうぜ。」


 「なんか今、面白いのやっているか?」


 「アメコミのやつ、やっているじゃん。」


 「あー。あれね。」


 たわいない会話が交わされる。



 突然、クラスメイトの一人が叫んだ。


 「おい。第一高校で飛び降り自殺した奴がいるらしい。」


 「まじ?」


 「まじらしい。女の子だって。」


 クラス中がその生徒中心に騒ぎ始める。皆が驚いた表情をしている。


 「警察がめっちゃ来ているらしい。」


 「まじか。やばくね。」


  ざわめきが大きくなる。何か嫌な予感がする。少年もソワソワし始めた。


 「勉。第一高校に知り合いいんのか?」


 「ああ。いる。最近仲良くなった人がいる。」


 授業開始のベルが鳴る。先生が教室に入ってからも、騒ぎが収まることがない。「静かにしろ」と先生が叫ぶが、うるさいままである。少年は、隙を見て朋美ちゃんにLINEをした。


 「なんか。騒ぎあったの?第一で」


 しばらくたっても、LINEの通知は来ない。まさか、そんなわけはない。


 段々と、教室は静まった。授業中、少年は、彼女のことばかり考えていた。早く帰りたかった。


 下校の時間になっても、LINEの返事はなかった。少年はいてもたってもいられず、学校を出るとすぐに電話をかけた。1コール、2コール、3コール…。朋美ちゃんは電話にはでなかった。家まで帰る時間があまりにも長く感じた。飛び降りたのはまさか朋美ちゃんではないのだろうか。そんなはずはない、彼女はいつも元気で笑顔が明るい少女だ。きっと体調を崩しているから、連絡できないだけだ。そうに違いない。


 バスを降りて、家へと変えるスピードはどんどん速くなる。気づいたら、全速力で走っていた。家に着くと、母がリビングでだらしなく横になっていた。


 「勉。郵便来てるよ。

  もしかして、女の子からの手紙~?」


 そういって、少年は封筒を受け取った。「配達指定日4/17」のラベルがついている。差出人は「三浦朋美」だった。封筒を持った手は震えていた。少年は、自室へと歩きながら、全てを悟った。震える手ではさみを操り、丁寧に封筒の端を切る。中には、手紙が入っていた。


 少年は、その手紙を読んだ。体の底から大きく揺れるように心臓が鼓動していた。目には、涙を浮かべ、口は半開きであった。


―公園に行け。ツトム。


 少年は、身体を左右に揺らしながら、玄関へと向かった。なんとか靴を履き。公園への最短経路を歩いた。途中の松の木は邪魔でうっとうしかった。そして、公園について、丘を登った。少年は、海を見つめていた。


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