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私を愛して【R12(刷り込み)/告白/片想い/年の差】

少女は、自分の母親に想いを寄せる男に、恋心を抱いていた。



初出【2023年12月10日】

「…私じゃ、ダメですか? 」



 少女に耳元でたずねられ、男は驚いた様に肩をビクッと跳ねさせる。



「………えーっと……なにかの演劇かい? 」



 少女は演劇部に所属していた為、その練習だろうと結論づけてそう問い返す男に、彼女は「違うっ!!! 」と怒鳴った。



「本当はわかってるんでしょ?! だったら…だったーー」

「それ以上はダメだ」



 少女の発言は、男が言葉をかぶせてきた為にさえぎられた。


 ーーお母さんの代わりにもなれないの?


 男は、少女の母親に恋心を抱いていた。だが、彼女は別の男と恋に落ち、結婚する。二人の間に生まれたのが少女で、いまだに母親が忘れられない男は、愛する女の娘の面倒をみる事で、彼女の気を引こうとした。ーーそれが、長い年月を掛けて、少女の心を奪い、現在にいたる。



「私の面倒をみたって、ママから男として愛される事はないわっ!! 」


「ッッ!? 違っ…! ………君の、ははお、やは、関係…な、い…っ」


「………」



 おのれが告白紛いな事をした時よりも動揺を隠し切れない男に、少女は泣きたくなった。と同時に、此処まで男に愛される母親の事が幸せ者だと憎く、羨ましかった。



「………私……大人になったら、ママみたいになると思うわ? 」


「っ……君は、君だ」


「じゃあ……“貴方が好きな女性の娘”としてではなく、私の等身大を見て…愛してよっ!!! 」


「…………………ッ」



 顔をうつむかせ、男はなにも答えない。それに、少女はとうとう泣き出した。



「ずきぃ"…わだしを"見でよぉ…っ」


「っ……」



 男は少女をなだめようと、彼女の背に片腕を回して、いたもう片方の手で頭をでようとしたが、その動きを止める。



「……はあぁ………めんどくせぇなァ…」

「!?」



 驚いた様に目を見開き、ジッと此方こちらを見つめる少女に目を合わせ、めんどくさい、と念を押す様に言う。



「なっ……なんっ…」


「…あのなァ。お前は、あの人の心を手に入れる為のコマに過ぎないんだよ。勝手に惚れて、告白してきて、返事を返さなかったら泣き出す様な奴、誰が好きになるってんだよ? 」



 最低な事を言ってるのはひゃく承知しょうちだ。でも、それしか方法が思い付かなかった。

 いつかは、こうやって告白してくるかもしれないと思ってはいたが、この微温湯ぬるまゆの様な関係性を壊したくなくて、気付かないフリをしてやり過ごしていた。そうすれば、その内に別の男が気になり、此方は“子供の頃から面倒をみてくれていたお兄さん”というていとどまる事が出来たからだ。



「ママみたいになるだ? 馬鹿言え。父親に似て、ブスじゃねぇか」

「!? ッ……ぱっ…パパの悪口を言うなッ!!! 」



 キッと此方を睨み付ける少女に、胸がギュウウゥッと締め付けられる様な感覚に襲われた男は、長年想い続ける女を奪った奴を、己に告白したクセに擁護ようごする彼女が気に食わないからだと結論付けた。

 男は、ハッ! と馬鹿にした様に鼻で笑い、少女を冷めた目で見下ろす。



「…本当の事だろ? 」


「さっ……最っっ低…。……嫌い…大っ嫌い!!! 」


「ッッ……嫌いで結構、コケコッコー」


「っ……今迄いままで、お世話をしていただき、有難う御座いましたッ!!!! 」



 くっ付いてた二つの体は離れ、少女は男に背を向けたと同時に、何処かへと向かって駆け出した。少女の姿が視界から見えなくなるのと同時に、男はその場にしゃがみ込む。


 ーー……“大っ嫌い”…か


 恋愛感情では無かったが、少女の事は好きだった。

 だからだろうか?

 先程まで自分に抱きついていた温もりがくなった事への、寂しい様な悲しい様な、胸にポッカリと穴が空いた様な感覚におちいってしまうのは…。







 “…あのなァ。お前は、あの人の心を手に入れる為の駒に過ぎないんだよ。勝手に惚れて、告白してきて、返事を返さなかったら泣き出す様な奴、誰が好きになるってんだよ? ”



 そう言った彼は、自分で口にしてるクセに、今にも泣き出しそうな雰囲気があった。多分アレは本心では無い。そう思うのは、ーー今でも男が好きだからなのかもしれないが…。



「ずえぇーーっったい…振り向かせてやるんだからああぁっ!!! 」











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