アナタは、大好きな人と大親友、どちらを選びますか?【予知夢/片想い/死ネタ】
ちょっと狡い、究極の選択の質問です!
多分ほとんどの人が、此方を選ぶ様に誘導してるという……はい(`・ω・´)
初出【2022年9月13日】
アナタにはめちゃくちゃ大好きな人がいて、でもその人は自分の事を全く相手にしてくれませんでした。しかし、ある日突然大好きな人から、一日一緒に居たいと言われ、アナタは口説き落とせる絶好のチャンスに胸を躍らせていると、一本の電話が。
いつも自分の事を気に掛けてくれる大親友が危篤状態で、今夜が山だと告げられました。
其処でアナタに質問です。今夜逃すと、二度と大好きな人と一緒にいられなくなるのと、今夜会わないと、二度と大親友の生きてる姿が見られなくなるのと、どちらの時間を優先しますか?
「………えーっと…心理テスト?? 」
そう尋ねるショウタ君に、私はなんって返せばイイのか分からなくて、まっ…まあ…と変な返しをしてしまう。それに、ショウタ君は訝しげに私を見た。
--言えるわけない。これから、起きる事なんて…
私には、昔っから予知夢をみる能力があって、見た夢は100%の確率で同じ出来事が起こる。
大親友……本当は、そんな関係性に納得出来てないけど、それは私の事だ。私は、数日以内にこの世から居なくなる。
ショウタ君には大好きなコが居て、ずっとアタックを仕掛けるも玉砕続き。もう諦めなきゃなぁ…って私に恋愛相談をしては、またアタックの繰り返し。
「ユメコは? 」
「………えっ…? 」
「ユメコだったら、どっちを選ぶの? 」
まさかの質問に私は頭の中がパニックに陥った。確かに考えてみれば、回答に困る内容な気がする。
大親友……はショウタ君だし、大好きな人……もショウタ君だから、答えは一択なんだけど…それを言うと、今迄隠してきた想いをショウタ君に告げなきゃならないわけで…。
「っ……」
「……ユメコ…お前……好きな奴でもいんの? 」
「!? いっ…いたら悪い?! 」
反射的に喧嘩腰で返すと、ショウタ君は一瞬驚いた様子を見せるも、直ぐに目をキラキラとさせて、えっ? 誰? 俺の知ってる奴!? と訊いてきた。それに、こんなデリカシーのない反応だから脈なしだなぁ…と確信し、泣きそうになる。
「わっ…私の事はイイでしょ!? そっ…それより、私の質問に--」
「いやいや! 普段から俺の恋愛相談にのってくれるユメコ様に、漸く恩返しが出来るんですよ? なら、俺の出来る範囲で恩返しさせてくださいよ!ユメコ様ぁ!! 」
「ユメコ様って……っ」
--出来る範囲の恩返し、ねぇ…
夢の中のショウタ君は、私より大好きな彼女との時間を選んだ。それで私は、最期にショウタ君と逢えなくて寂しくて、悲しくて息を引き取る--ところで、目が覚める。
だから、ショウタ君が出来る範囲での恩返しは……彼女よりも、死に際の私に会ってくれる事なのだが、見た夢は必ず現実で起こるという不思議な能力を信じてもらえるか分からない処か、下手すると気持ち悪がられる話をした上で、だから彼女より私を見取りに来い! なんて言える筈がない。
「じゃ…じゃあさ……私の事…女の子として、意識してくれる? 」
「? …えっ? 意識してるから、恋愛相談する時、いつも何処かの店でしてるじゃん。ほらっ! 嫁入り前のお嬢さんが、ダチとはいえ、一人暮らしの男の自宅に--」
「そうじゃなくてっ!!! 」
思わず声を上げた為、店内に居た店員さんやお客さんが一斉に私を見る。…というか睨まれた。当たり前だ。例の感染病で騒がれる前も、こんな風に突然声を上げられたら、周りに迷惑なのに、現在は感染対策に適した言動を取らなくてはならない。
私は御免なさい…と謝って、俯向くと、視線が外れていくのを待った。
……どれぐらいの時間が経ったのだろう? 時間にして、多分数分だと思うが、30分ぐらいの時間に感じた。
「あのさ、」
「!」
言いにくそうに口火を切ったショウタ君に、私は重い頭を上げて彼を見ると、目が合った。ショウタ君は真っ直ぐに私を見ていて、--何処か、苦しそうな表情だ。
「それって…俺の勘違いじゃないなら……」
「うん…。好きなの」
もう、いいやと思った。近い間に死ぬと解ってるから、もしショウタ君にフラれたとしても、想いを告げなかった後悔に比べたら、ずっとマシだと思ったから。
「……いつから…いや、違うな。……ゴメン」
「っ……それは……なにに対する謝罪? 」
「! っっ………気付いてあげられなかった事と--」
「答えてくれて有難う」
続きは聞かなくても分かる。だから言葉を遮って、あと友達関係を壊す様なコト言ってゴメンね、と心の中で謝りながら、私はテーブルに自分の食べた分の代金を置き、じゃあ! と店を後にした。
--心残りは…沢山あるけど、でも一番の心残りだった事をやったんだから……もう、大丈夫!
その日以降、ショウタ君と気まずくなり、会わなくなってから数日後のとある晩。私は、夢を見た。
夢の中でショウタ君は、泣きそうな表情で私を見ていて、かと思ったら突然抱き締めてきた。
えっ? なんで私、ショウタ君に抱き締められているの? と思っていると、
「俺を置いていくな、馬鹿…」
と上擦った声。
其処で、大好きなあのコより私との時間を優先してくれたんだなぁと直感的に判り、夢とはいえ嬉しくて、
「置いていくわけないじゃん。ばぁーか」
と、か細い声で返した所で目が覚めた。
「夢、ってか………未来…変わった?ってか、私……」
喋ってた。声が出せない程、危篤状態だったのに…。
「そうだ……今日って…」
夢の中の日付で、今日、私は事故に巻き込まれ、生死を彷徨う。最初に見た夢では、私は全く喋れない状態で、それに……ショウタ君は来なかった。
なのに、先程まで見た夢は、私が望んでいたもので…。--今迄100%だった未来が初めて差し変わった事に、嬉しい反面、泣きたくなった。
「なんで…? 期待、するじゃんか…っ」
如何して、二回目に見た夢では、貴方は泣きそうな表情で、私に会いに来てくれたのだろう?
だって、次に一緒の時間を過ごさせてくれるか判らないんだよ? 貴方の想い人は! だから!! だから……っ。
「期待させんなっ、馬鹿! 」
こんな事されたら、死にたくなくなるじゃんか!! 絶対生きてやろうって思うじゃんかっ!!!
私は、後悔のない為に、アンタに想いを告げたんだぞ!? 分かってるのか?! 馬鹿野郎っっ!!!!
--と、朝から泣いてしまった。
死への覚悟が決まっていたのに…如何してくれんだよ、馬鹿野郎…と恨み節を吐きながら。
未来は、自分や周りの行動で変わる事がある。それは、小さな事から大きな事まで様々だ。
ユメコは、ショウタに想いを告げた事で、未来をほんの少しだが変えた。事故に遭う未来は、完全に防ぐ事は出来なかったが、生存率を上げ、更に長年の想いが叶うチャンスを呼び寄せていたのだった。
了




