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割り勘の価値観【オフィスラブ/価値観の違い】

価値観がほぼ違うケド、大体一緒に居る事が多い佐久間くんと中村ちゃんの、自分達は恋人関係にあるという噂話の事で話すやり取りから、割り勘についての話


※あくまでも、私個人の価値観です



初出【2023年5月15日】

 佐久間さくま総一そういちと、中村なかむらみやこの価値観は、正反対だ。


 例えば、対人関係に置いて、昼休みに同僚や部下などと食べに行く事になった時、総一は余り混まない、比較的リーズナブルで少し高級感のあるお店を探し出し、其処そこでみんなで食事を取るのだが、都は基本近場のコンビニで食事を済まそうとする為、同僚や部下達の誘いをほとんど断っている。

 だがもし一緒に食べに行っても、同僚達の行き先に合わせる為、金銭感覚が合わなくて懐が寒い思いを何度かしても、そーゆうのが辛いとは言えず、家に帰っては泣いてたりする。


 金銭感覚も違ってて、総一は基本必要最低限のモノ以外には財布のひもまっているが、都は漫画などの趣味に注ぎ込む事が多く、金欠気味におちいっては、総一に食事代をよく立て替えてもらってたりしている。

 他にも価値観に関する違いはあるのだが、長くなりそうなので其処は割愛かつあいさせていただく。


 自他共に認める、全くの価値観の違う二人なのだが、彼等はいつも一緒に行動をともにする事が多く、それを不思議だと思われたのか、社内では二人が付き合ってるのか噂になっていた。

 その噂は、当の二人の耳にも入っていて、都はずっと思っていた事を口にする。



「私達って、付き合ってるの? 」


「…なんでそんな事聞くわけ? 」


「……いや。なんか、社内で噂になってるからさぁ…私達って」



 だから如何なのかなって確認、と後ろ頭を掻く都に、違うな、と総一は即答した。それに、都は胸が詰まる様な思いに襲われる。


 --ハッキリ言わなくてもなぁ…


 明確めいかくな拒絶だ。一緒に行動する事は多いが、「恋人」としての枠じゃないと、ハッキリ言われた事で、実は男に密かに想いを寄せていた都の心臓は、ズキズキと痛み出していた。



「…なぁ、中村。俺とお前は、価値観が正反対過ぎるよな?」


「! っ……なによ? 改まって…」


「価値観が違うのに、此処まで長い付き合いが出来てるのは、お互いに、相手の事を合わせようとしてるからだと思わないか? 」


「あー……潔癖症と大雑把とか? 」


「……机をあんな汚して…。片付けられないなら、物を増やすなよ」


「えーっ?! 物は増やしてないよぉ? ただ、気付いたら、あーなってんのッ! 」


「じゃあ、机の上に積み上げられたそれ等を引き出しに全部仕舞えばイイだろ。仕舞い切れないヤツは捨てろ」


「やだ! 必要だって思った時、直ぐ使いたいだろ!? ってか、貴方神経質過ぎない? SNSの見過ぎじゃないの? 」


「…はあぁ? 」


「知ってる? SNSは情報が逸早いちはやく知れる分、気持ちに余裕がくなるんだよ。色々説はあるケドね、情報の最先端さいせんたん…つまり流行に追い付こうという気持ちにむしばまれて、落ち着かないというか…。だから、SNSの見過ぎは--」

「ライバル会社のトップに立つには、同業者の分かる範囲での情報を知るべきだって、お前、前に言わなかったか? 」



 ライバル会社の公式SNSを見る事のなにが悪い? と目でく総一に、都はウッ…と言葉を詰まらせる。話題を変えないと分が悪いと思った都は、頭をフル回転させ、


「そっ…そういえば佐久間くんと、一つだけ価値観が合う事があったよ」

 と言った。



「…へえ? 」



 総一は興味があるといった感じで、相槌あいづちの時によく使う言葉で返し、続きをうながす。



「割り勘に関してだよ」


「?」


「ほらっ! 貴方がシェア出来るモノ以外は、自分で頼んだモノは自分で払えって言ってくれたお陰で、今じゃ社内でそれが当たり前になったし」



 アレは嬉しかったなぁと笑う都に、そんなの当たり前だろ、と総一は言う。それに、都は首を左右に振った。



「いや、いやっ! 支払いの話ってさ、結構喋れないものだよ? それに、【割り勘】の支払い方法で一般的に多いのは、全員が、大体同じ金額を負担する、だから。でもそうすると、そんな食べてない人や、安い物頼んだ人は損をするんだよね…。で、多く頼んだ人や、高い物を頼んだ人が、一番得をするシステムってわけ。だから、貴方がそういった提案を出した時は、感動したよ」



 有難うね、とお礼を告げる都に、総一ははあぁ…と息を吐いて、顔をらした。男が照れた時の仕草である。

 そんな男に満足した都は、あっ…ご飯冷めちゃった…と呟きながら目の前のおにぎりを掴み、口に頬張った時、


「割り勘したがる奴程、高い物しか頼んでこなかったからな」



 男がボソリと独り言なのか、此方に向けて発したのか判らないが、都は会話をなんとなく続けたくて、そうなんだよっ! と返した。



「アレさ、絶対、高い物頼んだ人だけが得するシステムだよね? だから、貴方がそういった、みんなで分けられるモノ限定でしか割り勘しないって言った時は、ほんっっとうに感動したよ! 」


「価値観が違うもん同士が一緒に居られるのは、無意識でも、お互いに合わせようと努力しているからだと俺は考えている」

 と男がボソリと言う。


「そうだね。私も同感」

 と食べながら都が答えると、


「…なぁ、中村。俺がお前の価値観に合わせて行動を取るのは、お前と少しでも、一緒の時間を共有したいからだよ」


「うん、私もだよ佐く………へっ…? 」



 今、男の口から、とんでもない発言が繰り出された気がして、都は固まる。口の中に収まったおにぎりをなんとか飲み込もうとするも、唾液がちゃんと出てないのか、上手く飲み込めない。


 --…あれ? 今、あれ??



「中村。返事は? 」

「…」



 聞き間違いでは無かったソレに、都は顔が熱くなるのを感じながら、口の中のおにぎりの一部をなんとか飲み込んだ。






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