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野性的な彼女【オフィスラブ/秘密/片想い】

彼女は、「本能」で生きている様なだ。

好きな事には全力で、嫌な事には目を背け。人はそれを「露骨」と言って毛嫌いするが、彼女はその生き方を決して曲げる事が無い。

だからーー



初出【2016年3月12日】

 彼女は、「本能」で生きている様なだ。

 好きな事には全力で、嫌な事には目を背け。人はそれを「露骨」と言って毛嫌いするが、彼女はその生き方を決して曲げる事が無い。


 そんな彼女だから、「恋愛」という壁にだけは乗り越える事が出来ていなかった。






「っ……ちっ…違うのよ!? 此れは、だから…そのっ……」



 其れは偶然だった。彼女が、部長の席に腰掛け、机に頬擦りをしてる光景を目撃したのは。

 僕の存在に気付いた彼女は、恍惚こうこつとさせてた顔から引き攣ったモノへと変え、引き千切れんばかりに首を横に振って弁明し出した。



「そうッ! 部長の机にコンタクト落としちゃって、其れで探してたの! 良かったぁ、見付かって……」

生野せいのさんって、視力が良い、って自慢してませんでしたっけ? 」

「! ……ぅう…」



 言葉に詰まったのか、彼女は黙り込んでしまった。

 彼女が部長に”そういった”感情を抱いてるのは気付いていた。何故なら、部長に対する彼女の態度は、誰よりも違ったから。


 だけど、部長は二週間前――「結婚」した。


 本能の赴くままに生きる彼女でも、「理性」というモノはあったらしく、ハネムーンから帰ってきた部長に対し、今迄の愛嬌を振り撒く事はしなくなった。そして、ボーっとする時間が増え、仕事のミスが目立つ様になった。

 彼女は現在、リストラ候補の一人だと、噂で聞く。



「……そんなに好きなら、告っちまえば好いだろ」

「!?」



 思わず口をいた言葉は、言ってはいけない台詞だった。


 ――馬鹿か…。生野さんの背中を押す様な事言って…。部長に、部長の奥さんに対して失礼じゃないか


 幾ら想い人だからって、想いを伝えて良い人と悪い人がいる。部長は正しく後者だ。己の愚かな発言に気付いた僕は、先程の言葉を撤回する事にした。



「っ……今言った事は忘れ――」

「そうよね…。告白した方が、気持ちに整理がつくもんね? 」



 そう言って、彼女はスーッと息を吸うと、「部長の事が好きでしたぁっっ!! 」と机に向かって叫んだ。

 その声は震えてて、でも強い想いが籠められていた。



「ふあぁぁ、スッキリしたぁ…」

「……それは良かった事で」

「うんッ! 間壁まかべ君の御蔭だよ、有難うッ」



 笑顔を向けて御礼を述べる彼女に、顔が赤くなるのを感じ、僕は思わず俯いた。



「…? ……なーんかお腹空いちゃったぁ…」



 食堂もう開いてるかなぁ、という呟きの直ぐ後に、カツッカツッ、という足音が聞こえてくる。その音が遠阪っていくのを耳にしながらも、ソレを遮る様に、何処からか「ドキドキ」という音が聞こえていた。



「? ……どきどき…? 」



 ――まさか、ね…




 この日を境に、彼女は以前の元気さを取り戻した。まだ、部長に対する態度はぎこちないケド、此れに関しても心配はないと思う。

 何時かは元通りに――



「まぁーかっ、べ君! 一緒に昼食取りましょ? 」

「……………」



 如何いうわけか、最近、彼女は事ある毎に僕を何処かへと誘う。



「……いや…。まだ、仕事が……」

「そんなの好いから、食べに行くわよ」

「ちょちょっ、まっ……」



 そんなワケで暫くの間、僕はこの「野性的な彼女」に振る舞わされる毎日を送る様です。
















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