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⑼『ミスタースペルミス』
⑼『ミスタースペルミス』
㈠
何処へ行くんだ、遠くへ行くな、と親から言われた少年時代だった、というミスタースペルミスは、それが何故だか分からない侭、しかし、それは荘厳な意味を持った親の魔術だということを、知っていたのだろう、ミスタースペルミスは。
㈡
ミスタースペルミスの見識に沿えば、ミスタースペルミスは、奇妙な体験を、何度もしたという。それはそれで、精神形成になっただろうが、結句、我々にとっては、至極、意味の分からない、訳の分からない、ミスタースペルミスだ。
㈢
それでも、登山や深海、我々の考えつく限りの、自然の遊びに耽って、有意義に、まさしに、有意義に過ごしたミスタースペルミスは、少年時代に後悔などなかったというから、驚きである。それなりに、楽しんでいたのだろう。