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⑻『ミスタースペルミス』

⑻『ミスタースペルミス』



全くもって、訳の分からない、という言葉は、少なくとも、ミスタースペルミスには、関係ないようである。そうなんだ、君のことなんだ、ミスタースペルミス、ほら、こっちへおいでよ、という甘い文句は、ただただ危険である。



しかし、危険なことは承知の上で、ミスタースペルミスは、進んで歩いていき、救済のことを考えながら、自分のことを君と呼ぶ、云わば、神の言葉を受け入れるのだ。何とも不可思議な、それこそ本気な、ミスタースペルミスである訳だ。



不可能は可能だろう、そんな呟きが、とても似つかわしい、ミスタースペルミスのことだから、恐らく、全てを見通しているんだろうが、それにしても、理由なく、地獄へと行くミスタースペルミスの周囲は、歓喜で溢れていた。

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