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⒆『ミスタースペルミス』
⒆『ミスタースペルミス』
㈠
長い長い道のりを、歩いて行くんだよ、そっと呟く、ミスタースペルミス。ミスタースペルミスは、一体全体、どうしてしまったんだろう最近、という言葉は、ミスタースペルミスには通用しない様だ、いつも、転生しているからである。
㈡
転生とはいっても、大掛かりな転生ではない、もっと、極自然の、日々における気分や態度の変化、そういう類のものだ。そういうものなのだ。ミスタースペルミス、であるからして、周囲に、異論は勿論、ないのである。
㈢
冗談じゃない、という言葉も、ミスタースペルミスには通用しない。寧ろ、冗談で行こう、と、それは、周囲がはっとし、静寂の中、そうだそうだ、という声がひそかに立ち上がり、やがては、歓喜になるくらいのものなのである。