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⒀『ミスタースペルミス』

⒀『ミスタースペルミス』



考えてもみろよ、お前は確かにお前だが、お前がお前だという確証は、外界からしか得られないじゃないか、と、街の中で大声で叫んでいる、ミスタースペルミスを見て、成程、そうだな、と思ったりもしたものだったよ。



ミスタースペルミスは、本当に良い奴なんだが、どこか抜けてるんだよな、そんな風に思う。何だって、ミスタースペルミスに会いたいだって、それが叶うかは、俺には分からない。だって、俺さえ、ミスタースペルミスの住所を知らないんだから。



それにしても、こんな毎日を送っていると、思想やら哲学やら評論というものが、如何に現実とかけ離れているかを、痛感するよ。だからこそ、世界が待望するのが、ミスタースペルミスなんじゃないか、ミスタースペルミスだろう。

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