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僕の独白

作者: 夏月



   死んでいく者よりも残された者の方がつらい









         ふと、目が覚めた。

       目の前には泣いている君がいた。


        なんで君は泣いてるんだ。


 君の涙を拭いたくて手をのばすけど、君に触れることなくすり抜けた。


 ‥‥‥‥あぁ、そうか君は僕の為に泣いていたんだね。


      目の前に泣いている君がいた。


  泣いている君の目の前にはねむっている僕がいた。


 あの日あの時僕は死んだ。これは夢でもなければ、ドッキリでもない、ただの事実だった。僕はこの先、生き返ることもなければ、時間が戻るわけでもない。


      もう、君の瞳にうつことはない‥‥。


 ねぇ、笑って。僕は君の笑顔が好きだったんだ。君は笑うときえくぼができていた、それを君は恥ずかしがっていたけれど、僕にとってはとても魅力的な表情だったんだ。


 ねぇ、泣かないで。君が泣く姿を見るのは、これで3回目だ。君は強くて泣かない人だと思っていた。でも違った、本当の君はとても弱い人だった。強く見せようといつも気丈に振る舞っていた。


 そんな君が初めて泣いた姿を見たのは、君の母親が亡くなった日。この時、僕は声を上げて泣く君を見て、こんなにも小さかったんだと知った。


 2回目は、僕が君にプロポーズをした時だった。その時の君の泣き顔はとても綺麗だった。一応言っとくが、変な意味はない。ただ本当に、その時の君の瞳から大粒の真珠が流れていっているのかと思ったんだ。そして、その後二人で笑ったね。


   でも、こんなにも静かに泣く君は初めてだ。


 もどかしくてたまらない。僕は君の姿も声も聴こえるのに、君に僕の姿も声も聴こえない。


   今すぐにでも君の涙を拭いたい、触れたい。

       君ともう一度笑いあいたい。


           「愛してる」


     そう言葉を零したのは彼女か彼か‥‥。










    死んでいく者より残された者の方がつらい


          本当に‥‥?


 死んだ者は、生きた者に触れられない、何もできない

 


         


         これは僕の独白   





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