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「離縁されたとはどういうことですか」

「そのまま、そのまま――です。こんな属性持ちですから」

「属性で離婚とはどういうことですか」


 エントス夫人の言葉が熱を帯びる。

 品格の良い老婦人に、元気が戻ってきているようにも感じれて嬉しい。

 いえいえ、いけない。そうではないのです。

 夫人にとって、スキルとは神様より頂戴したもの。

 それを理由に離婚を宣告するなど、おかしいではないの、言いたいみたい。


「どうと言われましても」

「それならば結婚しなければよかったですよ。あら、ごめんなさい。家同士だものね」

「もちろん、それもありますね」


 あまり深く事情を話して彼女の同情心を買うのも一つの方法かもしれない。

 けれど、わたしは自分で子供たちのために行こうと思ったのだから。

 ここで愚痴を晒してもしょうがないとそう思った。


「お嬢様は長い間、地下にいらっしゃいましたから」

「地下? 地下とはどういうことですか。なぜ、結婚したのに地下なんて」

「スウェイ!」

「何か? 過去の事実を申し上げたのですが」


 スウェイの尾がしれしれと左右に揺れている。

 悪びれる様子もなく、侍女はそう言ってついと目を反らした。

 訳ありの二人ならもっと仲良くしたらいいのじゃないですか?

 なんだかそう言われてる気がして、むうっと頭の上から思い何か押し付けられている気分になる。


「それはわたしが――」

「ではどうぞ。お話くださいませお嬢様」

「そちらが良ければぜひ聞かせていただきたいわ。もちろんこちらの話も‥‥‥それなりにはお話できるかも」

「はい‥‥‥」


 話すのなら自分からしたかったのに。

 そんなわたしたちのやり取りを見て、エントス夫人は「仲が良いんですね」と笑顔を綻ばせる。

 さっきまでの微妙に最も苦しかった空気が、スウェイの一言で和らいだ気がした。

 まったく困った侍女なのだから。


「スキル鑑定の儀式を幼い頃に受けました。光の神殿で、当時の神官。現神官長が――とはいっても、ラバンシア伯爵領内にある、分神殿のことですけれど」

「ああ、そういうことね。王都の本神殿ではないのね」

「そうですね。そこで闇属性のスキルということで隔離しろと言われました。人に災いをなすんだと、だから遠く離れた村に移されて、地下牢を改築した地下室に十年とちょっと。生きておりましたね」

「どうしてそんな酷いことを」

「それが両親と神官との間の取り決めでしたから。光の神殿は闇属性を保護することにより、その名を高める。両親はわたしを帝国に留学させたということにして、その間はずっと地下にいました」


 光がないところは寂しいものです、と寂しそうに笑って見せて。

 それはかく思い返すと隣に立つスウェイがいてくれなければ、一人では絶対に耐えきれなかった。

 あとは先生の教えのお陰かな。

 そんなことを考えていると夫人は「その対応は明らかに間違っています。闇属性だからって迫害されて良いわけではありませんよ」と、憤慨したかのように言った。


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