表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

山ン本怪談百物語

健康ランドの死神

作者: 山ン本

こちらは百物語六十九話になります。


山ン本怪談百物語↓


https://ncode.syosetu.com/s8993f/


感想やご意見もお待ちしております!

 都内で有名な健康ランドで働いている者です。


 うちの健康ランドには、奇妙な噂があります。


 それは…






 「おい…これ見てくれよ…」


 店長が事務所にいるスタッフたちを監視カメラ用モニターの前へ集めた。


 「これだよ…ここにいる人…ほら…」


 店長がモニター画面に映るとある場所を指さした。そこに映っているのは、シルクハットとフロックコートを身に着けた初老の男性であった。


 「うわっ!マジかよ!」


 「なんですか、この人?」


 「うそでしょ…」


 モニター画面を見たスタッフたちがざわざわと騒ぎ始める。これには理由があった。


 「まぁとりあえず…今回も各自警戒を強めてくれ。何かあるかもしれないからな…」


 うちの健康ランドには奇妙な噂がある。


 それは、モニター画面に映っている男性が来店すると、必ずと言っていいほど「事故」が起きるのだ。


 私たちスタッフはこの男性を「老紳士」と呼んでいた。


 「偶然だと思うけど気持ち悪くてな…」


 老紳士が来店した日に起こった事故は14件。転倒事故が8件、溺水事故が4件、心臓発作が2件だ。これだけの事故がたった数年で起きてしまった。


 老紳士は毎回同じ格好なのでわかりやすく、事故の日に必ず監視カメラに映っているところをスタッフが偶然発見した。


 私たちは色々考えた結果、老紳士が来店する日は警備を強化することに決めたのです。






 「おい、あの人どうなった?」


 老紳士が来店してから1時間後、店長が老紳士の居場所を探そうと監視カメラで店内をチェックしている。しかし…


 「休憩所にはいないな…風呂場だとスタッフを向かわせないとわからんぞ…?」


 店長が先程まで監視カメラを管理していたスタッフへ尋ねると、安心しきった声でこう答えた。


 「老紳士なら、10分程前に店から出て行かれましたよ。今回は事故も起きていないし、偶然だったみたいですねぇ」


 店長が監視カメラの録画を確認すると、正面の出入口から店を出る老紳士の姿が記録されていた。


 「そうか、それならいいんだ。やはり考えすぎか…」


 その場にいたスタッフたちが胸を撫で下ろしたその時、事務所へ緊急の内線が入った。


 「飲食スペースで事故発生!男性が転倒で意識不明!救急車をお願いします!」


 その場にいた全員が絶句した。ここにきて事故が発生してしまったのだ。






 「………はっ!?」






 どこからか視線を感じた店長が、再び監視カメラ用モニターへ目をやった。






 (……………)






 そこに映っていたのは、店から出て行ったはずの老紳士の姿であった。老紳士は受付カウンターの前で監視カメラに向かってにっこりと微笑むと、そのまま消えるように姿を消してしまいました。


 うちの健康ランドで奇妙な格好の老紳士を見たら、すぐに店から離れることをおススメします…

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] シルクハットにフロックコート。 そんな英国紳士のような風体の人が健康ランドに現れたら、確かに異様ですね。 [一言] 私が子供の頃に行っていた健康ランドでも、事故や急病が立て続けに起きた時期…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ