#83 魔の気配
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明日はお休み
「しっかし、ここに来るのも随分と久しぶりな気がするな~……」
『ふふ、そうだな』
俺と桜花は、目の前に広がる木だらけの景色を懐かしんでいた。
あの後、一日休んだ俺たちは早速『ディクス大森林』へとやってきていた。
距離的には結構遠い為、時間はそれなりにかかったが何事も無く、全員無事にここまで辿りつくことができて良かったと思う。
「全然変わらないわね……ここ」
「ああ、確かにな」
メルも多少は懐かしんでくれているみたいで、俺はそんなメルの漏らした言葉にうんうんと頷いていた。
「それで、到着早々で悪いんだけどさ。紅蓮、桜花ちゃんと出会ったっていう洞窟まで案内してくれる?」
「おっけー。そんなに遠くはないから、すぐに着くはずだよ」
なんて、会話も手短に俺たちは早速俺と桜花が出会った洞窟――仮に、『聖剣の洞窟』とでも名付けておくが、そこへと向かうのであった。
◇◇◇
「で、ここがその洞窟」
『お~……』
何をそんなに感動しているのか。
……俺は、桜花と出会った聖剣の洞窟の前に皆を案内してきたのだが、思いのほか心を動かされたような反応を見せられて困ってしまった。
「え、えっと……それで? これからどうするんだっけ?」
「次は、えっと……この近くをひたすら探す、ですかね……」
モネがそう言うが、何か疑問が残ったようですぐに首を傾げてしまっていた。
確かに、『聖武具』の近くには『魔武具』が封印されているっていう話はあったが、それがどことまでは書いていなかったな。
これじゃあ、せっかく近くまで来たっていうのにまた時間かけて探すことになるのか? 里の書庫のように。
「お、お姉ちゃん。それじゃあ何日かかるか分からないよ……?」
「そうだね~。すぐに見つかるかもしれないし、もしかしたら全然見つからないかもしれないもんね」
「え~っ? それじゃあどうするんですか? お姉ちゃん!」
「私に言われてもな~……」
みんながこれからどうすればいいか考えている中、俺はふと思いついたことがあって桜花にこんな質問をしてみた。
「なあ、桜花。なんか気配的なものを感知できないのか? 同じ『十大武具』ならさ」
『むむむ……実は、そう言われると思ってさっきから色々試してみてるのだが、ダメなのだ。全くそういう気配はしないのだ』
「そっか……」
うーむ。困ったぞ。これじゃあ時間をかけて探すしかないのか?
『う~ん……』
この場に居た誰もが、腕を組んで悩み唸っていた。
しかし、ただ一人だけ。彼女だけは、違ったのだ。
「あの本に書いてあることが本当のことなら……アレとアレはあり得ないから……」
「……メル? どうかしたのか?」
「あ、あのね……。可能性を一つずつ潰していったら、こうなるのかなっていう推測は立てられたのだけれど……」
「おお、マジか! どんな些細なことでも大丈夫だ、だから言ってみてくれ!」
「そ、それじゃあ……」
みんながメルに注目した。
メルは自信なさげな様子だったが、考えがまとまったのかやがてその『推測』について話し始めた。
「あの本には、それとなく『魔武具』の封印されていた場所が書いてあったわよね?」
「ああ、確かにそれとなく書いてあったな」
「それで、その中でこの近くじゃ考えられないような場所が書いてあったものを可能性から排除してみたの」
そういうと、メルはいくつかの『魔武具』の名前を挙げて言った。
魔族領の何処かに封印された『魔鎌』。
何もない大地に立つ祠に封印された『妖刀』。
そして、地底の底に封印された『黒斧』。
これらが、この森の近くにはあるとは思えないとメルは言ったのだ。
「ここは魔族領ではないし、何もない大地の祠っていうのも確かに違いそうだな」
あの本が書かれたのは、随分と最近のものだろうし、この推測が間違っていなければ何もない大地ってのは絶対に違うと思うんだよな。
同じ理由で地底の底っていうのも、可能性としては限りなくゼロに近いだろう。
「そうなると、深い湖の底にあるっていう『魔双剣』か、行方不明っていう『邪槌』のどっちかだと思うんだけれど……」
『それなら、あの湖とか怪しいのではないのだ?』
メルの言葉に反応した桜花。
彼女の言葉につられて、俺たちは少し先の木々の隙間……その奥を覗いてみた。
すると、そこには大きな湖……というかあれはもう実質海みたいな感じだが、そんな湖が見えたのだ。
「うーん……それじゃあ、一旦あそこを調べてみるか?」
「ま、いいんじゃないかな? このまま考えてても時間がもったいないし、何よりも桜花ちゃんが怪しいって言うんだったら怪しいしね」
……と、いう事で俺たちは桜花の怪しいと言った近くの大きな湖を調べることになったのだった。
◆◆◆
「――奴らが動いたか。フフフ……ついにアレと対面するわけだな」
「魔王様、どうしますか」
「無論、我々も向かおう。――お前も来るがいい、奏」
「はい……魔王、さま……」
「ククク……あの少年が封印を解いたその時、我々が全てを奪い取ってみせようじゃないか」
「行きましょう、魔王様」
「ああ……」
そう、不敵な笑みを浮かべた魔王たち三人は、そっとその顔に仮面を付けると、魔法によって何処かへと転移していくのであった。
次回は明後日更新です!
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