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最弱な俺が『最強』の美少女たちに姫扱いされる件  作者: テトラ
 第一部 人間時代 最弱の統率者誕生編  序章 ≪最弱の始まり≫
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#8 奇跡

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それでは今回もお楽しみください!



「す、すごい……」

『ハア……ハア……ッ! や、やったのだ……?』


 桜花が放った魔法……なのだろうか。

 巨蜘蛛は、炎の渦に包まれていた。


「シャアアアアアアアアアグシャアアアアアアアアア!!!!!」


 よし……どうやら効いているみたいだ!

 逃げるとしたら、今しかない!


 絶好のチャンスと判断した俺は、桜花を持って洞窟の出口へと向かって駆け出した。


『やったのだ、やったのだ!』

「桜花……マジでお前ってすごいんだな……!」

『それはどういう意味で言ってるのだ!?』

「いやいや、普通に尊敬の意味だけど!?」


 洞窟内は、今は夜ということもありものすごい暗かったが、桜花が少し光っているおかげで足元に躓くことなく走ることができていた。

 この調子で出口まで――


 そう思っていたのだが。

 『ヤツ』はそう簡単には逃がしてくれなかった。


「グルシャアアアアアアアアアアッ!!!!!」

「おいおいマジかよっ! アイツ燃えたままこっちに突っ込んでくるぞ!?」


 洞窟の天井を破壊しながら、タイラントスパイダーは俺めがけて突進してきたのだ。

 その姿はまるで妖怪の火車を彷彿とさせるような……。


 って、そんなこと言ってる場合じゃないな!


『アイツの方が速いのだっ! もっと速く走れないのだ!?』

「こっちだって全速力だっての……ッ!」


 あんなデカい図体してるくせに、移動速度は異常に速いとかマジで蜘蛛って感じがして気持ち悪いな。

 なんて考えながら走っていると、目の前には洞窟の入り口が見えていた。


 どうやら、俺と蜘蛛の全力レースにもそろそろ決着が着きそうだった。


「うおおおおおおおおおおおおおおおッ!!!」

「シャアアアアアアアアアアッ!!!」


 一番に洞窟を抜け出したのは、もちろん――


「っしゃあっ! 外まで出れたぞ!!」

『逃げ切ったのだ~!』


 ……俺だったが。

 当然後ろには『ヤツ』がいるわけで。


「シャアッ!」

「『うわあああああああああああああああああああ!!!!!』」


 俺と桜花の悲鳴が、森に響いた。


 ……やっぱり、戦わないとダメだろうか。

 ここまで追ってくるなら、もうどっちかが生き残ってどっちかが死ぬ――みたいな戦いになりそうだな。


「桜花……ここが俺たちの墓場にならないためには、アイツを倒さなきゃダメみたいだぜ……?」

『うむ……でも、もうワタシには魔力が残っていないのだ……すまない……』

「っ…………なるほど、了解……っと」


 それは流石に俺が負けるな。

 だが……抗わずに死ぬのはもうやめたんだ。


 桜花が助けてくれた。諦めずに、守ってくれた。

 だから、俺はこの命がある限り、ギリギリまで足掻いて――


「――生きてやるっ!」

「シャアアアアアアアアアアッ!!!!!」


 俺が構えを取ると同時にタイラントスパイダーは攻撃を仕掛けて来た。

 なんとか一矢報いてやろうと、聖剣おうかを振るった瞬間――






「――切り裂け、宵闇の刃よ」






 紫色の閃光が、巨蜘蛛を切り裂いた。

 それは、真っ二つとかそんなレベルじゃない――まさに微塵切りと呼べるレベルに、細々と、それも一瞬のうちに……。


「一体、何がどうなって……?」


 何が起きたのかと、俺は周囲を見渡してみた。

 すると、空に人影が一つ、月明かりに浮いて見えた。



「――貴様、どうやってその剣を手に入れた」



 空の人影は、俺にそう問いかけてきた。

 いきなりの出来事過ぎて若干放心していた俺は、その問いに正直に答えた。


「別に、特別なことは何も……」


「――そうか。つまり、貴様は選ばれた人間……」


 俺が、選ばれた人間?

 どこをどう聞いたらそんな大それた話になるのか、まったく理解できないが……。


「――運が良かったな、人間。貴様が死ねば、その剣は恐らく朽ち果てていただろう」

「え……?」

「まあすぐに朽ち果てるわけではないが……そこは些細な問題だ」


 どういうことだ?

 俺が死んだら、桜花も、死ぬ……?


「今回はこのまま見逃してやるが――いずれ私は、再び貴様の前に現れるだろう。その剣を奪いに、な」


 そう言い残すと、影の男はその場から姿を消した。

 一体、何がどうなっているんだ……。


 混乱した頭を整理しようと、その場に座り込む俺。

 すると、再び不思議なことが起こった。


『あ、あれは……っ!』


 それは、どこかで見たことのある光で。

 青い、光の柱が各地で4本ほど立ち上ったのだ。


「まさか……また……っ?」



 この時の俺は、知る由も無かった。

 あの青い光に包まれてやってきた人物が、俺の大切な人たちだったなんて。


 そして、そんな人たちを呼ぶために……



 ――俺の大切な人が、苦しい目に合っていることなど。

 知る由も、無かったんだ。



【topics】★魔法について(2)

 魔法は、基本的には詠唱は必要ないとされている。が、各魔法にはそれぞれ公式の詠唱式が用意されている。

 簡易的な詠唱や、使用する魔法名のみで発動可能だが、公式の詠唱を行った魔法は簡易詠唱版よりも効果の高い魔法となる。

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