#75 調査隊の派遣
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今回は視点が変わります。
「――何ッ!? 15名の異世界人が姿をくらませただとッ!? 一体どういうことなのだ!」
カルマ王は激怒していた。それは、例の王国暗部の人間からの報せだった。
『――異世界人15名、及び聖騎士団元副団長の弟アレク・バルドットとその部下数名がカルマ王国から行方をくらませた』と。
「そ、それがどうも我々の目を搔い潜って逃亡したようでして……」
「何故だッ! 何故奴が……それに、貴様ら暗部の人間は全員の間で統率が取れているのではなかったのか!?」
「で、ですから我々の中に裏切者がいるとしか……」
「ならばその裏切者とやらを急いで炙り出せッ!」
「ハッ!! ただちに!」
カルマ王はイライラしながらそう言い渡すと、今度は隣に控えていた執事を呼んで言った。
「――おい」
「どうかされましたか?」
「逃げた異世界人共を捕らえる。アレは我々カルマ王国――いや、このアルステラ大陸を守るための戦争に使う切り札となりうる存在だったのだ」
「……調査隊を編成すればよろしいですか?」
「ああ。頼んだぞ」
「では」とその場をすぐに去ろうとした執事に、王はこんなことを伝えた。
「――ああ、そうだ。ちょっといいか」
「ええ、どうかされましたか?」
「――必要ならば、何人かは殺しても構わない。だから何としても10名以上は連れて帰ってくるように伝えろ。いいな?」
「……承知しました。それでは私はこれで――」
◆◆◆
「――というのが王の考えのようです」
『そうか……ありがとう、ゼナス』
「いえ。それで、アレクたちは何処へ向かうのですか?」
『お前のお陰でこの国の都市部を抜け出せたのには感謝しているが、もうしばらくはこの国で調査をしなければならなくなりそうでな』
「……そんなに大勢の子供たちを連れて、ですか?」
『……んむぅ。確かに、危険か……』
通信機器越しに、その男――アレク・バルドットの唸り声が聞こえてきた。
王の執事であるゼナスという男は、アレクと旧知の仲であり、アレクの計画も事前に知らされていたため、彼に協力をする共犯者であったのだ。
「王の側近であるという以上情報はかなり多く得られますが、同時にかなり危険な立場でもあるんですからね」
『ああ、ホントに感謝はしてるよ』
「それなら、もう少し安全に行動してくださいよアレク」
『……だが、カゲサキカナデとヒカミグレンの両名の捜索が……』
「それならこちらでも進めていますから、そちらは他の異世界人の捜索をすればいいでしょう?」
『それも……そうか』
アレクは渋々といった様子でゼナスの提案に乗るようだった。
『では我々は、このまま『大妖精の森』を通って獣王の支配する『カティア大陸』を目指そうと思う』
「――分かりました。ではそろそろ」
『ああ、また何かあったら連絡する。じゃあな――』
そう言うと、すぐに通信は終了した、
ゼナスは一度周囲の気配を簡単に探った後、すぐに王から頼まれていた調査隊の編成を行うために城内を駆け回るのだった。
◆◆◆
「それで? ……何故『大妖精の森』の調査に行くのだ?」
時を同じくして、聖騎士団元副団長のガラドンと、聖堂会会長のレバンスはとある屋敷の一室で会議をしていた。
「……大妖精の森を狙った一番の理由は、以前話しましたね?」
「ああ。王から信頼を取り戻し、大きな功績を手に入れる為、だったか」
「まあ、大まかに言えばそんな感じでしょう」
「それで? 貴様のところのエースと、私のところのエースを連れてまで何故あの森に向かわせる必要がある?」
そう。ガラドンの言うように、既に連合会の調査隊は既に派遣されていたのだ。
聖堂会のエース『リヒト』と元聖騎士団のエース『カイ』をリーダーとした20名程度の魔術師・騎士の混成チームを。
「私があの森を狙った理由は、実はもう一つあったのですよ」
「もう一つ、だと?」
「ええ。私の知る情報が間違っていなければ、あの森――エルフの居住区である里の地下には、王城の大図書館にも匹敵するような大きな書庫があるのです」
「書庫……だと? そこに一体何の用が……」
「――我々が再び返り咲くための、切り札となりうる存在を見つけるのですよ。その書庫で、情報だけでも」
「……なるほど。王の切り札である異世界人のような存在を、こちらの手にもという事か」
「ええ。そのためには、今はとにかく情報が必要です。だから、我々が出向いても大丈夫なように、若きエースらに安全を確保してもらうのですよ」
「フン、なるほどな」
◆◆◆
そして、その頃『大妖精の森』では――。
「――メルの言う通りだ。人がたくさん……何かを探しているのか?」
でも、一体何を……。
次回は明日更新です!
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