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最弱な俺が『最強』の美少女たちに姫扱いされる件  作者: テトラ
第九章 ≪禍つ魔の災厄≫
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#72 憑依現界

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纏います。



「それでカグラ。他の要件っていうのは?」


 俺は、カグラから『神の子』と『烙印の子』についての説明を受けた後、動揺する気持ちを紛らわすためにも別の話題に切り替えてもらうことにした。

 ホントは色々とツッコみたいし、もっと詳しく聞きたいこともあったが、時間も時間だからな。さっさと向こうの用件を全部聞いてしまった方がいいと思ったのだ。


『うむ……。なあ紅蓮よ、お前は本当にそれで納得してるのか?』

「いや、納得はしてない。けど、だからって俺がどうすることも出来ないんだろ? ならこれ以上言えることは俺からは無いだろ」

『随分と大人びたことを言うんだな』

「そうか? ……まあ、他の人よりは波乱万丈な人生を送ってきたつもりだしな」


 俺はお得意の自虐風のカッコつけを決めたところで、カグラに言った。


「それで? 早く次の話をしてくれよ」

『うむ、分かった。次は『憑依』についてなのだが』

「憑依?」


 それってあれか? 幽霊が正者の身体を乗っ取る的な、オカルトチックな話か?

 と思ったが、どうやらそうではないらしい。


『この前、聖剣――桜花だったか?』

「ああ」

『あれがお前の身体を一時的に乗っ取っただろう?』

「それがどうかしたのか?」

『あれと同じことが、我と、お前の間でも可能かもしれないのだ』


 それを聞いた瞬間、俺は口をあんぐりと開けて固まってしまった。

 だってそうだろ。この前の戦いで、俺が桜花に身体を貸した時はありえない強さで悠兄さんを圧倒して、しかも俺が使えない魔法まで使って……。


 俺の身体なのに、元が俺じゃないみたいな強さだったし。

 その時に、俺は改めて桜花の存在がとても偉大なのだと知ったし、同時に憧れもした。


 そして、今度はそれがカグラ――龍神様になるって言うんだぞ。

 桜花であれだけ強かったんだ。神様になったら俺はどうなってしまうんだよ。


『物は試しだ。一度やってみようじゃないか』

「は? え、そんな今すぐできるようなヤツなの?」

『ああ、条件とかは特になさそうだからすぐにできると思うぞ』

「マジかよ。ちなみにそれって、桜花ともできるのか?」

『――それは分からんな。これは恐らく『神の子』の影響だと思う故』


 あぁ、なるほど。そういう事か。

 確かに『神の子』に関わってくる話なら、聖剣である桜花は関係ないもんな。


「そうか……。それで、その『憑依』ってのはどうすれば出来るんだ?」

『いや、紅蓮が何かをする必要は無いぞ。しいて言うならば、我に身体を譲渡する合図……命令のようなものを出してくれれば、それでいい』

「それだけでいいのか? それなら――」


 そこまで言うと、俺は一旦深呼吸をした。

 そこまで不安は感じていなかったが、万が一という事もあるからな。少しだけ覚悟はしておこうと思ったのだ。


「よし、じゃあ……行くぞ」

『ああ、いつでも』


「――龍神カグラに命ずる。我が体に憑依し、汝の力を存分にふるうがいいッ!」


 せっかくなら、と思い付きで作った簡単な詠唱を叫んだ俺は、直後すぐに身体が動かせないことに気が付いた。

 視界は良好。だが、それ以外はこの前の桜花の時と同じだった。


 手も足も動かせないし、喋ることもできなくなってしまったのだ。


『……これは成功してるのか?』


 俺は頭の中でそう呟いた。

 すると、


「ククク……クハハハハッ!! ああ、成功だ! 全く、何だ先程の格好良い詠唱は!」

『いや、どうせならって思ったんだけど……』

「良い、良いぞ! これからもその詠唱を頼む! 我はそういう文言にとても惹かれるのだ!」

『そ、そうか。気に入ったのなら続けるよ……。それで、今はどんな感じなんだ?』


 俺は、カグラに俺の身体の使用感?を聞いてみた。


「ふむ。肉体はそれなりに仕上がっているようだな。だが、やはり魔力も闘気も無いに等しいのが……」

『う、それはすまないな……』

「――いや、待ってくれ。……ほう、そういう事か」

『……? 何一人で納得してんだよ』

「ああいや、すまないな。――紅蓮よ、どうやら憑依状態の時は、お前の能力に憑依した者の力が加わるようだぞ!」


 ……それって、つまり?


『……カグラの全力を見れるってことか?』

「ああ! 時間はかかるようだが、みるみるうちに闘気がみなぎっていくのが分かるぞ!」

『そうなのか? 俺には何も感じられないが』

「ククク……我の力は強大だからな!」


 そう言って高らかに笑うカグラ。

 その時、視線が空の方を向いたのだが、一瞬だけ視界の端を球状の何かが通り過ぎて行ったのが見えた。


『なあ、今何かボールのようなものが見えなかったか?』

「……? ああ、そうか。紅蓮には今の自分の姿が見えていないのか。なら、我が神の力を使って見えるようにしてやろう」


 な、なんだいきなり。

 自分の姿なんて見慣れてるし、見ても面白くないと思うんだけど……。



「――さあ、刮目しろ! 今の自分の姿を!」


『……ッ!? こ、これって……』



 直後、俺の視界には自分……?の姿が映っていたのだが。

 それは、明らかに俺では無かった。



 ――そう。そこにいたのは、俺の顔をした人型の『カグラ』だったのだ。

次回は明日更新!

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